突然のどに強い痛みが出て、高熱や息苦しさも伴うような場面で「急性喉頭蓋炎」という診断名を耳にすることがあります。
聞き慣れない病名のため、何が起きているのか、よく似た扁桃炎や喉頭炎とどこが違うのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
急性喉頭蓋炎とは、喉の奥で気道の入り口を守っている喉頭蓋という組織が急激に腫れ、呼吸に影響を及ぼすおそれのある病気です。
この記事では、急性喉頭蓋炎の症状や原因、扁桃炎・喉頭炎との違いについてわかりやすく解説します。
急性喉頭蓋炎とは
急性喉頭蓋炎とは、喉の奥にある喉頭蓋という組織が、感染などをきっかけに急激に腫れ上がる病気です。
喉頭蓋は普段、食べ物や飲み物が気管に入らないよう、ふたの役目を果たしている軟骨性の組織です。
この部分が強く腫れると気道が狭くなり、呼吸がしづらくなったり、窒息につながる危険も出てきます。
発症から短時間で症状が進むことがあるため、救急対応が必要になる病気として知られています。
⚠️ 健康・医療に関する大切なお知らせ
このページは一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。症状や治療など健康に関する判断は自己判断せず、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。
参考: 厚生労働省 / e-ヘルスネット(厚労省) / MSDマニュアル家庭版 / 難病情報センター
喉頭蓋とはどんな組織か
喉頭蓋は、のどの奥、気管と食道が分かれる部分のすぐ近くに位置する小さな組織です。
普段は立った状態になっていて、呼吸のときに空気が気管へスムーズに通るようになっています。
食べ物や飲み物を飲み込むときだけ倒れて気管のふたを閉じ、誤って気管へ入り込むのを防いでいます。
この喉頭蓋が炎症で腫れると、ふたの役目どころか気道そのものを狭めてしまう点が大きな問題になります。
急性喉頭蓋炎の主な原因
急性喉頭蓋炎は、主に細菌感染をきっかけに起こると考えられています。
- 細菌感染(インフルエンザ菌やレンサ球菌など)
- ウイルス感染
- 熱い飲食物や薬剤による喉の損傷
- まれに外傷や異物による刺激
これらが喉頭蓋の組織に炎症を引き起こし、短時間で強い腫れをもたらす要因になると考えられています。
急性喉頭蓋炎の主な症状
急性喉頭蓋炎では、次のような症状が比較的急に現れることが多いとされています。
- 急に始まるのどの強い痛みや嚥下時の痛み
- 高熱
- こもったような声の変化
- 呼吸のしづらさやゼーゼーという音
- よだれが飲み込めず口から出てしまう
これらの症状が同時に、しかも短時間で出てきた場合は、注意が必要なサインといえます。
急性喉頭蓋炎になりやすい人
以前は乳幼児に多くみられる病気とされていましたが、近年は状況が変わってきています。
原因となる細菌に対するワクチンが広く使われるようになり、子どもの発症は以前より減ったとされています。
一方で、成人で急性喉頭蓋炎と診断されるケースが相対的に目立つようになっているともいわれます。
年齢を問わず起こりうる病気であるため、年齢だけで可能性を除外しないことが大切です。
急性喉頭蓋炎は予防できる?
急性喉頭蓋炎の原因となる細菌の一部には、ワクチンで感染を防げるものがあります。
子ども向けの定期接種が広がったことで、この病気にかかる子どもは以前より減ったとされています。
ただし、ワクチンで防げる原因菌ばかりではないため、発症を完全に防げるわけではありません。
のどの異変を感じたときに早めに受診する習慣も、重症化を防ぐうえで役立つ備えの一つです。
急性喉頭蓋炎の診断方法
診断には、医療機関でのどの状態を直接確認する検査が行われることがあります。
ただし、無理にのどを刺激すると気道がさらに狭くなるおそれがあるため、検査は慎重に進められます。
必要に応じて、画像検査や内視鏡による観察を組み合わせて状態を把握します。
呼吸の状態を見ながら、気道を確保できる体制を整えたうえで検査を行うことが重視されます。
急性喉頭蓋炎の治療法
治療の基本は、原因となる細菌に対する薬剤の投与です。
あわせて、炎症や腫れを抑えるための処置が行われることもあります。
気道が狭くなり呼吸が難しい場合は、管を通して気道を確保する処置や、のどに直接通り道を作る処置が必要になることもあります。
症状の進み方は人によって異なるため、治療方針は医師の判断に沿って進められます。
急性喉頭蓋炎と扁桃炎の違い
扁桃炎は、のどの左右にある扁桃という組織が炎症を起こす病気で、急性喉頭蓋炎とは炎症の場所が異なります。
| 項目 | 急性喉頭蓋炎 | 扁桃炎 |
|---|---|---|
| 炎症の場所 | 喉頭蓋(気道の入り口) | 扁桃(のどの左右) |
| 症状の進み方 | 急激で短時間に悪化しやすい | 比較的ゆるやかなことが多い |
| 呼吸への影響 | 気道閉塞のおそれがある | 通常は呼吸への影響は小さい |
| 緊急性 | 高い | 急性喉頭蓋炎に比べると低いことが多い |
のどの痛みに加えて呼吸のしづらさがある場合は、扁桃炎より急性喉頭蓋炎を疑う手がかりになります。
急性喉頭蓋炎と喉頭炎の違い
喉頭炎は、声帯を含む喉頭という部分に炎症が起こる病気で、声のかすれが目立つ点が特徴です。
| 項目 | 急性喉頭蓋炎 | 喉頭炎 |
|---|---|---|
| 炎症の場所 | 喉頭蓋 | 喉頭(声帯を含む部分) |
| 主な症状 | のどの激痛・呼吸困難 | 声のかすれ・せき |
| 進行の速さ | 急速なことが多い | ゆるやかなことが多い |
| 注意点 | 気道閉塞のリスクがある | 多くは経過とともに落ち着く |
声のかすれだけでなく、息苦しさやよだれが飲み込めない様子があれば、喉頭炎とは区別して考える必要があります。
こんな症状があれば急いで受診を
- 息苦しさや呼吸の音の変化
- よだれが飲み込めない
- 声がこもって聞き取りにくい
- 座った姿勢でないと呼吸が楽にならない
このような症状がみられる場合は、様子を見ず速やかに医療機関を受診することが勧められます。
自己判断で対処しようとせず、専門的な診察を受けることが大切です。
急性喉頭蓋炎によくある誤解
のどの痛みと発熱だけを見て、単なる風邪や扁桃炎と思い込んでしまうことがあります。
しかし急性喉頭蓋炎は進行が速く、風邪のような経過観察では対応が間に合わないことがあります。
子どもの病気というイメージを持たれがちですが、大人でも起こりうる点も誤解されやすい部分です。
のどの症状に呼吸のしづらさが伴う場合は、通常の風邪とは分けて考える必要があります。
まとめ
急性喉頭蓋炎は、気道の入り口にある喉頭蓋が急激に腫れることで呼吸に影響を及ぼす病気です。
扁桃炎や喉頭炎と似た症状から始まることもありますが、進行の速さと気道閉塞のリスクが大きく異なります。
のどの激しい痛みに加えて呼吸のしづらさやよだれが飲み込めない様子がある場合は、急を要するサインと考えられます。
気になる症状があるときは自己判断せず、早めに医療機関へ相談することが望まれます。

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