保護処分とは?意味や種類、保護観察・刑罰との違いをわかりやすく解説

保護処分 ナレッジ

ニュースで少年事件が報じられるとき、「保護処分」という言葉とともに結果が伝えられることがあります。

刑罰を受けたとは言われず、保護観察や少年院送致などの言葉が使われるため、何が決まったのか分かりにくいと感じる人も多いでしょう。

保護処分とは、非行のあった少年に対して家庭裁判所が言い渡す、教育的・福祉的な性格を持つ措置のことです。

この記事では、保護処分の意味や種類、保護観察・刑罰との違いについてわかりやすく解説します。

保護処分とは

保護処分とは、非行のあった少年に対して、家庭裁判所が言い渡す教育的・福祉的な措置のことです。

成人の刑事裁判で科される刑罰とは異なり、罰を与えることよりも、少年の立ち直りや健全な成長を後押しすることに重点が置かれています。

どのような処分にするかは、少年の性格や家庭環境、非行の内容などを踏まえて、家庭裁判所が一人ひとりの事情に応じて判断します。

そのため、同じような非行であっても、少年によって言い渡される処分の内容が異なることがあります。

⚠️ 法律・制度に関するご注意
このページは一般的な情報です。法律は改正されることがあり、個別の事情によって扱いも異なります。実際の手続きや判断は、弁護士など専門家や公的機関にご確認ください。

参考: e-Gov法令検索 / 法テラス

保護処分の由来・少年法の理念

保護処分という仕組みは、少年法という法律の考え方に基づいて設けられています。

少年法は、成長の途中にある少年は大人に比べて変化しやすく、立ち直る力が大きいという考え方を土台にしています。

この、環境や働きかけ次第で大きく変わり得る性質のことを、可塑性と呼ぶことがあります。

罪を犯した少年であっても、罰を与えて終わりにするのではなく、教育や指導を通じて更生を図ることが重視されており、保護処分はこの理念を具体的な形にした制度だといえます。

保護処分が決まるまでの流れ

少年が事件を起こすと、警察や検察から家庭裁判所に事件が送られます。

家庭裁判所では、家庭裁判所調査官と呼ばれる専門の職員が、少年の生活環境や性格、非行に至った背景などを調べます。

この調査結果をもとに、審判と呼ばれる手続きの中で、裁判官が少年や保護者から事情を聞き、最終的にどの処分にするかを決定します。

審判の結果は保護処分だけでなく、事件を検察官に戻す逆送や、処分を行わない不処分となる場合もあります。

保護処分の対象となる少年とは

保護処分の対象になるのは、非行があったとされる少年です。

少年法では、実際に罪を犯した少年だけでなく、まだ罪を犯してはいないものの、将来罪を犯すおそれがあると判断される少年も対象に含まれています。

具体的には、刑罰法令に触れる行為をした少年や、将来非行に及ぶおそれのある行動がみられる少年などが審判の対象となります。

どのような扱いを受けるかは、年齢や行為の内容、生活状況などを踏まえて個別に判断されます。

保護処分の種類

保護処分には、大きく分けて三つの種類があります。

  • 保護観察:少年を施設に収容せず、社会の中で生活させながら指導や支援を行う処分
  • 児童自立支援施設・児童養護施設送致:福祉の施設に入所させ、生活指導や教育を行う処分
  • 少年院送致:少年院に収容し、矯正教育を行う処分

このうち、どの処分になるかは、非行の内容や少年の抱える課題の重さによって変わります。

社会の中で立ち直りを目指せると判断されれば保護観察、より手厚い支援や環境の立て直しが必要と判断されれば施設への送致が選ばれる傾向があります。

保護観察とはどのような処分か

保護観察は、保護処分の中でも、少年を施設に収容せず、自宅などで生活させながら行う処分です。

少年は、保護観察官や保護司と呼ばれる人たちの指導や助言を受けながら、日常生活や学業、仕事を続けていきます。

定期的な面談や生活状況の報告を通じて、少年の変化や課題を把握し、必要に応じて指導が行われる仕組みです。

社会とのつながりを保ちながら更生を目指せる点が、保護観察の大きな特徴だといえます。

保護処分と保護観察の違い

保護処分と保護観察は、言葉が似ているため混同されやすいのですが、両者の関係は全体と部分にあたります。

保護処分は、家庭裁判所が言い渡す処分全体を指す言葉であり、その中に保護観察、施設送致、少年院送致という選択肢が含まれています。

項目保護処分保護観察
位置づけ家庭裁判所が下す処分の総称保護処分の一種
内容保護観察・施設送致・少年院送致を含む施設に収容せず社会の中で指導を受ける
対象非行のあった少年全般保護処分として保護観察が選ばれた少年

つまり、保護観察は保護処分の一種であり、保護処分イコール保護観察というわけではありません。

ニュースなどで保護処分になったと伝えられた場合、その内容が保護観察なのか、施設送致なのか、少年院送致なのかは別途確認する必要があります。

保護処分と刑罰の違い

保護処分と刑罰は、どちらも法律に基づく措置ですが、目的や性質が大きく異なります。

刑罰は、成人が罪を犯した場合などに科されるもので、犯した行為に見合った責任を問うという意味合いが強い制度です。

項目保護処分刑罰
目的更生・健全育成責任の追及・制裁
対象非行のあった少年罪を犯した人
決定機関家庭裁判所刑事裁判所
前科原則としてならない有罪が確定すると前科になる

一方、保護処分は、少年の更生と健全な育成を目的とした教育的・福祉的な措置であり、懲らしめること自体を主な目的としていません。

少年事件の多くが刑事裁判ではなく家庭裁判所の審判で扱われるのは、この保護処分という仕組みがあるためです。

保護処分は前科になる?よくある誤解

保護処分について、刑罰と同じように前科がつくと誤解されることがあります。

しかし、保護処分は刑事罰ではないため、原則として前科にはあたりません。

そのため、保護処分を受けた少年が成人したあとの就職や資格取得などに、前科として直接影響することは基本的にないとされています。

ただし、事件の内容によっては記録の扱いが異なったり、個別の事情によって影響の有無が変わったりする場合もあります。

自分や家族が関わる事件で判断に迷う場合は、弁護士や家庭裁判所など専門の窓口に相談することをおすすめします。

保護処分を使った例文

  • 家庭裁判所の審判の結果、少年は保護観察の保護処分を受けることになった。
  • 今回の事件では、少年院送致という保護処分が言い渡された。
  • 保護処分は刑罰とは異なり、少年の更生を目的とした措置である。
  • ニュースでは、少年に下された保護処分の内容が報じられた。

保護処分を考えるうえでの注意点

保護処分は、少年の置かれた状況や事件の内容によって判断が大きく異なる制度です。

そのため、ニュースなどで断片的に伝えられる情報だけで、処分の重さや軽さを単純に比較することは難しい面があります。

また、保護処分に関する手続きや少年の権利については、専門的な知識が必要になる場面が少なくありません。

少年事件に関わる立場になった場合は、弁護士や家庭裁判所、地域の相談窓口など、専門家や公的機関に相談しながら対応を進めることが大切です。

まとめ

保護処分とは、非行のあった少年に対して家庭裁判所が言い渡す、教育的・福祉的な性格を持つ措置です。

保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設送致、少年院送致という三つの種類があり、保護観察は保護処分の一部にあたります。

刑罰が責任を追及する制度であるのに対し、保護処分は少年の更生と健全育成を目的としている点が大きな違いです。

言葉の意味を正しく理解したうえで、個別の事案については専門家や公的機関に相談しながら判断することが望ましいといえます。

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