「人から認められたい」「自分の頑張りを評価してほしい」と感じたことがある人は多いでしょう。このような気持ちは一般に「承認欲求」と呼ばれます。
承認欲求という言葉は、SNSの普及などを背景に日常会話でもよく使われるようになりました。「承認欲求が強い人」のように否定的な意味で使われる場合もありますが、他者から認められたいという気持ち自体は、人間に見られる自然な心理の一つです。
この記事では、承認欲求の意味や具体例、強くなった場合に起こり得ること、上手に付き合うための考え方についてわかりやすく解説します。
承認欲求とは
承認欲求とは、自分の存在や能力、成果、考え方などを他者から認めてもらいたいという欲求を指す言葉です。
たとえば、仕事で成果を上げたときに「上司から評価されたい」と思ったり、勉強やスポーツを頑張ったときに「褒めてもらいたい」と感じたりすることがあります。
ほかにも、自分の意見に賛同してほしい、周囲から必要とされたい、社会的に評価されたいといった気持ちも、広い意味では承認を求める心理と考えることができます。
人から認められることは自信や安心感につながる場合があり、努力を続けるためのモチベーションになることもあります。
承認欲求の具体例
承認欲求は特別なものではなく、日常生活のさまざまな場面で現れます。
たとえば仕事では、成果を上司や同僚に評価してもらいたいと考えることがあります。学校では、良い成績を取って先生や家族から褒められたいと思うこともあるでしょう。
スポーツでは、試合で活躍してチームメイトや指導者から認められたいという気持ちが、練習を続ける原動力になることがあります。
SNSでは、自分の投稿に「いいね」やコメントが付くことを期待したり、多くの人に投稿を見てもらいたいと考えたりすることがあります。
このように承認を求める気持ちは、仕事、学校、家庭、友人関係、SNSなど幅広い場面に存在します。
承認欲求は悪いものなのか
承認欲求という言葉には、「目立ちたがり」「他人の評価を気にしすぎる」といった否定的なイメージが伴うことがあります。
しかし、他者から評価されたり認められたりすることを望む気持ち自体を、単純に悪いものと考える必要はありません。
「もっと評価されたい」という気持ちが、仕事の能力を高めたり、勉強を続けたり、スポーツの技術を向上させたりする動機になることもあります。
また、自分の行動に対して周囲から肯定的な反応を得ることで、自信につながる場合もあります。
重要なのは、承認を求めることそのものではなく、他人からの評価に自分の気分や自己評価が過度に左右されていないかという点です。
承認欲求が強くなりすぎるとどうなる?
他人から認めてもらうことを過度に重視するようになると、日常生活で負担を感じる場合があります。
たとえばSNSに投稿した後、「いいね」がいくつ付いたのか何度も確認してしまうことがあります。ほかの人の投稿と反応数を比較して、自分の投稿への反応が少ないことに落ち込むケースも考えられます。
仕事でも、評価されることを優先するあまり、本来必要な仕事よりも目立つ仕事ばかりを選んでしまう可能性があります。
また、人から嫌われたくないという気持ちが強くなると、自分の意見を言えなかったり、無理な頼みを断れなかったりすることもあります。
他人からの評価は自分自身では完全にコントロールできません。そのため、他人の評価だけを自分の価値の基準にすると、精神的な負担につながることがあります。
SNSと承認欲求の関係
SNSは、他者からの反応を数字として確認できるサービスが多いことから、承認欲求という言葉と一緒に語られることがあります。
投稿に対する「いいね」、コメント、フォロワー数、閲覧数など、他者からの反応が可視化されるためです。
反応が増えれば嬉しく感じる一方、期待したほど反応が得られなければ落ち込むこともあります。
ただし、SNSを利用していることや、多くの反応を得たいと思うことだけで「承認欲求が強い」と決めつけることはできません。
情報発信、交流、仕事、趣味などSNSを利用する目的は人によって異なるため、個々の行動を単純に承認欲求だけで説明するのは適切ではありません。
承認欲求と自己承認の違い
承認欲求について考える際には、「自己承認」という考え方もあります。
他者から認められることを求めるのに対して、自己承認は自分自身の努力や感情、成果などを自分で認識し、受け止めることを指して使われます。
たとえば試験で目標点に届かなかったとしても、「毎日勉強を続けることができた」と自分の努力を認めることはできます。
スポーツの試合に負けた場合でも、「以前よりできることが増えた」と自分自身の成長を確認することは可能です。
他者からの評価を完全に気にしないようにする必要はありません。他者からの評価と自分自身による評価の両方を持つことが、周囲の反応に過度に振り回されないための一つの考え方になります。
承認欲求と上手に付き合うための考え方
承認欲求を完全になくそうとするのではなく、自分が何を基準に行動しているのかを意識することが大切です。
何かに取り組むときには、「人から褒められるか」だけでなく、「自分は何を達成したいのか」「以前の自分からどれだけ成長したのか」といった基準を持つ方法があります。
SNSについても、反応数を何度も確認して疲れてしまうのであれば、確認する頻度を減らすなど、自分にとって負担の少ない使い方を考えることができます。
また、他人と比較する場合には、年齢、経験、環境、能力など条件が異なることにも注意が必要です。単純な比較だけでは、自分自身の成長を正確に判断できない場合があります。
他者からの評価を参考にしながら、自分自身の目標や価値観も判断基準として持つことが重要です。
「承認欲求が強い人」と簡単に決めつけないことも大切
誰かがSNSに頻繁に投稿したり、自分の成果について話したりしているからといって、その人を「承認欲求が強い人」と断定することはできません。
同じ行動でも、その理由は人によって異なります。
仕事として情報を発信している場合もあれば、趣味の仲間と交流したい場合、記録として残したい場合などもあります。
承認欲求は人の行動を説明する一つの観点ではありますが、外から見える行動だけでその人の心理状態を判断することは避けたほうがよいでしょう。
まとめ
承認欲求とは、自分の存在や能力、成果などを他者から認めてもらいたいという欲求を指します。
人から褒められたい、仕事で評価されたい、努力を認めてもらいたいといった気持ちは、多くの人が経験するものです。
承認を得ることが自信やモチベーションにつながることもあるため、承認欲求そのものを否定する必要はありません。
一方で、他人からの評価だけを自分の価値の基準にすると、SNSの反応や周囲からの評価に振り回されやすくなる場合があります。
他者からの評価を受け止めながら、自分自身でも努力や成長を確認することが、承認欲求と上手に付き合っていくための重要なポイントです。


コメント