分散とは?意味や計算方法、標準偏差・共分散との違いをわかりやすく解説

分散 ナレッジ

テストの平均点や、工場で作る製品の品質、投資信託のリスクなどを説明するニュースや資料で「分散」という言葉を見かけることがあります。

平均値だけでは「全員がほぼ同じ点数だったのか」「高得点者と低得点者に大きく分かれたのか」までは分かりません。では、データの散らばり具合はどうやって数値で表せるのでしょうか。

分散とは、簡単に言えばデータが平均値からどれくらい離れているかを示す数値のことです。

この記事では、分散の意味や計算方法、標準偏差・共分散との違いについてわかりやすく解説します。

分散とは

分散とは、データの各値が平均値からどれくらい離れているかを数値にした統計量のことです。

データの「散らばり」や「ばらつき」を一つの数字で表せるため、統計学やデータ分析の基本の指標として広く使われています。

分散の値が大きいほどデータは広く散らばっており、値が小さいほどデータは平均値の近くに集まっていることを意味します。

分散の計算方法

分散は、次の手順で計算します。まずデータ全体の平均値を求めます。

  • 各データの平均値を求める
  • 各データと平均値の差(偏差)を計算する
  • 偏差をそれぞれ2乗する
  • 2乗した偏差の合計をデータの個数で割る

偏差をそのまま合計すると、正の差と負の差が打ち消し合ってゼロに近くなってしまいます。そこで偏差を2乗してから合計する点がポイントです。

データをx1、x2、…、xnとし、平均をμとすると、分散は各(xi−μ)の2乗を合計し、データの個数nで割った値として表せます。

分散を求める具体例

例えば、ある小テストで5人の生徒が取った点数が、平均点からそれぞれどれだけ離れているかを考えてみます。

平均点が同じ60点だったとしても、全員が55〜65点に集まっているクラスと、20点台と90点台に分かれているクラスでは、点数のばらつき方がまったく違います。

このとき、点数が平均に近く集まっているクラスは分散が小さくなり、点数が大きく分かれているクラスは分散が大きくなります。

平均点という一つの数字だけでは見えなかった「クラスの実態」を、分散という数値で補えるのです。

母分散と標本分散の違い

分散には、対象とするデータの範囲によって「母分散」と「標本分散」という2つの考え方があります。

種類対象計算式の分母
母分散調査対象全体(母集団)のデータデータの個数n
標本分散母集団から抽出した一部のデータ(標本)データの個数n、または補正したn−1

全員分のデータが手元にある場合は母分散を使いますが、一部のデータから全体の傾向を推定する場合は、偏りを補正した標本分散(不偏分散)を使うのが一般的です。

どちらを使うべきかは分析の目的によって変わるため、計算式の分母に違いがある点を覚えておくと混乱しにくくなります。

分散と標準偏差の違い

分散と混同しやすい言葉の一つが「標準偏差」です。標準偏差とは、分散の正の平方根を取った値のことです。

項目分散標準偏差
計算方法偏差を2乗して平均を取る分散の平方根を取る
単位元のデータの単位の2乗元のデータと同じ単位
特徴計算の基本となる指標データとして直感的に解釈しやすい

分散は偏差を2乗しているため、単位が元のデータとは異なってしまいます。例えば点数のデータなら、分散の単位は「点の2乗」になります。

そこで平方根を取って単位を元に戻したものが標準偏差であり、実際の散らばりの大きさをイメージしやすくするために使われます。

分散と共分散の違い

もう一つ混同しやすい言葉に「共分散」があります。共分散とは、2つのデータの間にどのような関係があるかを表す指標です。

分散は1種類のデータの散らばりを表すのに対し、共分散は2種類のデータが一緒に増えたり減ったりする傾向を表します。

項目分散共分散
対象とするデータ1種類のデータ2種類のデータの組み合わせ
示すことデータのばらつきの大きさ2つのデータの変化の関連性

例えば「気温」と「アイスの売上」のように、2つの数値の動き方の関係を調べたいときに共分散が使われます。分散とは目的がはっきり異なる指標だと考えると区別しやすくなります。

分散の値から何がわかる?

分散の値そのものから、データ全体の傾向をいくつか読み取ることができます。

  • 分散が小さい:データが平均値付近に集中している
  • 分散が大きい:データが平均値から広く散らばっている
  • 分散がゼロ:すべてのデータが同じ値である

ただし分散の数値だけを見ても、どのくらいの散らばりなのか直感的にはつかみにくいという面があります。そのため実務では標準偏差に変換してから解釈することも多くあります。

分散が使われる場面

分散は統計学の教科書の中だけでなく、さまざまな実務の場面で活用されています。

  • 学校のテストで、得点のばらつきを把握する
  • 工場の製造ラインで、製品の寸法や品質のばらつきを管理する
  • アンケート調査で、回答結果の傾向を分析する
  • データ分析や機械学習で、特徴量の散らばりを評価する

いずれの場面でも、平均値だけでは見えない「データの性質」を補う指標として分散が役立っています。

分散を使うメリット

分散を使う大きなメリットは、データの散らばりを客観的な数値として比較できる点です。

感覚的な「ばらつきが大きい・小さい」という印象ではなく、具体的な数値で比較できるため、複数のデータを並べて分析するときに役立ちます。

また、分散は標準偏差や共分散など、他の統計指標を計算するための基礎にもなっています。統計を学ぶうえで欠かせない考え方といえます。

分散についてよくある誤解

分散についてよくある誤解の一つが、「分散が大きい=悪いデータ」と決めつけてしまうことです。

分散の大きさは、あくまでデータの散らばり方を表すだけであり、良い・悪いを直接示すものではありません。例えば多様な意見を集めるアンケートでは、分散が大きいこと自体が自然な結果です。

また、分散の単位が元のデータの2乗になっている点を見落とし、分散の数値をそのまま散らばりの大きさとして解釈してしまうケースもあります。実際の散らばりの大きさをイメージするときは、標準偏差に変換してから見る方が分かりやすくなります。

分散を調べる際の注意点

分散を計算したり読み取ったりする際は、いくつか気をつけたい点があります。

  • 母分散と標本分散のどちらを使っているか確認する
  • 分散の単位が元のデータの2乗になっている点を意識する
  • 極端に大きい値や小さい値(外れ値)が分散に影響を与えやすい点に注意する

特に外れ値は、偏差を2乗する計算方法の性質上、分散を大きく変化させやすいという特徴があります。データの中に極端な値が含まれていないか確認してから分散を見ることが大切です。

まとめ

分散とは、データの各値が平均値からどれくらい離れているかを示す統計量であり、データのばらつきを数値で表すために使われます。

計算方法は、平均値との差(偏差)を2乗してから平均を取るというもので、母分散と標本分散では分母の扱いに違いがあります。

標準偏差は分散の平方根を取って単位を元に戻した指標、共分散は2種類のデータの関係を示す指標であり、分散とはそれぞれ目的が異なります。

テストの点数や品質管理、データ分析など身近な場面でも使われる考え方なので、仕組みを理解しておくとデータを読む際の助けになります。

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