健康診断や病院でのドラマなどで、医師が聴診器を胸に当てる場面を見たことがある人は多いはずです。
そのとき医師が何を聴いているのか、触診や視診とどう違うのか、疑問に思ったことはないでしょうか。
一言でいうと、聴診とは聴診器を使って心臓や肺、腸などが発する音を聴き、体の内部の状態を確かめる診察方法です。
この記事では、聴診の意味や仕組み、由来、触診・視診との違いについてわかりやすく解説します。
聴診とは
聴診とは、医師や看護師などの医療従事者が聴診器を体表に当て、体内から聞こえる音を聴いて状態を調べる診察法です。
心臓の拍動や肺の呼吸、腸の動きなど、普段は意識しない体の中の音から、異常の手がかりを探ります。
視診・触診・打診と並ぶ、身体診察の基本となる手技の一つに位置づけられています。
特別な検査機器を使わずその場で行えるため、外来診察から健康診断まで幅広い場面で用いられています。
⚠️ 健康・医療に関する大切なお知らせ
このページは一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。症状や治療など健康に関する判断は自己判断せず、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。
参考: 厚生労働省 / e-ヘルスネット(厚労省) / MSDマニュアル家庭版 / 難病情報センター
聴診の由来
聴診という診察の考え方は古くからあり、かつては医師が患者の胸に直接耳を当てて音を聴く方法が行われていたとされています。
しかし直接耳を当てる方法では、聴き取りにくい部位があったり、患者との距離が近すぎて診察しづらい場面があったといわれています。
こうした課題を解決するために考え出されたのが、体内の音を集めて伝える道具としての聴診器です。
聴診器の登場により、体表から離れた位置でも体内の音を聴き取れるようになり、診察の精度と効率が大きく向上しました。
聴診器の仕組み
聴診器は、体に当てる部分である「チェストピース」と、耳に入れる「イヤーピース」を、チューブでつないだ構造をしています。
チェストピースで集めた体内の音を空気の振動としてチューブの中に伝え、イヤーピースから耳に届ける仕組みです。
小さな音でも聴き取りやすいように音を集中させる構造になっており、周囲の雑音をある程度遮る効果もあります。
近年は、音を電子的に増幅したり、録音・解析ができたりする電子聴診器も普及し始めています。
聴診でわかること
聴診では、体の部位ごとに聞こえる音の特徴から、さまざまな体の状態を推測できます。
- 心臓:規則正しく動いているか、弁の開閉に通常とは異なる雑音が混じっていないか
- 肺:呼吸に合わせた空気の出入りの音に、普段と違う雑音が混じっていないか
- 腸:食べ物や腸液を送る腸の動きに伴う音の有無や強さ
- 血管:血液が流れる際に生じる音に、通常とは異なる雑音がないか
これらの音の変化は、医師が体の異常を疑い、追加の検査につなげるための重要な手がかりになります。
ただし聴診だけで病名を確定できるわけではなく、他の診察や検査と合わせて総合的に判断されます。
聴診の種類
聴診には、道具を使わず体に直接耳を当てて音を聴く「直接聴診」と、聴診器を使う「間接聴診」の2種類があります。
現在の医療現場で主に行われているのは、聴診器を使う間接聴診です。
聴診器にも、音を物理的に伝えるアナログ式のものと、内蔵マイクで音を電子的に増幅するデジタル式のものがあります。
デジタル式の聴診器は音を大きくしたり録音したりできるため、聴き取りにくい音の確認や記録、教育の場面でも活用されています。
聴診の進め方
聴診を行う際は、できるだけ静かな環境を整え、聴診器のチェストピースを体表に直接当てられるようにします。
心臓を聴く場合は胸のいくつかの位置に、肺を聴く場合は背中や胸の複数箇所に聴診器を当てて音を確認します。
腸の音を聴く際は、お腹の決まった位置に聴診器を当て、一定時間音の有無や強さを確認します。
衣服の上からでは正確な音を聴き取りにくいため、診察時には肌に直接当てて聴くのが基本とされています。
聴診を使った例文
聴診は医療現場や健康診断の説明などで使われる言葉です。以下のような使い方があります。
- 医師は聴診器で呼吸音を確認し、肺に異常がないかを調べた
- 健康診断では、心臓の聴診で雑音がないかをチェックします
- 往診した医師が聴診を行い、肺の状態について説明した
- 看護師が聴診で腸の動きを確認し、術後の経過を見た
聴診と触診の違い
触診とは、医師が手や指で体に直接触れ、しこりの有無や痛みの場所、皮膚の状態などを確かめる診察法です。
聴診が音から体の状態を調べるのに対し、触診は触れた感覚から情報を得る点が大きな違いです。
| 項目 | 聴診 | 触診 |
|---|---|---|
| 調べる対象 | 体内で生じる音 | 体の表面や内部の感触 |
| 使う道具 | 聴診器 | 医療従事者の手や指 |
| わかること | 心音・呼吸音・腸音などの異常 | しこり・圧痛・臓器の腫れなど |
実際の診察では、聴診と触診を組み合わせることで、より多くの情報を得られるようにしています。
聴診と視診の違い
視診とは、医師が目で見て、顔色や皮膚の様子、むくみ、姿勢などの外見的な特徴を確認する診察法です。
聴診が音を手がかりにするのに対し、視診は見た目の変化を手がかりにする点が異なります。
診察の流れとしては、まず視診で全体の様子を確認し、そのあとに触診や聴診で詳しく調べていくことが多くあります。
視診・触診・聴診はそれぞれ得られる情報が異なるため、組み合わせることでより正確な診察につながります。
聴診でよくある誤解
聴診は、聴診器を当てさえすれば誰でも同じように体の状態を把握できると思われがちです。
しかし実際には、正常な音と異常な音を聴き分けるには専門的な知識と経験が必要とされています。
また聴診だけですべての病気を見つけられるわけではなく、画像検査や血液検査などと組み合わせて判断されるのが一般的です。
聴診はあくまで診察の入り口であり、気になる症状がある場合は、結果だけで自己判断せず医療機関を受診することが大切です。
聴診を受けるときの注意点
聴診を正確に行うためには、できるだけ静かな環境で、体の力を抜いてリラックスした状態で受けることが望ましいとされています。
厚手の衣服の上から聴診すると音が聴き取りにくくなるため、診察時は指示に従って肌を出す場合があります。
深呼吸を求められた場合は、指示に合わせて呼吸をすることで、呼吸音をより正確に確認してもらいやすくなります。
聴診の結果について疑問や不安がある場合は、その場で医師に質問し、必要に応じて追加の検査について相談することをおすすめします。
まとめ
聴診とは、聴診器を使って心臓・肺・腸・血管などの体内の音を聴き、健康状態を確かめる診察法です。
視診・触診・打診と並ぶ基本的な身体診察の一つで、短時間で手軽に行える点が特徴です。
触診は触れた感覚、視診は見た目から情報を得る診察法であり、聴診とはそれぞれ調べる手段が異なります。
聴診の結果だけで病気を判断することはできないため、気になる症状がある場合は自己判断せず、医療機関を受診して相談することが大切です。


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