骨盤骨折とは?原因や症状、大腿骨骨折・脊椎骨折との違いをわかりやすく解説

骨盤骨折 ナレッジ

交通事故のニュースや高齢者の転倒事故の話題で、「骨盤骨折」という言葉を耳にすることがあります。

しかし、骨盤のどこが折れた状態を指すのか、どのくらい重いけがなのかは、意外とわかりにくいものです。

骨盤骨折とは、骨盤を作る腸骨・恥骨・坐骨・仙骨などの骨のどこかが折れた状態を指し、原因や骨折の場所によって重症度が大きく異なります。

この記事では、骨盤骨折の意味や原因、症状、大腿骨骨折・脊椎骨折との違いについてわかりやすく解説します。

骨盤骨折とは

骨盤骨折とは、骨盤を作る腸骨・恥骨・坐骨・仙骨などの骨が折れた状態を指します。

骨盤は体幹と両足をつなぐ重要な部分で、内部には血管や神経、膀胱などの臓器が集まっています。

そのため骨盤骨折は、単なる骨の損傷にとどまらず、全身状態に影響する外傷として扱われます。

⚠️ 健康・医療に関する大切なお知らせ
このページは一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。症状や治療など健康に関する判断は自己判断せず、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。

参考: 厚生労働省 / e-ヘルスネット(厚労省) / MSDマニュアル家庭版 / 難病情報センター

骨盤の仕組みと骨盤輪

骨盤は左右の腸骨・恥骨・坐骨と、背骨側の仙骨・尾骨が組み合わさり、リング状の構造を作っています。

この輪っか状の骨格は骨盤輪と呼ばれ、体重を支えたり、歩行時の力を分散させたりする役割を担っています。

骨盤輪のどこかが折れると、リング全体のバランスが崩れ、骨折の場所によって不安定さの程度が変わります。

骨盤骨折が起こる原因

骨盤骨折が起こる原因は、年齢や体の状態によって大きく二つに分けられます。

一つは交通事故や高所からの転落のように、強い力が加わって起こるものです。

もう一つは、高齢者が転んだときや、スポーツでの繰り返しの負荷によって起こるものです。

若い世代では前者が多く、骨の強度が下がった高齢者では、比較的軽い外力でも骨折に至ることがあります。

骨盤骨折の種類

高エネルギー外傷による骨折

交通事故や転落のように強い衝撃で起こる骨折は、骨盤輪の安定性が失われやすく、他の臓器の損傷を伴うことも少なくありません。

低エネルギー外傷による骨折

高齢者の転倒やランナーなどに見られる疲労骨折は、骨盤輪の形が比較的保たれる安定型の骨折になりやすいとされています。

骨盤骨折の症状

骨盤骨折の主な症状は、骨盤周辺の強い痛みと、立ったり歩いたりする際の困難さです。

股関節やお尻、下腹部に痛みが広がることもあり、横になった姿勢でも痛みが続く場合があります。

強い外力による骨折では、出血の影響で顔色が悪くなったり、意識がはっきりしなくなったりすることもあります。

骨盤骨折で注意すべき合併症

骨盤骨折でもっとも注意が必要なのは、骨盤内の血管が傷つくことによる出血です。

骨盤の中には太い静脈や動脈が集まっており、不安定な骨折では体の中で大量の出血が起こる場合があります。

ほかにも、膀胱や尿道、腸などの臓器が損傷したり、神経が傷ついて足の感覚やしびれに影響が出たりすることもあります。

このような合併症が疑われる場合は救急での対応が必要になるため、速やかに医療機関を受診することが大切です。

骨盤骨折の診断方法

骨盤骨折が疑われる場合、まずレントゲン撮影で骨の状態を確認します。

より詳しい骨折の形や臓器への影響を調べるために、CT検査が行われることも多くあります。

出血や臓器損傷の可能性がある場合は、血液検査や画像検査を組み合わせて全身の状態を確認します。

骨盤骨折の治療法

治療方針は、骨折の安定性や全身の状態によって異なります。

骨盤輪の形が保たれている安定型の骨折では、安静にして痛みを抑える保存療法が選ばれることが多いです。

一方、骨盤輪が崩れている不安定型の骨折では、出血を抑える処置を優先したうえで、プレートやスクリューを使って骨を固定する手術が検討されます。

いずれの治療を選ぶかは、年齢や体力、合併する損傷の有無などを踏まえて医師が判断します。

骨盤骨折と大腿骨骨折の違い

大腿骨骨折は、太ももの骨である大腿骨が折れた状態を指し、骨盤骨折とは折れる骨の部位が異なります。

高齢者の転倒では、骨盤骨折と大腿骨骨折のどちらも起こり得るため、症状だけでは区別しにくい場合があります。

大腿骨骨折は股関節に近い部分で起こることが多く、骨盤骨折は骨盤輪そのものに損傷が生じる点が異なります。

骨盤骨折と脊椎骨折の違い

脊椎骨折は背骨を作る椎骨が折れた状態で、骨盤骨折とは損傷する骨格が異なります。

脊椎骨折では背骨の近くを通る神経が影響を受けやすく、しびれや麻痺などの症状が出ることがあります。

骨盤骨折と脊椎骨折は、強い外力によって同時に起こることもあるため、転落や事故の際はどちらの可能性も確認されます。

骨盤骨折と交通外傷の関係

交通外傷とは、交通事故によって生じるけが全体を指す言葉で、骨盤骨折はその中の一つの損傷です。

交通事故では、骨盤骨折だけでなく、頭や胸、腹部など複数の部位に同時にけがを負うことが多くあります。

そのため交通外傷の現場では、骨盤骨折の有無だけでなく、全身の状態を確認することが重視されます。

骨盤骨折からの回復とリハビリ

骨盤骨折の回復には、骨折の程度や治療方法に応じた時間が必要です。

安静期間を経たあとは、理学療法士の指導のもとで、少しずつ体重をかけながら歩行練習などのリハビリを進めます。

回復の経過には個人差があり、年齢や体力、合併するけがの有無によって必要な期間が変わります。

日常生活への復帰を目指す過程では、医師や理学療法士と相談しながら無理のない範囲で進めることが望まれます。

骨盤骨折に関するよくある誤解

骨盤骨折は交通事故でしか起こらないと思われがちですが、高齢者の転倒でも起こり得るけがです。

また、骨盤を骨折すると歩けなくなると考える人もいますが、骨折の場所や程度によって症状の重さは大きく異なります。

痛みが軽いからといって自己判断で様子を見るのではなく、強い外力を受けたあとは医療機関で検査を受けることが大切です。

まとめ

骨盤骨折とは、腸骨・恥骨・坐骨・仙骨などからなる骨盤輪のいずれかが折れた状態を指します。

原因は交通事故などの強い外力から、高齢者の転倒のような比較的弱い力まで幅広く、出血や臓器損傷などの合併症に注意が必要です。

大腿骨骨折や脊椎骨折とは骨折する骨格の部位が異なり、交通外傷の中では骨盤骨折が起こる損傷の一つとして位置づけられます。

強い外力を受けたあとに痛みや違和感がある場合は、自己判断せず、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

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