厚生労働省は、日本の中央省庁の一つです。医療や健康、福祉、介護、年金、雇用、労働など、私たちの生活に深く関係する幅広い分野を担当しています。
病院で健康保険を利用する、会社で働く、年金を受け取る、介護サービスを利用するといった日常生活のさまざまな場面に、厚生労働省が所管する制度が関係しています。
この記事では、厚生労働省とはどのような行政機関なのか、主な役割や仕事内容、組織についてわかりやすく解説します。
厚生労働省とは
厚生労働省は、社会保障や公衆衛生、労働などに関する行政を担う国の行政機関です。
英語では「Ministry of Health, Labour and Welfare」と表記され、略称として「MHLW」が使用されています。
現在の厚生労働省は、2001年1月の中央省庁再編に伴い、それまでの「厚生省」と「労働省」が統合されて発足しました。
厚生省が担っていた医療、福祉、年金などの分野と、労働省が担っていた雇用や労働環境などの分野が一つの省にまとめられたことで、現在の厚生労働省につながっています。
厚生労働省は何をするところ?
厚生労働省の仕事は非常に幅広く、大きく分けると「健康・医療」「福祉・介護」「社会保険・年金」「雇用・労働」などの分野があります。
私たちが病気になったとき、仕事をするとき、高齢になったときなど、人生のさまざまな段階に関係する制度を担当しています。
健康・医療に関する仕事
厚生労働省は、国民の健康や医療に関するさまざまな制度を所管しています。
医療提供体制や医療従事者に関する制度、健康づくり、生活衛生、感染症対策などが代表的です。
また、医薬品や医療機器などの品質、有効性、安全性に関する行政も重要な仕事です。
感染症が発生した場合には、関係機関などと連携しながら感染拡大の防止や必要な対策を進めます。
健康保険に関する仕事
日本では、原則としてすべての人が公的医療保険制度の対象となる仕組みが採用されています。
厚生労働省は、健康保険や国民健康保険、後期高齢者医療制度など、公的医療保険に関係する制度を所管しています。
医療機関を受診した際に、患者が医療費の全額ではなく一定の自己負担額を支払う仕組みなども、公的医療保険制度によるものです。
福祉に関する仕事
厚生労働省は、生活に困難を抱える人や障害のある人などを支援する福祉政策にも関わっています。
生活保護制度や生活困窮者への支援、障害者福祉などが代表的です。
ただし、子どもに関する行政については注意が必要です。
2023年4月1日にこども家庭庁が発足したことに伴い、それまで厚生労働省の旧子ども家庭局が担当していた事務の多くが、こども家庭庁へ移管されました。
そのため、「子育てや児童福祉に関する行政はすべて厚生労働省が担当している」と理解するのは現在では正確ではありません。一部の分野では厚生労働省とこども家庭庁が連携・共管する仕組みもあります。
介護に関する仕事
高齢者の介護に関する政策も厚生労働省の重要な仕事です。
代表的なものが介護保険制度です。
介護が必要になった人が適切な介護サービスを利用できるよう、介護保険制度の企画や運営に関する政策を進めています。
高齢化が進む日本では、医療と介護をどのように提供していくかは重要な政策課題となっています。
年金に関する仕事
厚生労働省は、公的年金制度も所管しています。
日本の公的年金には、国民年金や厚生年金保険などがあります。
年金は高齢になったときだけに関係する制度ではありません。一定の要件を満たした場合には、障害年金や遺族年金などが支給される仕組みもあります。
実際の年金に関する各種業務では、日本年金機構も重要な役割を担っています。
雇用に関する仕事
働く人と企業を結び付ける雇用政策も厚生労働省の担当分野です。
職業紹介や雇用保険、失業者への就職支援、高齢者や障害者などの雇用促進といった施策があります。
全国のハローワーク(公共職業安定所)は、こうした雇用政策を地域で実施する重要な機関です。
求職者への職業相談や職業紹介、雇用保険に関する手続きなどを行っています。
労働環境に関する仕事
労働者が安全かつ適正な環境で働けるようにすることも、厚生労働省の重要な役割です。
労働時間や休憩、休日、賃金などに関係する労働基準行政をはじめ、最低賃金、労働安全衛生、労災保険など幅広い分野を担当しています。
また、雇用環境の整備や仕事と家庭の両立支援、雇用における男女の均等な機会や待遇の確保などに関する政策も進めています。
労働基準監督署との関係
労働基準監督署は、厚生労働省の地方組織である都道府県労働局の下に置かれている機関です。
労働基準法をはじめとする関係法令に基づき、事業場への監督指導などを行います。
また、労働災害に関する労災保険給付の手続きなども取り扱っています。
会社で働く人にとっては、厚生労働行政を身近に感じる機関の一つといえるでしょう。
厚生労働省にはどのような組織がある?
厚生労働省の本省には、大臣官房のほか、政策分野ごとに複数の局などが設置されています。
主な局には、医政局、健康・生活衛生局、医薬局、労働基準局、職業安定局、雇用環境・均等局、社会・援護局、老健局、保険局、年金局があります。
それぞれが専門分野を担当することで、非常に広範囲な厚生労働行政を支えています。
例えば、医政局は医療提供体制など、労働基準局は労働条件や労働安全衛生など、職業安定局は雇用や職業紹介など、老健局は介護など、年金局は公的年金制度などを担当しています。
厚生労働省とこども家庭庁の違い
厚生労働省について調べる際、現在特に混同しやすいのがこども家庭庁との関係です。
こども家庭庁は2023年4月1日に発足しました。
これに伴い、厚生労働省にあった子ども家庭局は廃止され、その事務の多くがこども家庭庁へ移管されました。
現在は、こどもや子育て家庭への支援などをこども家庭庁が担う一方、厚生労働省は医療、社会保障、障害者福祉、介護、雇用、労働、年金などを引き続き幅広く担当しています。
政策によっては両者が連携したり、法律を共管したりする場合もあるため、完全に独立しているわけではありません。
厚生労働省が生活に深く関係する理由
厚生労働省が担当する分野には、人の一生に関係する制度が数多く含まれています。
病気やけがをしたときには医療保険、仕事をするときには労働関係法令や雇用保険、介護が必要になったときには介護保険、高齢になったときには年金制度などが関係します。
そのため、普段は厚生労働省を直接意識していなくても、厚生労働省が所管する制度を利用している場面は少なくありません。
厚生労働省と地方自治体の関係
厚生労働省が政策や制度を所管していても、すべての行政サービスを厚生労働省が直接提供しているわけではありません。
都道府県や市区町村、都道府県労働局、労働基準監督署、ハローワークなど、さまざまな行政機関がそれぞれの役割を担っています。
例えば、国民健康保険や介護保険などでは市区町村などが重要な役割を担っています。
「厚生労働省が所管する制度」と「実際に申請や相談を受け付ける窓口」は異なる場合があることを理解しておくとよいでしょう。
厚生労働省は私たちの生活を支える行政機関
厚生労働省は、医療、健康、福祉、介護、社会保険、年金、雇用、労働などを幅広く担当する国の行政機関です。
2001年の中央省庁再編で厚生省と労働省が統合されて発足し、現在まで日本の社会保障政策や労働政策を担う中心的な省庁として機能しています。
一方、2023年にはこども家庭庁が発足し、厚生労働省の旧子ども家庭局が担当していた事務の多くが移管されるなど、行政組織の役割分担も変化しています。
厚生労働省を簡単に表現すると、「健康に暮らすこと」「安心して働くこと」「病気や高齢、生活上の困難などに社会全体で備えること」に関係する制度を幅広く担当している省庁といえるでしょう。


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