固定費とは?意味や計算方法、変動費との違いをわかりやすく解説

固定費 ナレッジ

ニュースや経営の話題、家計の相談などで「固定費」という言葉を耳にする機会は少なくありません。

売上が増えても減っても変わらない費用があると聞いても、具体的に何を指すのか、変動費とどう違うのかがつかみにくいと感じる人もいるでしょう。

固定費とは、一言でいえば売上や生産量の増減にかかわらず、一定期間はほぼ同じ金額がかかり続ける費用のことです。

この記事では、固定費の意味や計算方法、変動費との違いについてわかりやすく解説します。

固定費とは

固定費とは、売上高や生産・販売の数量が増えても減っても、一定期間はほぼ同じ金額がかかる費用を指します。

会社の経営だけでなく家計を考えるときにも使われる言葉で、使用量によって金額が変わる費用とは区別されます。

家計で言えば、住宅ローンの返済額や家賃、保険料などが固定費にあたり、収入が増えても減っても支払いが続きます。

固定費という考え方を押さえておくと、売上が落ち込んだときにどれだけ損失が出やすいかを見通しやすくなります。

固定費の代表的な例

固定費には、売上がゼロでも発生し続ける費用が多く含まれます。

  • 事務所や店舗の家賃
  • 社員の月給や社会保険料の会社負担分
  • 設備や機械の減価償却費
  • リース料
  • 保険料や通信費の基本料金部分

これらは契約や制度によって金額がほぼ決まっているため、短期間で大きく増減させることが難しい費用といえます。

業種によっては広告宣伝費の一部を固定費として扱う場合もあり、何を固定費とみなすかは会社の会計方針によっても多少異なります。

固定費が発生する仕組み

固定費の多くは、事業を続けるための土台となる契約や人員にひも付いています。

賃貸契約や雇用契約は一定期間の継続が前提となっているため、売上の増減だけを理由にすぐ金額を変えることはできません。

減価償却費のように、支出自体は過去に済んでいても、会計上は複数年にわたって費用として計上され続ける固定費もあります。

このため固定費は、生産量に応じて増減する変動費とは異なり、時間の経過に対して一定という性質を持ちます。

固定費と変動費の違い

固定費と対になる言葉が変動費です。

変動費とは、原材料費や仕入れ費用のように、生産量や販売量が増えるほど金額も増える費用を指します。

項目固定費変動費
発生の仕方売上に関係なくほぼ一定売上や生産量に比例
代表例家賃・人件費・減価償却費原材料費・仕入れ費用
増減の調整短期間では難しい比較的調整しやすい

例えば製造業では、工場の家賃は固定費、原材料の仕入れは変動費という形で分けて管理するのが一般的です。

実際の費用には、電気代のように基本料金と使用量部分が混ざった、固定費と変動費の中間的なものも存在します。

固定費率とは

固定費率とは、売上高に占める固定費の割合を示す指標です。

固定費率は「固定費 ÷ 売上高 × 100」で求められ、数値が高いほど売上の変化が利益に与える影響が大きくなります。

固定費率が高い業種としては、設備投資の大きい製造業や不動産業などが挙げられ、仕入れ中心の小売業では相対的に変動費率が高くなる傾向があります。

損益分岐点売上高と固定費の関係

損益分岐点売上高とは、利益も損失も出ない売上高のラインを指します。

損益分岐点売上高は「固定費 ÷ 限界利益率」で求めることができ、最低限確保すべき売上の目安を知る手がかりになります。

限界利益率は「(売上高-変動費)÷ 売上高」で求められ、固定費と組み合わせることで黒字化に必要な売上高を具体的に計算できます。

固定費が大きいほど損益分岐点売上高も高くなり、黒字化までに多くの売上が必要になります。

固定費が経営に与える影響

固定費には、売上が少ない時期でも必ず発生するという性質があります。

そのため売上が落ち込む局面では、固定費の負担が利益を圧迫し、損失が積み上がりやすくなります。

一方で売上が損益分岐点を超えると、増加した売上の多くがそのまま利益につながりやすく、利益が急に伸びることもあります。

このように固定費が大きい事業は、好況期には利益が伸びやすい一方、不況期にはリスクも大きくなるという両面性を持っています。

固定費を抑えるメリットと注意点

固定費を抑えることは、売上が不安定な時期でも経営を維持しやすくする効果があります。

オフィスの規模を見直したり外部サービスを活用したりすることで、固定費の負担を軽くする工夫が行われています。

ただし固定費を削りすぎると、人材や設備の不足につながり、事業の成長機会を失う可能性もあるため注意が必要です。

固定費を見直す際は、金額を減らすことだけでなく、事業に必要な機能を維持できているかをあわせて確認することが大切です。

固定費の変動費化という考え方

近年は、固定費をできるだけ変動費に近づける「固定費の変動費化」という考え方も広がっています。

例えば社員の採用ではなく業務委託や外部委託を活用すれば、必要なときだけ費用を支払う形に近づけられます。

クラウドサービスの利用料のように、使った分だけ支払う仕組みも、固定費の変動費化の一例とされています。

固定費の変動費化は売上が読みにくい時期のリスクを抑えやすくする一方、長期的に見るとコストが割高になる場合もあり、状況に応じた判断が求められます。

固定費についてよくある誤解

固定費は「毎月まったく同じ金額」と理解されがちですが、厳密には一定期間内でほぼ一定という意味です。

契約内容の見直しや設備の更新があれば、固定費の金額自体が変わることもあります。

固定費と変動費の線引きは業種や会計方針によって異なる場合があり、どの費用にも共通する絶対的な基準があるわけではありません。

また固定費は削減すれば利益が増えるとは限らず、売上を支える体制まで削ってしまうと、かえって事業に悪影響が出ることもあります。

固定費を使った例文

  • 来月から家賃交渉を行い、固定費を少しでも引き下げたいと考えています。
  • このプランでは固定費が売上の半分近くを占めており、改善が必要です。
  • 業務委託を増やすことで、人件費という固定費を一部変動費に切り替えました。
  • 固定費率が高いと、売上減少時の影響を受けやすくなります。

まとめ

固定費とは、売上や生産量が変わってもほぼ一定の金額がかかる費用のことで、家賃や人件費、減価償却費などが代表例です。

変動費と組み合わせて損益分岐点売上高を把握することで、事業に必要な最低限の売上水準を見通せます。

固定費は抑えすぎても増やしすぎても経営に影響するため、変動費化の工夫も取り入れながらバランスを考えることが大切です。

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