「就職氷河期」という言葉は、ニュースや政府の雇用政策などでたびたび使われています。就職氷河期とは、バブル経済崩壊後の景気低迷などを背景に、企業が新卒採用を大幅に抑制し、若者の就職が非常に難しくなった時期を指す言葉です。
この時期に学校を卒業して就職活動を行った人々は「就職氷河期世代」と呼ばれています。
就職氷河期はなぜ発生したのでしょうか。また、いつごろの時期を指し、当時就職活動をした人たちにはどのような影響があったのでしょうか。
この記事では、就職氷河期の意味や時期、発生した背景、就職氷河期世代が抱えてきた問題などをわかりやすく解説します。
就職氷河期とは
就職氷河期とは、企業の採用意欲が大きく低下し、新卒者の就職が厳しくなった時期のことです。
日本では、バブル経済が崩壊した後の1990年代から2000年代にかけて、企業が新卒採用を抑制する状況が続きました。
「氷河期」という表現は、企業の求人が冷え込み、就職市場がまるで凍りついたような状態になったことを表しています。
当時は、大学などを卒業しても正社員として就職できない人が少なくなく、アルバイトや派遣などの非正規雇用で働き始めるケースもありました。
就職氷河期はいつからいつまで?
就職氷河期について、すべての場面で共通する厳密な開始年と終了年が定められているわけではありません。
一般には、バブル崩壊後の1990年代半ばごろから2000年代前半にかけて、新卒採用が特に厳しかった時期を指して使われます。
政府の支援策では、対象となる「就職氷河期世代」を一定の年齢層などによって定義する場合があります。ただし、対象年齢や条件は事業や制度によって異なるため、「就職氷河期世代は必ず○歳から○歳まで」と一律に決めることはできません。
そのため、具体的な支援制度を利用する場合には、それぞれの制度が定める対象条件を確認する必要があります。
なぜ就職氷河期が起きたのか
就職氷河期が生まれた大きな背景には、バブル経済の崩壊があります。
日本では1980年代後半を中心に、株式や不動産などの資産価格が大きく上昇しました。しかし、その後バブル経済が崩壊すると、企業を取り巻く経済環境は悪化します。
企業は業績悪化や将来への不安から、人件費を抑える必要に迫られました。その対応の一つとして行われたのが、新卒採用の抑制です。
既存の従業員をすぐに減らすことが難しい企業にとって、新しく採用する人数を減らすことは人件費を調整する方法の一つでした。
その結果、学校を卒業する若者に対する求人が減少し、新卒者同士の競争が激しくなりました。
さらに、日本では新卒者を一括して採用する慣行が広く定着していたことも、問題を深刻化させた要因の一つです。
就職氷河期に起きたこと
就職氷河期には、企業の新卒採用枠が縮小し、多くの学生が厳しい就職活動を経験しました。
応募できる企業そのものが少なくなったり、多数の学生が限られた採用枠を争ったりする状況が発生しました。
希望する企業や業界に就職できないだけでなく、正社員としての就職そのものを断念せざるを得ないケースもありました。
その結果、卒業後にアルバイトや契約社員、派遣社員などの非正規雇用で働き始めた人もいます。
また、就職活動がうまくいかなかったことで、卒業後に就業していない状態になった人もいました。
就職氷河期世代とは
就職氷河期世代とは、就職氷河期に学校卒業期を迎え、厳しい雇用環境の中で就職活動を経験した世代を指します。
重要なのは、単純に生まれた年代だけで区分される言葉ではないということです。
本来は「学校を卒業して労働市場へ入る時期に、非常に厳しい就職環境に直面した人々」という意味合いを持っています。
そのため、就職氷河期世代について考える場合には、年齢だけでなく、当時の雇用環境や卒業時期なども考慮する必要があります。
なぜ就職氷河期の影響が長期化したのか
就職氷河期の問題は、景気が回復すればすべて解決するというものではありませんでした。
その理由の一つが、日本企業の新卒採用を重視する雇用慣行です。
新卒時に正社員として就職できなかった場合、その後に正社員へ移行しようとしても、実務経験や職歴などを求められることがあります。
正社員として経験を積む機会を得られなかったにもかかわらず、中途採用では経験を要求されるという状況に直面するケースもありました。
その結果、非正規雇用から正規雇用へ移行することが難しくなり、雇用の不安定さが長期間続いた人もいます。
就職氷河期が収入に与えた影響
新卒時の就職状況は、その後の収入やキャリア形成にも影響する可能性があります。
正社員として働く場合、勤続年数や経験に応じて賃金が上昇したり、昇進したりする機会があります。
一方、非正規雇用では雇用期間や賃金体系が正社員とは異なる場合があり、職業能力を高めるための研修や配置転換などの機会にも違いが生じることがあります。
こうした状況が長期間続けば、同年代であっても雇用形態やキャリアによって収入や資産形成に差が生じる可能性があります。
就職氷河期の問題が現在まで議論されている理由の一つは、このように卒業時の就職環境がその後の生活にも長期的な影響を及ぼし得るためです。
「失われた世代」と呼ばれることもある
就職氷河期世代は、文脈によって「ロストジェネレーション」や「ロスジェネ」と呼ばれることがあります。
これは英語の「Lost Generation(失われた世代)」に由来する表現です。
ただし、「ロストジェネレーション」という言葉は歴史的には別の世代を指す表現としても使われてきました。そのため、日本の雇用問題について使用する場合には、「日本の就職氷河期世代」という文脈を明確にしたほうが誤解を避けられます。
就職氷河期とリーマン・ショックは同じではない
就職氷河期と混同されやすい出来事として、2008年のリーマン・ショックがあります。
リーマン・ショック後にも企業の採用活動が冷え込み、新卒者が厳しい就職環境に直面しました。
しかし、一般に「就職氷河期」という場合は、バブル崩壊後から長期間続いた1990年代から2000年代の厳しい雇用環境を中心に指します。
リーマン・ショック後の就職難と就職氷河期は、経済状況や時期が異なるため、区別して理解することが大切です。
就職氷河期世代への支援
就職氷河期の影響が長期化したことから、国や自治体などでは就職氷河期世代を対象とした支援が実施されてきました。
支援内容には、就職相談、職業訓練、正社員への就職支援、企業とのマッチングなどがあります。
また、就労だけではなく、長期間社会との接点が少ない状態にある人などを対象とした相談・支援が行われる場合もあります。
ただし、具体的な対象者や支援内容は制度によって異なります。利用を検討する場合には、厚生労働省、ハローワーク、自治体などが公表している最新情報を確認することが重要です。
就職氷河期問題は雇用だけの問題ではない
就職氷河期世代が年齢を重ねるにつれて、問題の範囲も変化しています。
若いころには「就職できるか」という問題が中心でしたが、その後は賃金、キャリア形成、資産形成、社会保障など、より長期的な課題につながる可能性があります。
例えば、不安定な雇用が長く続けば、十分な貯蓄を形成することが難しくなる場合があります。
また、働き方や収入の状況によっては、老後の生活設計にも影響する可能性があります。
このため、就職氷河期問題は単なる過去の新卒採用問題ではなく、中長期的な社会課題として扱われています。
就職氷河期は本人の能力だけで説明できない
就職氷河期を理解するときに重要なのが、就職の結果には本人の能力や努力だけでなく、卒業した時期の景気や企業の採用状況も大きく関係するという点です。
同程度の能力を持つ人であっても、企業が積極的に採用している時期と採用を大幅に減らしている時期では、就職機会に大きな差が生じます。
就職氷河期世代は、社会に出る重要なタイミングで非常に厳しい労働市場に直面した世代です。
その影響が長期化したことから、個人の問題だけではなく、経済・雇用政策を含めた社会的な問題として議論されています。
まとめ
就職氷河期とは、バブル経済崩壊後の景気低迷などを背景として企業が採用を抑制し、新卒者の就職が非常に厳しくなった時期を指します。
一般には1990年代半ばごろから2000年代前半にかけての厳しい雇用環境を指して使われ、この時期に学校卒業期を迎えた人々は「就職氷河期世代」と呼ばれています。
就職氷河期の大きな問題は、新卒時に就職が難しかったことだけではありません。
正社員として働く機会を得られなかったことが、その後の職歴や賃金、キャリア形成などに長期的な影響を及ぼしたケースがあることです。
そのため、就職氷河期は過去の不況を表す言葉であると同時に、現在の雇用や社会保障を考えるうえでも重要なテーマとなっています。


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