読書感想文は、本を読んで感じたことや考えたことを文章にまとめるものです。学校の夏休みの宿題などで取り組む機会が多い一方、「何を書けばいいのかわからない」「あらすじばかりになってしまう」と悩む人も少なくありません。
読書感想文で大切なのは、本の内容を詳しく紹介することではありません。本を読んだことで自分が何を感じ、何を考えたのかを伝えることが中心です。
この記事では、読書感想文の基本的な意味から、構成、書き出し、感想を膨らませる方法、まとめ方までわかりやすく解説します。
読書感想文とは
読書感想文とは、本を読んで感じたことや考えたことを、自分の言葉でまとめた文章です。
物語であれば登場人物の行動について考えたり、印象に残った場面から自分自身の経験を振り返ったりできます。伝記やノンフィクションであれば、人物の生き方や社会的な出来事について自分なりの意見を書くこともできます。
重要なのは「本に何が書かれていたか」だけではなく、「その内容を読んで自分がどう感じたか」です。
読書感想文とあらすじの違い
読書感想文を書くときに注意したいのが、あらすじとの違いです。
あらすじは、本の内容や物語の展開を簡潔に説明するものです。一方、読書感想文では、本の内容を踏まえて自分の感情や考えを書くことが中心になります。
たとえば、物語の主人公が困っている友人を助ける場面があったとします。
「主人公は困っている友人を助けました」と書くだけなら、物語の内容を説明しているだけです。
そこから、
「私はこの場面を読んで、自分だったら同じように行動できるだろうかと考えました」
と続ければ、自分自身の考えが加わり、感想文らしくなります。
あらすじは感想を書くために必要な範囲にとどめ、自分の感じたことや考えたことを中心にするとよいでしょう。
読書感想文を書く前に準備すること
いきなり原稿用紙に書き始める必要はありません。まずは本を読みながら、気になった部分を整理しておくと文章を書きやすくなります。
特に次のような部分をメモしておくと役立ちます。
- 心に残った場面
- 驚いた場面
- 面白いと思った場面
- 悲しい、うれしい、悔しいなどの感情を抱いた場面
- 共感した登場人物
- 理解できなかった登場人物の行動
- 自分の経験と似ている場面
- 読む前と考えが変わった部分
本全体について感想を書こうとすると、内容が広がりすぎてしまうことがあります。
そのため、特に印象に残った一つから三つ程度の場面やテーマを選び、それについて深く考える方法も有効です。
読書感想文の基本構成
読書感想文には絶対的な形式が決められているわけではありませんが、「はじめ・なか・おわり」を意識すると文章を整理しやすくなります。
1.本を選んだ理由や読み始めたきっかけ
最初に、その本を読もうと思った理由や、読む前に感じていたことを書きます。
たとえば、
「タイトルを見て、どんな物語なのか気になった」
「家族にすすめられて読んでみようと思った」
「以前から興味のあるテーマだった」
などです。
本を手に取ったときの自分の気持ちを書くことで、自然に本文へつなげることができます。
2.印象に残った場面
次に、本の中で特に印象に残った場面や出来事について書きます。
ここでは、その場面を知らない人にも伝わる程度に内容を説明します。ただし、物語全体を最初から最後まで詳しく説明する必要はありません。
感想を書くために必要な情報に絞ることがポイントです。
3.その場面から感じたことや考えたこと
読書感想文の中心となる部分です。
「面白かった」「感動した」「かわいそうだった」といった感情だけで終わらせず、なぜそう思ったのかまで掘り下げます。
たとえば、
「主人公が最後まで諦めなかったところに感動した」
という感想なら、
「なぜ諦めなかったことに感動したのか」
「自分ならどうしていただろうか」
「自分にも諦めそうになった経験はなかったか」
と考えていくことで文章を膨らませられます。
4.自分自身の経験や考えと結びつける
本の出来事と自分自身の経験を結びつけると、オリジナリティのある読書感想文になります。
たとえば、登場人物が失敗を乗り越える物語なら、自分がスポーツや勉強などで失敗した経験について考えることができます。
本の内容と自分の経験が完全に同じである必要はありません。
「似たような気持ちになったことがある」
「自分は反対の行動をしたことがある」
といった比較でも十分です。
5.本を読んで変わったことをまとめる
最後は、本を読み終えたことで得た気づきや考え方の変化についてまとめます。
「これからは困っている人がいたら自分から声をかけたい」
「失敗してもすぐに諦めないようにしたい」
「今までとは違う視点から物事を考えられるようになった」
など、本を読んだ経験が今後の自分にどうつながるのかを書くと、締まりのある文章になります。
読書感想文の書き出し方
読書感想文で特に悩みやすいのが最初の一文です。
必ずしも「私は○○という本を読みました」から始める必要はありません。
たとえば、印象に残った感情から始める方法があります。
「もし私が主人公と同じ立場だったら、同じ決断はできなかったと思います。」
疑問から始めることもできます。
「本当の勇気とは、いったい何なのでしょうか。」
本を読む前と後の変化から始める方法もあります。
「私はこの本を読むまで、失敗することはできるだけ避けたいと思っていました。」
このような書き出しにすると、その後に自分の感想を展開しやすくなります。
「面白かった」から感想を膨らませる方法
感想文を書くとき、「面白かった」「感動した」から先に進めなくなることがあります。
そんなときは、自分自身に「なぜ?」と問いかけてみましょう。
「面白かった」
↓
「なぜ面白かった?」
↓
「主人公の考え方が予想と違ったから」
↓
「なぜそれが印象に残った?」
↓
「自分なら違う選択をすると思ったから」
このように理由を掘り下げていくと、自分ならではの感想が見えてきます。
「なぜ?」「自分だったら?」「似た経験は?」「読む前はどう思っていた?」という問いを使うと、考えを整理しやすくなります。
自分の体験を入れると書きやすくなる
読書感想文では、自分自身の経験を書くことも重要です。
たとえば、本の中に友達とのけんかが登場したのであれば、自分が友達と意見が合わなかった経験を思い出してみます。
そのうえで、
「物語の主人公は自分から謝っていた。しかし、私は以前、素直に謝ることができなかった」
と比較すれば、本の感想と自分の経験を自然につなげられます。
こうした部分は、ほかの人には書けない内容です。そのため、自分自身の経験や考えを盛り込むことで、その人らしい読書感想文になります。
読書感想文を書くときに避けたいこと
あらすじだけになってしまう
物語を最初から最後まで説明してしまうと、読書感想文ではなく本の紹介文に近くなります。
あらすじを書く場合は、自分の感想を理解してもらうために必要な範囲に絞りましょう。
「面白かった」だけで終わる
感情を書くこと自体は問題ありません。
しかし、
「面白かったです」
だけでは、なぜ面白かったのかが伝わりません。
「○○だったので面白かった」「○○について初めて考えた」のように理由を加えることが重要です。
本に書かれている言葉を写しすぎる
読書感想文の中心は、自分自身の文章です。
印象的な言葉に触れる場合でも、必要以上に本文を書き写すのではなく、その言葉から何を感じたのかを自分の言葉で説明しましょう。
上手な文章を書こうとしすぎる
難しい言葉を無理に使う必要はありません。
特に小学生や中学生の読書感想文では、自分が普段使わない表現を並べるよりも、「自分はどう思ったのか」を自分の言葉で具体的に書くことが大切です。
読書感想文が書けないときの質問リスト
何を書けばよいかわからなくなったら、次の質問に答えてみましょう。
- なぜこの本を選んだのか
- 一番好きな登場人物は誰か
- 一番印象に残った場面はどこか
- 驚いたところはどこか
- 共感できなかったところはあるか
- 自分ならどう行動するか
- 登場人物と似た経験をしたことはあるか
- 読む前と読んだ後で考えが変わったことはあるか
- 作者が伝えたかったことは何だと思うか
- この本を誰かにすすめたいと思うか
- 本を読んで、これからやってみたいことはあるか
すべてに答える必要はありません。答えやすい質問をいくつか選び、その回答をつなげていくだけでも感想文の材料になります。
読書感想文のまとめ方
最後の段落では、本文で書いた内容を踏まえて、自分が得た気づきや今後について書くと自然にまとめられます。
たとえば、
「この本を読んで、勇気とは怖くないことではなく、怖くても行動することなのではないかと思いました。これから自分が迷ったときには、この物語の主人公の行動を思い出したいです。」
というように、本から得た考えを自分の未来につなげる方法があります。
最初の段落で書いた内容に戻る方法も効果的です。
最初に「失敗することが怖かった」と書いたのであれば、最後に「失敗に対する考え方がどう変わったのか」を書くことで、文章全体にまとまりが生まれます。
読書感想文を書く基本的な手順
読書感想文は、次のような順番で進めると書きやすくなります。
- 本を読む
- 気になった場面や言葉をメモする
- 最も書きたいテーマを決める
- その場面について「なぜ?」と考える
- 自分の経験や考えと結びつける
- 「はじめ・なか・おわり」の構成を作る
- 下書きをする
- 読み返して文章を整える
- 誤字・脱字や表現を確認する
特に重要なのは、原稿用紙に書き始める前の準備です。
「何について書くか」が決まっていれば、途中で内容に迷いにくくなります。
読書感想文に正解はある?
読書感想文では、同じ本を読んでも人によって感じ方が異なります。
ある登場人物の行動を「勇気がある」と感じる人もいれば、「少し無謀だ」と感じる人もいるでしょう。
大切なのは、自分の意見に理由があることです。
「私はこう思った。なぜなら○○だからだ」と説明できれば、自分自身の視点を持った感想文になります。
ほかの人と違う感想になったからといって、それだけで間違いになるわけではありません。
まとめ
読書感想文は、本の内容を説明するための文章ではなく、本を通じて自分が感じたことや考えたことを表現する文章です。
書くときは、「印象に残った場面」「なぜそう感じたのか」「自分だったらどうするか」「自分の経験と似ているところはあるか」といった視点から考えてみましょう。
特に「なぜ?」を繰り返すことで、「面白かった」「感動した」だけでは終わらない、具体的な感想を見つけやすくなります。
文章を書くことが苦手でも、最初から完璧な文章を作る必要はありません。まずは本を読んで感じたことをメモし、それを順番に整理していくことが大切です。
自分が本から何を受け取り、どのように考えたのかを自分自身の言葉で表現することが、読書感想文を書くうえでの基本となります。

コメント