まずは要点
- 脳震盪は、頭への衝撃などで起きる一時的な脳機能の障害。外見に異常がなくても起こります。(日本スポーツ振興センター)
- 受傷が疑われたらその場で活動を中止し、医療機関へ。自己判断で競技や仕事に戻るのは避けましょう。(JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
- 最初の24〜48時間は「相対的安静」(無理をしない休養・画面時間を控える)。その後は症状を見ながら段階的に復帰します。(疾病対策センター)
脳震盪とは
頭部への直接・間接の衝撃で脳がゆさぶられ、意識・記憶・思考・感覚の一時的な不調が生じる状態です。骨折のように画像で必ず映るものではなく、見た目で分かりにくいのが特徴です。子どもから大人まで、スポーツだけでなく転倒・交通事故・日常の打撲でも起こります。(日本スポーツ振興センター)
主な症状(例)
- 頭痛、めまい、吐き気/嘔吐、まぶしさ・音への過敏
- ぼんやりする、反応が遅い、集中しにくい、記憶が抜ける
- ふらつき、視界のぼやけ、眠気、気分の不安定 など
※意識消失は必須ではありません。(ザムスト)
すぐ受診すべき「赤旗」サイン
- 意識がはっきりしない、けいれん、繰り返す嘔吐
- 悪化する強い頭痛、左右差のある動きづらさ・しびれ
- 目の焦点が合わない、ろれつが回らない、異常な行動
- 受傷後に症状が悪化していく
これらがあれば救急受診を。(JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
受傷直後の対応
- 活動を即時中止(競技・運転・危険作業はNG)。(JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
- 評価できる大人/医療者につなぐ。一人にしない。
- 24〜48時間は相対的安静。無理のない日常動作はOKだが、強い運動・長時間の画面や難作業は控える。暗い部屋でずっと寝続ける必要はありません。(疾病対策センター)
自宅での過ごし方(最初の1〜2日)
- 症状がつらい時は休む。短時間の読書・画面は様子を見ながら少しずつ。
- アルコールは避ける。頭痛薬は医師・薬剤師に相談。
- 夜間は定期的に様子を見る。悪化の兆候があれば受診。(疾病対策センター)
学校・仕事・運動への「段階的復帰」
症状が落ち着いたら、段階を踏んで活動量を上げます。各段階は最低24時間、症状がぶり返したら一段階戻って休むのが原則です。(疾病対策センター)
運動復帰の一例(6段階)
- 安静(症状消失の確認)
- 軽い有酸素(散歩・軽い自転車など)
- スポーツ特異的な動き(接触なし)
- ドリル練習(軽い対人、接触なし)
- フル練習(医療許可のもと)
- 公式復帰(試合)
※年少者はより慎重に。判断に迷う場合は専門医へ。(JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
なぜ段階的復帰が必要?
症状があるまま早期復帰すると再受傷リスクが3〜5.8倍に上がり、回復遅延や長期の不調につながるおそれがあります。最新の国際コンセンサスも、初期の相対的安静→段階的復帰を推奨しています。(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)
予防のヒント
- 競技での正しいフォーム・安全教育・反則の徹底
- ヘルメット等の適切な防具(万能ではない)
- 家庭・学校での転倒対策(段差・滑りやすい床の改善)
- 受傷時の「疑ったら外す」文化を共有する。(JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
よくある誤解
- 「気絶していない=脳震盪ではない」 → 誤り。意識消失なしでも起こります。(ザムスト)
- 「完全安静で真っ暗な部屋に数日」 → 推奨されません。初期は相対的安静が推奨。(疾病対策センター)
- 「頭痛が残るけど大丈夫」 → 残存症状があるうちは復帰不可。(JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
さいごに(受診のすすめ)
この記事は一般的な解説です。症状がある/悪化する/判断に迷うときは、ためらわず脳神経外科・救急科・スポーツ外来などの医療機関へご相談ください。国際声明や国内競技団体の指針も、医療者の評価のもとでの復帰を強く推奨しています。(British Journal of Sports Medicine)
参考情報
- 日本スポーツ振興センター「脳振盪ハンドブック」 (日本スポーツ振興センター)
- JFA「サッカーにおける脳振盪に対する指針」 (JFA|公益財団法人日本サッカー協会)
- CDC HEADS UP(復帰プロトコル/回復の実践) (疾病対策センター)
- 国際コンセンサス(Amsterdam 2022) (British Journal of Sports Medicine)

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