低所得者とは?年収の目安や住民税非課税世帯との違い、利用できる支援制度を解説

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低所得者とは、所得が比較的少ない人を指す言葉です。ニュースや行政の案内などで「低所得者向け給付金」「低所得者支援」といった表現を目にすることがありますが、具体的にどの程度の収入があれば低所得者に該当するのでしょうか。

実は、日本には低所得者を一律に定義する全国共通の年収基準はありません。税金や社会保障、福祉などの制度によって、対象となる所得水準や判定方法が異なります。

この記事では、低所得者の意味や年収の考え方、住民税非課税世帯や貧困層との違い、利用できる主な支援制度について解説します。

低所得者とは

低所得者とは、一般的に所得が比較的少ない人を指します。

ただし、低所得者という言葉そのものに、すべての制度で共通する明確な所得基準が設定されているわけではありません。

例えば、次のような制度では、それぞれ異なる所得基準が用いられます。

  • 住民税の非課税制度
  • 国民健康保険料・税の軽減制度
  • 国民年金保険料の免除制度
  • 生活保護制度
  • 就学援助制度

そのため、ある制度では低所得者向けの支援対象になっても、別の制度では対象にならない場合があります。

また、所得が少ないことと、生活に困窮していることは必ずしも同じではありません。預貯金などの資産や世帯構成によっても、経済的な状況は異なります。

低所得者の年収はいくらから?

低所得者に該当する年収について、全国共通の金額はありません。

例えば、「年収200万円以下なら低所得者」「年収300万円未満なら低所得者」といった基準が、すべての制度に共通して適用されるわけではありません。

低所得者かどうかを判断する際には、主に次のような条件が関係します。

収入

給与や年金、事業収入など、1年間に得た収入の金額です。

所得

収入から必要経費や給与所得控除などを差し引いた金額です。

所得の種類によって計算方法が異なります。

世帯構成

単身世帯、夫婦世帯、子育て世帯など、世帯の構成によって判定基準が異なる場合があります。

扶養人数

扶養している配偶者や子どもなどの人数が、所得基準に影響する制度もあります。

居住地域

自治体によって、所得基準や支援内容が異なる場合があります。

資産

生活保護など、一部の制度では預貯金や不動産などの資産も判定対象となります。

同じ年収でも、単身者と複数の子どもを扶養する人では、生活に必要な支出が異なります。

また、給与所得者と個人事業主では、収入から所得を計算する方法も異なります。

低所得者向けの支援制度を確認する際には、年収だけでなく、各制度が定める所得基準や世帯要件を確認する必要があります。

年収と所得の違い

低所得者について理解するうえで重要なのが、年収と所得の違いです。

年収とは

年収とは、一般的に1年間に得た収入の合計額を指します。

会社員の場合、通常は税金や社会保険料が差し引かれる前の給与や賞与などの合計額を意味します。

ただし、非課税の通勤手当など、税務上の給与収入に含まれないものもあります。

所得とは

所得とは、収入から必要経費や所定の控除を差し引いて計算される金額です。

給与所得の場合は、給与収入から給与所得控除を差し引いて計算します。

個人事業主の事業所得の場合は、原則として総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

なお、所得と課税所得も同じではありません。

課税所得は、所得から基礎控除や扶養控除などの所得控除を差し引いて計算されます。

支援制度によって参照する所得の種類や計算方法が異なるため、単純に年収だけで対象者を判断することはできません。

低所得者と住民税非課税世帯の違い

低所得者と混同されやすい言葉に「住民税非課税世帯」があります。

住民税非課税世帯とは、一般に、世帯に属する全員が住民税の均等割を課されていない世帯を指します。

住民税の所得割と均等割の両方が非課税となっている世帯が該当します。

低所得者と住民税非課税世帯には、次のような違いがあります。

意味の違い

低所得者は、所得が比較的少ない人を指す言葉です。

一方、住民税非課税世帯は、世帯全員が住民税非課税となっている世帯を指します。

判定単位の違い

低所得者の判定単位は、制度によって異なります。個人の所得を基準にする制度もあれば、世帯全体の所得を基準にする制度もあります。

一方、住民税非課税世帯は、世帯単位で判定されます。

所得基準の違い

低所得者の所得基準は、支援制度ごとに異なります。

一方、住民税非課税世帯は、住民税の非課税基準に基づいて判定されます。

住民税の非課税基準には、前年の所得や扶養親族の人数などが関係します。

また、自治体や世帯構成によって基準が異なる場合があります。

支援制度での扱いの違い

低所得者向けの支援制度には、住民税非課税世帯だけを対象とするものもあれば、それ以外の世帯も対象とするものもあります。

例えば、給付金の対象者を住民税非課税世帯に限定する場合があります。

一方、国民年金保険料の免除などは、住民税非課税世帯であることだけを条件として判定する制度ではありません。

このように、低所得者と住民税非課税世帯は同じ意味ではなく、制度ごとに対象者の条件を確認する必要があります。

低所得者と貧困層の違い

低所得者と貧困層も、似た意味で使用されることがあります。

低所得者は、所得の水準に着目した言葉です。

一方、貧困層は、生活に必要な資源が不足している状態にある人々を指します。

貧困には、主に絶対的貧困と相対的貧困という考え方があります。

絶対的貧困とは

絶対的貧困とは、食料や住居など、生存に必要な基本的ニーズを満たすことが難しい状態です。

国際的な貧困問題では、一定の購買力に基づく貧困線などを使用して測定されます。

相対的貧困とは

相対的貧困とは、その社会の所得水準と比較して、所得が著しく低い状態を指します。

日本の国民生活基礎調査では、等価可処分所得の中央値の半分を貧困線とし、それを下回る人の割合を相対的貧困率としています。

等価可処分所得とは、世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割り、世帯規模の違いを調整した金額です。

厚生労働省の2022年国民生活基礎調査によると、2021年の貧困線は127万円、相対的貧困率は15.4%でした。

ただし、この127万円は給与の額面年収ではありません。

等価可処分所得に基づく統計上の金額であり、低所得者向け支援制度の共通基準でもありません。

また、所得が少なくても、預貯金などの資産や家族からの支援によって生活状況が異なる場合があります。

そのため、低所得と貧困は必ずしも一致しません。

低所得者が利用できる主な支援制度

日本では、所得が少ない人や生活に困窮している人を支援するため、さまざまな制度が設けられています。

代表的な制度を紹介します。

生活保護制度

生活保護制度は、資産や能力などを活用しても生活に困窮する人に対し、必要な保護を行う制度です。

健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を支援することを目的としています。

生活保護は原則として世帯単位で判定され、国が定める基準に基づいて計算した最低生活費と世帯の収入を比較します。

収入が最低生活費に満たず、その他の要件も満たす場合には、原則としてその不足分が保護費として支給されます。

相談や申請は、居住地を管轄する福祉事務所で行います。

住居確保給付金

住居確保給付金は、生活困窮者自立支援制度に基づく支援の一つです。

離職や廃業、本人の責任によらない収入減少などによって経済的に困窮した人が、一定の要件を満たす場合には、家賃相当額の支給を受けられます。

収入や資産、求職活動などに関する要件が設けられており、誰でも無条件に受給できるわけではありません。

また、支給額には地域や世帯人数などに応じた上限があります。

相談先は、自治体などが設置する生活困窮者自立相談支援機関です。

国民健康保険料・税の軽減

国民健康保険には、所得が一定基準以下の世帯について、保険料・税の均等割額や平等割額を軽減する仕組みがあります。

軽減割合は、所得などの条件によって異なります。

また、災害や失業などによって保険料の納付が難しくなった場合には、自治体の制度に基づく減免の対象になることもあります。

具体的な条件は、加入している自治体の国民健康保険担当窓口で確認できます。

国民年金保険料の免除・納付猶予

国民年金の第1号被保険者には、所得が少ない場合などに保険料の免除や納付猶予を受けられる制度があります。

免除制度には、全額免除と一部免除があります。

免除の審査では、原則として本人、配偶者、世帯主の所得が確認されます。

一方、納付猶予制度では、原則として50歳未満の人を対象に、本人と配偶者の所得などによって審査されます。

免除や納付猶予を希望する場合は、原則として申請が必要です。

なお、免除と納付猶予では、将来の老齢基礎年金額への反映方法が異なります。

納付猶予期間は、追納しなければ老齢基礎年金額の計算に反映されません。

就学援助制度

就学援助制度は、経済的な理由によって子どもの就学が困難な家庭を支援する制度です。

小中学校などに通う児童生徒の保護者に対し、学用品費や給食費、修学旅行費などについて援助が行われます。

対象となる費用や所得基準は、自治体によって異なります。

申請方法や必要書類については、学校や市区町村の教育委員会で確認できます。

低所得者向けの給付金は誰が対象になる?

国や自治体では、物価高騰対策などとして、所得が少ない世帯を対象に給付金を支給することがあります。

ただし、給付金の対象者や支給額は、実施される事業によって異なります。

例えば、対象者の判定に次のような条件が使用される場合があります。

  • 特定年度の住民税が非課税であること
  • 住民税の所得割が非課税であること
  • 基準日に対象自治体の住民基本台帳に記録されていること
  • 所得や扶養関係などの要件を満たしていること

給付金によっては、対象世帯に確認書などが送付される場合があります。

一方、申請が必要な場合もあるため、自治体からの案内を確認することが重要です。

なお、過去に実施された給付金が、現在も継続しているとは限りません。

給付金を利用したい場合は、対象年度、申請期限、支給要件などを確認する必要があります。

自分が低所得者向け支援の対象か確認する方法

低所得者向けの支援制度を利用できるかどうかは、次の手順で確認できます。

1. 自分の収入と所得を確認する

会社員の場合は、源泉徴収票などで給与収入や給与所得を確認できます。

個人事業主の場合は、確定申告書などで所得金額を確認できます。

ただし、制度によって対象となる所得の範囲や判定年度が異なるため、必要な情報を確認しましょう。

2. 世帯構成を確認する

支援制度によっては、本人だけでなく世帯全体の所得を判定します。

同居する家族の収入や扶養関係などが、対象者の判定に影響する場合があります。

ただし、同居している人が必ずしも同一世帯として扱われるわけではありません。

各制度が定める世帯の範囲を確認することが重要です。

3. 自治体の公式情報を確認する

市区町村の公式サイトでは、住民税非課税世帯向けの支援や国民健康保険料の軽減、就学援助などの情報が公開されています。

制度によって担当窓口が異なるため、対象となる制度の案内を確認しましょう。

また、国の制度であっても、申請先が市区町村となっている場合があります。

4. 必要に応じて相談する

生活費や住居費の支払いが難しい場合は、自治体の福祉担当窓口や生活困窮者自立相談支援機関などに相談できます。

生活保護については、居住地を管轄する福祉事務所が相談・申請窓口です。

制度によっては申請した時期が支給開始時期などに影響する場合もあるため、早めに相談することが大切です。

低所得者に関するよくある質問

年収200万円以下なら低所得者ですか?

年収200万円以下という金額だけで、低所得者に該当するとは判断できません。

低所得者の判定基準は制度によって異なり、本人の所得だけでなく、世帯構成や扶養人数などが関係する場合があります。

利用したい制度の条件を確認する必要があります。

住民税非課税世帯なら必ず給付金を受け取れますか?

必ず受け取れるわけではありません。

給付金には、それぞれ対象年度や基準日、所得条件などが設定されています。

また、住民税非課税世帯であっても、他の要件によって対象外となる場合があります。

年金生活者も低所得者に該当しますか?

年金生活者も、所得が一定の基準以下であれば、低所得者向けの支援制度の対象になる場合があります。

ただし、年金を受給しているという理由だけで低所得者に該当するわけではありません。

公的年金等に係る雑所得やその他の所得、世帯構成などによって判定されます。

働いていても生活保護を受けられますか?

働いている人でも、生活保護の要件を満たせば受給できる場合があります。

生活保護は、働いているかどうかだけで判断される制度ではありません。

原則として世帯単位で最低生活費と収入を比較し、資産などの要件も踏まえて判定されます。

低所得者向けの支援制度は自動的に適用されますか?

制度によって異なります。

所得情報などに基づいて自動的に軽減される制度もありますが、本人による申請が必要な制度もあります。

特に、生活保護、住居確保給付金、国民年金保険料の免除・納付猶予などは、原則として申請が必要です。

支援を希望する場合は、各制度の申請方法を確認しましょう。

まとめ

低所得者とは、所得が比較的少ない人を指す言葉です。

ただし、日本では低所得者に該当する全国共通の年収基準はなく、制度によって所得や世帯構成などの判定条件が異なります。

また、低所得者と住民税非課税世帯、貧困層は、それぞれ異なる概念です。

所得が少ない人を対象とした支援制度には、生活保護、住居確保給付金、国民健康保険料・税の軽減、国民年金保険料の免除、就学援助などがあります。

自分が支援の対象になるかどうかを確認する際には、年収だけで判断せず、利用したい制度の所得基準や世帯要件を確認することが大切です。

また、支援制度によっては申請が必要となるため、自治体などの公式情報を確認し、必要に応じて担当窓口に相談しましょう。

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