ニュースや学校・職場の話の中で「自閉症」や「自閉スペクトラム症」という言葉を見聞きすることが増えています。
自閉症と聞くと、コミュニケーションが苦手な人、こだわりが強い人といったイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。一方で、自閉症とアスペルガー症候群やADHDとの違いがよく分からないという声もよく聞かれます。
一言でいえば、自閉症とは、人との関わり方やコミュニケーション、興味・行動の持ち方に独特の特性がみられる、生まれつきの発達の特性を指す言葉です。
この記事では、自閉症の意味や由来、主な特性、ADHD・アスペルガー症候群との違いについてわかりやすく解説します。
自閉症とは
自閉症とは、人との関わり方やコミュニケーションの取り方、興味や行動のパターンに独特の特性がみられる、発達に関わる特性のことです。
病気やけがのように原因と結果がはっきり分かれるものではなく、生まれ持った脳の働き方の特性として理解されることが増えています。
現在の医学的な診断の考え方では、自閉症という言葉は単独で使われることは少なく、自閉スペクトラム症という、より広い概念の一部として位置づけられています。
特性の現れ方は一人ひとり大きく異なり、困りごとの大きさも人それぞれであるという点が、自閉症を理解するうえで大切なポイントです。
⚠️ 健康・医療に関する大切なお知らせ
このページは一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。症状や治療など健康に関する判断は自己判断せず、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。
参考: 厚生労働省 / e-ヘルスネット(厚労省) / MSDマニュアル家庭版 / 難病情報センター
自閉症という言葉の由来・歴史
自閉症という名前は、人や外の世界への関心が内側に向きやすい様子を表す言葉として用いられてきました。
かつての診断の考え方では、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害など、いくつかの名前に分けて診断が行われていました。
しかし研究が進むにつれて、これらの特性には明確な境目がなく、連続的に広がっていることが分かってきました。
そこで現在では、これらをまとめて自閉スペクトラム症という一つの言葉で捉える考え方が広く用いられるようになっています。
スペクトラムとは、虹のように特性の濃淡が段階的につながっている様子を表す言葉です。
自閉スペクトラム症という考え方の仕組み
自閉スペクトラム症は、特性の有無を白か黒かのように二つに分けるものではありません。
誰にでも当てはまるような特性が、強く現れる人もいれば、ほとんど目立たない人もいるという連続的な考え方で捉えられています。
そのため、同じ自閉スペクトラム症という診断名であっても、現れる特性や困りごとの大きさは人によって大きく異なります。
知的な発達の遅れを伴う人もいれば、言葉の発達や学力には遅れがなく、対人関係やこだわりの面だけに特性が強く出る人もいます。
自閉症の主な特性
自閉スペクトラム症の特性は、大きく人との関わり方、コミュニケーション、こだわりや感覚の三つの面に分けて説明されることが多くあります。
- 人との関わり方:相手の表情や場の雰囲気から意図をくみ取ることが苦手な場合があります
- コミュニケーション:会話のキャッチボールが苦手だったり、言葉を文字通りに受け取りやすかったりします
- 興味・行動:特定の物事に強い関心を持ち、同じ手順や環境を好む傾向があります
- 感覚:音や光、肌触りなどの刺激を人より強く、あるいは弱く感じることがあります
これらの特性がどの程度組み合わさって現れるかは、一人ひとり違います。
自閉症の原因についてのよくある誤解
自閉症は、育て方や愛情不足が原因で起こるという考え方が以前は広まっていましたが、これは誤りで現在は否定されています。
ワクチンが自閉症の原因になるという説も話題になったことがありますが、こちらも根拠のない誤りとされています。
現在では、生まれつきの脳の働き方に関わる要因が複雑に関係していると考えられていますが、単一の原因が特定されているわけではありません。
原因を一つに決めつけるのではなく、特性そのものをどう理解し、どう支援するかに関心が向けられています。
自閉症とADHDの違い
自閉症とADHD(注意欠如・多動症)は、どちらも生まれつきの発達の特性ですが、特性の中心となる部分が異なります。
| 項目 | 自閉症(ASD) | ADHD |
|---|---|---|
| 特性の中心 | 対人関係・コミュニケーション、こだわり | 不注意・多動性・衝動性 |
| 困りごとの例 | 人との関わり方や変化への対応が苦手 | 忘れ物や集中の持続、衝動的な行動が多い |
| 重なり | ADHDの特性を併せ持つ人もいる | 自閉症の特性を併せ持つ人もいる |
両方の特性を併せ持つ人も少なくなく、どちらか一方だけに当てはまるとは限らない点にも注意が必要です。
自閉症とアスペルガー症候群の違い
かつてアスペルガー症候群は、自閉症の中でも言葉の発達に遅れがないタイプを指す言葉として使われていました。
現在の診断の考え方では、アスペルガー症候群という名前は単独では使われなくなり、自閉スペクトラム症の中に含まれる形になっています。
そのため、以前であればアスペルガー症候群と診断されていた特性を持つ人も、現在では自閉スペクトラム症と診断されることになります。
呼び方は変わりましたが、本人の特性そのものが変わったわけではありません。
自閉症の診断や相談先
自閉症や自閉スペクトラム症の診断は自己判断では難しく、専門の医師による丁寧な問診や行動観察を通じて行われます。
子どもの発達が気になる場合は、小児科や児童精神科、地域の発達相談の窓口に相談することが勧められます。
大人になってから特性に気づくケースもあり、その場合は精神科や心療内科、発達障害者支援センターなどが相談先の一つになります。
気になる様子がある場合は、一人で判断せず、医療機関や公的な相談窓口に相談することが大切です。
学校や職場での配慮の例
学校では、指示を短く具体的に伝えたり、一日の予定を事前に伝えて見通しを持たせたりする工夫が行われています。
音や光に敏感な子どもには、座席の位置を工夫したり、イヤーマフの使用を認めたりする配慮も見られます。
職場では、業務の指示を口頭だけでなく文章でも伝える、作業手順をマニュアル化するなどの合理的配慮が広がっています。
こうした配慮は特別扱いではなく、特性に合わせて力を発揮しやすくするための工夫として位置づけられています。
自閉症に関するよくある誤解
自閉症は「変わった性格」や「わがまま」として誤解されることがありますが、生まれ持った発達の特性です。
知的な遅れを必ず伴うという誤解もありますが、知的な遅れがなく、得意なことと苦手なことの差が大きい人も多くいます。
「治る」「治らない」という捉え方も誤解を生みやすい表現です。特性との付き合い方や困りごとへの支援を考えることが中心になります。
誤解をなくし、特性を正しく理解することが、本人が安心して過ごせる環境づくりにつながります。
まとめ
自閉症は、現在では自閉スペクトラム症という、より広い概念の中で理解される発達の特性です。
特性の現れ方は人によって大きく異なり、対人関係やコミュニケーション、こだわりや感覚の特性などが組み合わさって現れます。
ADHDとは特性の中心が異なり、アスペルガー症候群は現在の診断の考え方では自閉スペクトラム症に含まれる呼び方になっています。
気になる様子がある場合は、専門の医療機関や公的な相談窓口に相談し、特性に合った関わり方を探っていくことが大切です。


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