算定基礎届とは?提出時期や対象者、標準報酬月額の決まり方をわかりやすく解説

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会社員として働いていると、毎月の給与から健康保険料や厚生年金保険料が控除されています。これらの社会保険料を計算する際の基礎となる「標準報酬月額」を定期的に見直すために行われる手続きが「算定基礎届」です。

算定基礎届は多くの事業所が毎年行う重要な社会保険の手続きです。

この記事では、算定基礎届とは何か、いつ提出するのか、どのように標準報酬月額が決まるのかなど、基本的な仕組みをわかりやすく解説します。

算定基礎届とは

算定基礎届とは、健康保険・厚生年金保険に加入している被保険者について、実際に支払われた報酬を届け出て、標準報酬月額を定期的に見直すための手続きです。

正式には「被保険者報酬月額算定基礎届」といいます。

健康保険料や厚生年金保険料は、毎月の給与額そのものに保険料率を掛けて計算するのではなく、給与などの報酬を一定の幅で区分した「標準報酬月額」を基礎として計算します。

給与は残業などによって毎月変動する可能性があるため、原則として毎年1回、実際の報酬をもとに標準報酬月額を見直します。この手続きを「定時決定」といい、そのために提出するのが算定基礎届です。

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料などを計算するために、被保険者が受け取る報酬を一定の等級に区分した金額です。

標準報酬月額は社会保険料だけでなく、健康保険の傷病手当金や出産手当金、将来受け取る厚生年金などの計算にも関係します。

そのため、算定基礎届によって適切な標準報酬月額を決定することは、保険料だけでなく社会保険の給付にも関係する重要な手続きです。

算定基礎届では4月・5月・6月の報酬を確認する

定時決定では、原則としてその年の4月、5月、6月に支払われた報酬をもとに標準報酬月額を決定します。

ここで重要なのは、「4月から6月に働いた分」ではなく、「4月から6月に実際に支払われた報酬」が基準になることです。

たとえば、給与が翌月払いの会社では、4月に支払われた3月勤務分の給与も4月の報酬として扱われます。

対象となる各月の報酬を確認し、一定の条件を満たす月の報酬月額を平均して標準報酬月額を決定します。

報酬には基本給以外も含まれる

算定基礎届でいう「報酬」は、基本給だけを意味するものではありません。

労働の対償として事業主から継続的に受けるものは、名称にかかわらず原則として報酬に含まれます。

たとえば、基本給のほか、残業手当、役職手当、家族手当、住宅手当、通勤手当などが該当します。

現金で支給されるものだけでなく、食事や住宅など現物で支給されるものについても、一定の方法で金額に換算して報酬に含める場合があります。

一方、年3回以下支給される賞与などは通常の報酬とは別に扱われ、原則として「賞与」として社会保険の手続きが行われます。

算定基礎届の計算方法

算定基礎届では、原則として4月・5月・6月のうち、支払基礎日数が17日以上ある月を算定の対象とします。

たとえば、対象となる報酬が次のような場合を考えてみます。

4月:300,000円
5月:320,000円
6月:310,000円

3か月すべてが算定対象となる場合、報酬月額の平均は次のようになります。

(300,000円+320,000円+310,000円)÷3=310,000円

この平均額を健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額の等級表に当てはめ、標準報酬月額を決定します。

そのため、平均額が310,000円だったからといって、必ず標準報酬月額も310,000円になるわけではありません。

支払基礎日数とは

支払基礎日数とは、報酬の支払い対象となった日数のことです。

月給制の場合は暦日数を支払基礎日数とするのが一般的ですが、欠勤した日数分の給与を差し引く日給月給制などでは、就業規則や給与規程などに基づいて支払基礎日数を算出します。

日給制や時給制の場合は、原則として実際の出勤日数などが支払基礎日数になります。

算定基礎届では、この支払基礎日数によって、その月を標準報酬月額の算定に含めるかどうかを判断します。

短時間労働者などでは基準が異なる

すべての被保険者について「17日以上」という基準だけで判断するわけではありません。

特定適用事業所などで社会保険の適用対象となっている短時間労働者については、支払基礎日数が11日以上ある月を算定対象とするなど、通常の被保険者とは異なる取り扱いがあります。

また、通常の被保険者でも、4月・5月・6月の3か月すべての支払基礎日数が17日未満の場合などには、一定の条件のもとで15日以上17日未満の月を算定対象とする場合があります。

雇用形態や勤務状況によって計算方法が変わるため、実際の届出では個別の条件を確認することが重要です。

算定基礎届の提出時期

算定基礎届の提出期間は、原則として毎年7月1日から7月10日までです。

7月10日が土曜日、日曜日または祝日に当たる場合は、翌営業日が提出期限となります。

事業主は対象となる被保険者について算定基礎届を作成し、日本年金機構などへ提出します。

電子申請による提出も可能です。

算定基礎届の対象者

算定基礎届は、原則として7月1日時点で健康保険・厚生年金保険の被保険者となっている人が対象です。

ただし、すべての被保険者について算定基礎届による定時決定が行われるわけではありません。

たとえば、6月1日以降に資格を取得した人や、7月から9月までの間に随時改定・育児休業等終了時改定・産前産後休業終了時改定が予定されている人などは、定時決定の対象外となる場合があります。

対象者の判定には細かな条件があるため、実際に届出を行う際には日本年金機構などが示す最新の手続き内容を確認する必要があります。

決定された標準報酬月額はいつから適用される?

算定基礎届による定時決定で決まった標準報酬月額は、原則としてその年の9月から翌年8月まで適用されます。

たとえば、2026年の4月・5月・6月の報酬をもとに定時決定された標準報酬月額は、原則として2026年9月から2027年8月まで適用されます。

ただし、この期間中に固定的賃金が変動し、一定の条件を満たした場合には「随時改定」が行われ、標準報酬月額が途中で変更されることがあります。

算定基礎届と月額変更届の違い

算定基礎届と混同しやすい手続きに「月額変更届」があります。

算定基礎届は、毎年決められた時期に標準報酬月額を見直す「定時決定」のための届出です。

一方、月額変更届は、昇給や降給などによって固定的賃金が変動し、その後の報酬に一定以上の変化が生じるなど、所定の要件を満たした場合に標準報酬月額を改定する「随時改定」のための届出です。

つまり、算定基礎届は原則として年1回の定期的な見直し、月額変更届は一定の要件を満たした場合に行う途中の見直しと考えると理解しやすいでしょう。

4月から6月に残業が多いと社会保険料は高くなる?

「4月から6月に残業すると社会保険料が高くなる」といわれることがあります。

算定基礎届では原則として4月・5月・6月に支払われた報酬を使用し、残業手当も報酬に含まれるため、この期間に支払われる残業手当が増えれば、標準報酬月額が上がる可能性はあります。

ただし、社会保険料は標準報酬月額の等級を基準としているため、残業手当が少し増えただけで必ず等級が上がるわけではありません。

また、毎年の報酬の状況などによっては、通常の算定方法とは異なる方法が適用されるケースもあります。

したがって、「4月から6月に残業すると必ず社会保険料が上がる」と考えるのは正確ではありません。

算定基礎届は誰が提出する?

算定基礎届を提出するのは被保険者本人ではなく、原則として勤務先の事業主です。

会社員が自分で日本年金機構へ算定基礎届を提出する手続きではありません。

企業では、総務や人事、給与計算などを担当する部署が必要な情報を確認して手続きを行うのが一般的です。

算定基礎届が重要な理由

算定基礎届によって決定される標準報酬月額は、毎月負担する健康保険料や厚生年金保険料の計算に使用されます。

また、標準報酬月額は一部の社会保険給付や将来の厚生年金額にも関係します。

そのため、事業主には実際の報酬や勤務状況を正確に確認し、適切に届け出ることが求められます。

まとめ

算定基礎届とは、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を毎年見直すために事業主が提出する届出です。

原則として4月・5月・6月に支払われた報酬をもとに標準報酬月額を算定し、決定された標準報酬月額は原則としてその年の9月から翌年8月まで適用されます。

ただし、支払基礎日数が少ない場合や短時間労働者、途中入社、随時改定の対象者などでは通常とは異なる取り扱いになることがあります。

算定基礎届は単なる年次手続きではなく、従業員と会社が負担する社会保険料や社会保険給付に関係する重要な手続きです。実際に届出を行う際には、対象年度の日本年金機構などの最新情報を確認し、正確に手続きを行うことが大切です。

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