「手術には合併症のリスクがあります」「糖尿病の合併症に注意」など、合併症という言葉は病院の説明やニュースでよく耳にします。
一方で、後遺症や副作用、併存症といった似た言葉との違いを説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
合併症とは、ある病気や治療がきっかけとなって新たに起こる別の病態や障害のことを指す医学用語です。
この記事では、合併症の意味や起こる仕組み、後遺症・副作用・併存症との違いについてわかりやすく解説します。
合併症とは
合併症とは、ある病気や治療、手術などがきっかけとなって、それとは別に新しく生じる病態や障害のことです。
英語では「complication」と呼ばれ、日本の医療現場でも日常的に使われている言葉です。
もとの病気自体の症状ではなく、それが引き金となって別の臓器や体の機能に影響が広がった状態を指す点がポイントです。
そのため合併症は、もとの病気よりも重い状態になったり、治療の経過を大きく左右したりすることがあります。
⚠️ 健康・医療に関する大切なお知らせ
このページは一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。症状や治療など健康に関する判断は自己判断せず、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。
参考: 厚生労働省 / e-ヘルスネット(厚労省) / MSDマニュアル家庭版 / 難病情報センター
合併症の由来・語源
合併症の「合併」は、もともと二つ以上のものが一つに合わさることを意味する言葉です。
医療の分野では、もとの病気に別の病気が「合わさって」起こる状態を表すために使われるようになったと考えられています。
英語のcomplicationには「複雑にする」という意味があり、病状を複雑にする要因という発想に近い言葉です。
日本語の「合併症」と英語の「complication」は、視点は少し異なりますが、どちらも一つの病気や治療が単純には終わらないことを示す言葉として使われています。
合併症が起こる仕組み
合併症が起こる仕組みは、大きく分けて二つのパターンがあります。
疾患に伴う合併症
一つは、もとの病気そのものが進行したり長引いたりすることで、他の臓器や機能に影響が及ぶパターンです。
血管や神経、臓器が徐々にダメージを受け、別の病態として表面化していくイメージです。
治療・手術に伴う合併症
もう一つは、治療や手術そのものが原因となって起こるパターンです。
手術後の感染症や出血、血栓、麻酔による体への負担などが代表的な例です。
合併症の種類
合併症には、発症の原因やタイミングによっていくつかの種類があります。
- もとの疾患が原因で起こる合併症(糖尿病による血管や神経の障害など)
- 手術そのものが原因で起こる合併症(術後感染や出血、血栓など)
- 薬物治療が原因で起こる合併症(想定外の臓器への負担など)
- 感染症をきっかけに起こる合併症(インフルエンザに伴う肺炎など)
このように、合併症は一つの原因だけでなく、さまざまな場面で起こりうる幅広い概念です。
合併症と後遺症の違い
合併症と後遺症は、どちらも病気や治療の後に起こる問題ですが、意味には違いがあります。
合併症は、病気や治療の経過中に新たに生じる別の病態を指す言葉です。
一方で後遺症は、病気やけがが治った、または落ち着いた後も、体の機能や症状が回復しきらずに残った状態を指します。
| 観点 | 合併症 | 後遺症 |
|---|---|---|
| 起こる時期 | 病気や治療の経過中 | 病気やけがが一段落した後 |
| 性質 | 新たに生じる別の病態 | もとの症状や機能低下が残った状態 |
| 例 | 手術後の感染症など | 脳卒中による麻痺が残るなど |
つまり、合併症は途中で新しく起こる問題、後遺症はその後まで残る問題、と整理するとわかりやすくなります。
合併症と副作用の違い
合併症と副作用は混同されやすい言葉ですが、対象とする範囲が異なります。
副作用は、薬などが本来期待される作用(主作用)以外に体に及ぼす、望ましくない作用のことです。
これに対して合併症は、薬に限らず、病気そのものや手術、治療全般から生じる二次的な病態を広く指す言葉です。
言い換えると、副作用は合併症の一つの原因になりうるものの、合併症の方がより広い概念だといえます。
合併症と併存症の違い
併存症とは、もともと本人が別々に抱えている、直接の因果関係がない複数の病気のことです。
たとえば、糖尿病の治療中の人がもともと高血圧も持っていた場合、この高血圧は糖尿病の併存症にあたります。
一方で、糖尿病が原因で血管が傷つき、新たに腎臓の機能が低下した場合は、これは併存症ではなく合併症として扱われます。
併存症は「もとからあった別の病気」、合併症は「ある病気や治療がきっかけで新しく生じた病気」という違いで整理できます。
合併症を使った例文
- 高血圧を長年放置すると、脳卒中や腎機能低下などの合併症が起こるリスクが高まると言われる。
- この手術には、出血や感染症といった合併症が起こる可能性があると医師から説明を受けた。
- インフルエンザにかかった後、肺炎などの合併症を発症し、入院が必要になるケースもある。
- 糖尿病の合併症を防ぐために、定期的な検査と生活習慣の見直しをすすめられた。
合併症の具体例
合併症の代表例としてよく挙げられるのが、糖尿病に伴う三大合併症です。
血糖値が高い状態が長く続くことで、網膜、腎臓、神経などが徐々にダメージを受けていくとされています。
進行すると、視力の低下や人工透析、手足のしびれといった深刻な状態につながることもあります。
このほか、インフルエンザから肺炎や脳症に進むケースや、手術後に感染症や血栓症が起こるケースも、合併症の身近な例です。
合併症を防ぐために気をつけたいこと
合併症をゼロにすることは難しいものの、早期発見や予防のためにできることはあります。
- 生活習慣病を放置せず、早めに治療を始める
- 定期的な健康診断や検査で体の変化を確認する
- 医師の指示どおりに薬を使い、自己判断で中断しない
- 手術や治療を受ける前に、起こりうる合併症について医師から説明を受ける
気になる症状や治療方針については、自己判断せず、医師など専門家に相談することが大切です。
合併症に関するよくある誤解
合併症が起こると「医療ミスではないか」と考えてしまう人もいますが、これは誤解であることが多いです。
合併症は、適切な治療を行っていても一定の確率で起こりうるものとして、医学的に想定されている場合が少なくありません。
だからこそ手術前には、起こりうる合併症についてあらかじめ説明を受け、納得したうえで治療に同意するインフォームドコンセントという手続きが重視されています。
合併症の可能性があるという説明自体は、治療の質が低いことを意味するものではない点に注意が必要です。
まとめ
合併症とは、もとの病気や治療がきっかけとなって新たに生じる、別の病態や障害のことを指す言葉です。
病気そのものの進行によって起こるものと、手術や薬などの治療によって起こるものの、大きく二つのパターンがあります。
後遺症は治療後も症状が残る状態、副作用は薬の望ましくない作用、併存症はもとから別にある病気であり、それぞれ合併症とは指す範囲が異なります。
気になる症状や治療方針については、この記事の内容を参考にしつつ、最終的には医師など専門家に相談して判断することをおすすめします。


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