エコノミー症候群は、長時間同じ姿勢を続けることで足の静脈に血栓(血のかたまり)ができ、それが肺へ移動して重篤な症状を引き起こす可能性がある病気です。正式には「深部静脈血栓症(DVT)」や、その血栓が肺の血管を塞ぐ「肺塞栓症」を指します。
飛行機のエコノミークラスで発症するケースが知られたことから「エコノミー症候群」と呼ばれるようになりましたが、現在では車や新幹線での長距離移動、デスクワーク、避難所生活など、長時間座ったままの状況であれば誰にでも起こる可能性があります。
この記事では、エコノミー症候群の原因や症状、予防方法、注意すべき人について詳しく解説します。
エコノミー症候群とは
エコノミー症候群とは、長時間同じ姿勢を続けることで足の深い静脈の血流が悪くなり、血栓が形成される病気です。
足にできた血栓がそのまま残る状態を「深部静脈血栓症(DVT)」といい、この血栓が血流に乗って肺の血管に詰まると「肺塞栓症」を引き起こします。
肺塞栓症は呼吸や血液循環に重大な影響を及ぼし、重症の場合は命に関わることもあるため、早期発見と予防が重要です。
エコノミー症候群が起こる原因
主な原因は、長時間足を動かさないことによる血流の停滞です。
通常、ふくらはぎの筋肉は歩行などによって血液を心臓へ送り返す「筋ポンプ」として働いています。しかし、長時間座り続けるとこの働きが低下し、血液が足に滞留しやすくなります。
さらに、次のような条件が重なると血栓ができやすくなります。
- 飛行機や新幹線、車での長距離移動
- デスクワークで長時間座り続ける
- 車中泊や避難所生活
- 長期間の入院や安静
- 水分不足や脱水
- 足を締め付ける服装
これらが重なることで、血液が固まりやすくなり、血栓が形成されるリスクが高まります。
主な症状
深部静脈血栓症の症状
足に血栓ができた段階では、次のような症状が現れることがあります。
- 片足だけが腫れる
- ふくらはぎの痛み
- 足の重だるさ
- 赤みや熱感
- 足を押すと痛む
軽い症状しか出ない場合もあり、自覚しにくいことがあります。
肺塞栓症の症状
血栓が肺へ移動すると、次のような症状が突然現れることがあります。
- 突然の息切れ
- 胸の痛み
- 動悸
- 呼吸困難
- めまいや失神
- 血痰
これらの症状は緊急性が高く、直ちに医療機関を受診する必要があります。
エコノミー症候群になりやすい人
次のような人は特に注意が必要です。
- 高齢者
- 肥満の人
- 妊娠中・産後の人
- 手術後の人
- がんの治療中の人
- 血栓ができやすい体質の人
- 過去に血栓症になったことがある人
これらに該当する人は、長時間移動の際に特に予防を意識することが重要です。
エコノミー症候群の予防方法
エコノミー症候群は、日頃の対策によって発症リスクを大きく減らせます。
こまめに体を動かす
1~2時間に1回は立ち上がり、歩いたり軽くストレッチをしたりしましょう。
座ったままでも、足首を上下に動かしたり、かかとの上げ下げを繰り返したりすることで血流改善が期待できます。
十分な水分補給を行う
脱水は血液が固まりやすくなる原因になります。
移動中でもこまめに水分を補給し、アルコールの飲み過ぎには注意しましょう。
締め付けの少ない服装を選ぶ
きついベルトや靴下、衣類は血流を妨げることがあります。
ゆったりした服装を選ぶことが大切です。
弾性ストッキングを活用する
血栓症のリスクが高い人や長時間移動する予定がある人は、医師の指導のもとで弾性ストッキングを使用すると、血流改善に役立つ場合があります。
長距離移動で気を付けるポイント
飛行機や新幹線、車での長時間移動では、次の点を意識しましょう。
- 定期的に立ち上がって歩く
- 足首を頻繁に動かす
- 水分を十分に補給する
- 足を組み続けない
- 窮屈な姿勢を避ける
これらの対策は、日常のデスクワークでも有効です。
受診が必要なケース
次のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 片足だけが急に腫れた
- 強いふくらはぎの痛みがある
- 突然息苦しくなった
- 胸の痛みがある
- 意識が遠のくような症状がある
特に息切れや胸痛などは肺塞栓症の可能性があり、救急受診が必要になることがあります。
まとめ
エコノミー症候群は、長時間同じ姿勢を続けることで足に血栓ができ、重症化すると肺塞栓症を引き起こす可能性がある病気です。
飛行機だけでなく、車や新幹線、デスクワーク、避難所生活などでも発症する可能性があります。
日頃から適度に体を動かし、水分補給を心掛けることで予防できるケースが多いため、長時間座る機会がある人は意識して対策を行いましょう。また、片足の腫れや突然の息切れなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。


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