歯肉膿瘍とは?意味や原因、歯根膿瘍・歯周炎との違いをわかりやすく解説

歯肉膿瘍 ナレッジ

歯ぐきが急に赤く腫れて痛みが出ると、歯科医院で「歯肉膿瘍」という言葉を聞くことがあります。

歯根膿瘍や歯周炎といった似た名前の言葉もあり、何がどう違うのか分かりにくく感じる方も多いのではないでしょうか。

一言でいえば、歯肉膿瘍とは歯ぐきの浅い部分に細菌が感染し、うみ(膿)がたまって腫れや痛みが起こる状態のことです。

この記事では、歯肉膿瘍の意味や原因、できる仕組み、歯根膿瘍・歯周炎との違いについてわかりやすく解説します。

歯肉膿瘍とは

歯肉膿瘍とは、歯ぐきの一部に細菌が感染し、うみがたまって腫れや痛みが生じる状態を指します。

歯科の診療の中では比較的よくみられる急性のトラブルの一つで、痛みを伴って受診につながることが多い病気です。

歯の表面に近い歯ぐきの浅い部分にうみがたまる点が特徴で、歯の根の先にできる膿瘍とは区別して扱われます。

歯ぐきが急に腫れて痛みが出たときに、歯科医院で診断名として説明されることが多い言葉です。

⚠️ 健康・医療に関する大切なお知らせ
このページは一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。症状や治療など健康に関する判断は自己判断せず、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。

参考: 厚生労働省 / e-ヘルスネット(厚労省) / MSDマニュアル家庭版 / 難病情報センター

歯肉膿瘍の原因

歯と歯ぐきの境目にたまった歯垢や食べかすの中の細菌が、歯ぐきの組織に入り込むことが主な原因とされています。

歯ブラシの毛先や硬い食べ物による小さな傷、歯ぐきに刺さった食べかすの刺激がきっかけになることもあります。

もともと歯周病があり歯ぐきの組織が弱っているところに、細菌感染が重なって起こるケースも見られます。

体調不良や免疫力の低下などで抵抗力が下がっているときに、症状が出やすくなるとも考えられています。

歯肉膿瘍ができるまでの仕組み

歯ぐきの溝などに細菌が入り込むと、体はこれを異物として認識し、防御反応を起こします。

細菌と戦った白血球などの死んだ細胞や細菌の残りが集まったものが、うみとして組織の中にたまっていきます。

うみがたまるにつれて周囲の組織が内側から圧迫され、歯ぐきが赤く腫れ、熱感や痛みが強くなっていきます。

腫れた部分がやわらかく波打つような感触になることもあり、これはうみが内部にたまっている一つの目安とされています。

歯肉膿瘍の主な症状

  • 歯ぐきの一部が赤く腫れる
  • 腫れた部分を押すと痛みや違和感がある
  • 触れるとやわらかく波打つような感触がある
  • ズキズキとした痛みが続くことがある
  • 歯みがきのときに出血しやすくなる

症状の出方には個人差があり、軽い違和感程度の場合から、強い痛みで食事がしづらくなる場合まで幅があります。

腫れが特定の歯のまわりだけに限られていることが多く、全体に広がる歯周炎の症状とは異なる点が特徴です。

歯肉膿瘍と歯根膿瘍の違い

歯肉膿瘍と歯根膿瘍は、どちらも歯の周りにうみがたまる点が共通していますが、できる場所と原因が異なります。

項目歯肉膿瘍歯根膿瘍
できる場所歯ぐきの浅い部分歯の根の先にある骨の中
主な原因歯周病や歯ぐきへの刺激、細菌感染虫歯が進行して歯の神経が壊死すること
痛みの出方歯ぐきを押すと痛むことが多い歯を噛んだり叩いたりすると響くように痛む

歯根膿瘍は虫歯が深く進んで神経まで達した結果として起こることが多く、歯そのものの治療が必要になる点が異なります。

歯肉膿瘍と歯周炎の違い

歯周炎とは、歯を支える歯ぐきや骨が歯周病菌によって炎症を起こし、じわじわと壊れていく慢性的な病気です。

歯肉膿瘍は、その歯周炎の経過の中で細菌感染が急に強まり、うみがたまって腫れが生じた急性の状態と考えることができます。

歯周炎は土台にある慢性的な病気で、歯肉膿瘍はその上に起こりうる急性のトラブルという関係にあります。

歯周炎がない人でも、歯ぐきへの外傷などから単独で歯肉膿瘍が起こることもあります。

歯肉膿瘍の治療方法

歯科医院では、たまったうみを切開して排出させる処置が行われることが多くあります。

症状や状態に応じて、歯石や汚れを取り除く処置や、必要な場合には抗菌薬が用いられることもあります。

治療の内容は原因や症状の程度によって異なるため、歯科医師が診断したうえで方針を決めることが一般的です。

気になる症状があるときは自己判断で対応を続けず、早めに歯科医師に相談することが望ましいでしょう。

歯肉膿瘍は自然に治る?よくある誤解

腫れが一時的に引いたように感じられても、内部の感染が解消されていない場合は再び腫れることがあります。

うみが自然に出て痛みが軽くなっただけで安心し、受診をやめてしまうと、炎症の原因が残ったままになることもあります。

見た目の腫れが引いたことと、感染が落ち着いたことは必ずしも同じではないため注意が必要です。

症状がやわらいだ後も、歯科医師の指示に沿って経過を確認することが望ましいとされています。

歯肉膿瘍を放置するとどうなる?

放置すると腫れや痛みが強くなり、食事や会話がしづらくなるほど症状が進むことがあります。

感染が周囲の組織に広がり、より深い部位の炎症や、歯を支える骨への影響につながる可能性も指摘されています。

痛みが一時的に落ち着いても、原因が解消されていなければ繰り返し腫れを起こすこともあります。

歯肉膿瘍を予防するには

  • 歯と歯ぐきの境目を意識した丁寧な歯みがきをする
  • 歯間ブラシやデンタルフロスで歯の間の汚れを落とす
  • 定期的に歯科検診を受ける
  • 歯ぐきの違和感を感じたら早めに相談する

日ごろから歯垢をたまりにくくしておくことが、歯肉膿瘍だけでなく歯周病全体の予防にもつながると考えられています。

歯科を受診する目安

歯ぐきの腫れに加えて強い痛みや発熱がある場合は、早めに歯科医院を受診することが望ましいとされています。

市販の鎮痛薬で痛みを一時的に抑えても、感染そのものが解消するわけではないため、自己判断で様子を見続けることは避けたほうがよいでしょう。

気になる症状が続くときは、歯科医師など専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

歯肉膿瘍とは、歯ぐきの浅い部分に細菌が感染し、うみがたまって腫れや痛みが起こる状態のことです。

歯ぐきの溝などに入り込んだ細菌に対して体が防御反応を起こし、その結果としてうみがたまっていく仕組みで生じます。

歯の根にできる歯根膿瘍や、慢性的に進行する歯周炎とは、できる場所や原因が異なるため区別して理解しておくと安心です。

歯ぐきの腫れや痛みを感じたときは、自己判断で様子を見続けず、早めに歯科医院を受診して適切な診断や処置を受けることが大切です。

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