「オルカン投資」という言葉を、NISAや資産形成について調べていると目にすることがあります。
オルカンとは、一般に三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の愛称です。
日本を含む先進国や新興国の株式に幅広く投資できることから、長期的な資産形成に利用されている代表的なインデックスファンドの一つです。
この記事では、オルカン投資の仕組みやメリット・デメリット、S&P500との違い、新NISAで利用する場合のポイントについてわかりやすく解説します。
オルカン投資とは
オルカン投資とは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」へ投資することを意味する言葉として一般的に使われています。
オール・カントリー(All Country)を略して「オルカン」と呼ばれています。
オルカンは、日本を含む先進国と新興国の株式を投資対象とするインデックスファンドです。
個人で世界各国の企業の株式を購入しようとすると、多くの銘柄を選んだり管理したりする必要があります。一方、オルカンを購入すれば、1本の投資信託を通じて世界の幅広い企業へ分散投資できます。
「特定の国や企業の成長を予測するのではなく、世界の株式市場全体へ幅広く投資する」という考え方を実践しやすい商品といえるでしょう。
オルカンは何に投資している?
オルカンは「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」への連動を目指して運用されています。
MSCI ACWIは、日本を含む先進国と新興国の株式市場を幅広くカバーする代表的な株価指数です。
そのため、オルカンを保有することで、米国、日本、欧州などの先進国だけでなく、中国、インド、台湾などを含む新興国の株式にも間接的に投資できます。
ただし、各国へ同じ割合で投資する商品ではありません。
MSCI ACWIは基本的に時価総額を基準として構成されているため、世界の株式市場で大きな割合を占める国や企業ほど組み入れ比率が高くなります。
その結果、オルカンでは米国株が大きな割合を占めています。
国・地域や銘柄の構成比率は市場環境によって変化するため、「米国○%、日本○%」などの比率は固定されていません。
オルカン投資のメリット
1本で世界中の株式へ分散投資できる
オルカン最大の特徴は、1本の投資信託で世界の株式市場へ幅広く投資できることです。
投資では、特定の国や企業へ資金を集中させると、その国や企業の業績悪化による影響を大きく受ける可能性があります。
複数の国や企業へ投資先を分散することで、特定の投資先に依存するリスクを抑えやすくなります。
ただし、世界的な株価下落が発生した場合には、オルカンも大きく値下がりする可能性があります。分散投資をしているから元本割れしないという意味ではありません。
投資先を自分で細かく選ぶ必要がない
将来、米国、中国、インド、日本、欧州などのうち、どの国が最も成長するのかを正確に予測することは困難です。
個別企業についても同様です。
オルカンでは世界の株式市場へ幅広く投資するため、投資家自身が将来成長する国や企業を予測して頻繁に投資先を変更する必要がありません。
資産形成をシンプルにしたい人にとって大きなメリットです。
低コストで運用できる
長期間投資を続ける場合、投資信託の保有中に発生する信託報酬などのコストは重要です。
eMAXIS Slimシリーズは低コストでの運用を特徴とするインデックスファンドシリーズで、オルカンも比較的低い信託報酬で運用されています。
信託報酬などは変更される場合があるため、購入時には最新の目論見書や運用会社の公式情報を確認することが重要です。
少額から積立投資できる
投資信託は、利用する証券会社などによって少額から購入できます。
毎月一定額を自動的に購入する積立設定にも対応しているため、まとまった資金を一度に投資しなくても資産形成を始められます。
毎月一定額を積み立てる方法では、価格が高いときには少なく、価格が低いときには多く購入することになります。
長期的に積立投資を続けることで、購入時期を分散できます。
オルカン投資のデメリット・注意点
元本保証ではない
オルカンは預金ではなく、株式を投資対象とする投資信託です。
株式市場が下落すれば基準価額も下落し、投資した金額を下回ることがあります。
世界的な金融危機などが発生した場合には、多くの国の株式市場が同時に下落する可能性もあります。
「全世界に分散しているから安全」というわけではない点には注意が必要です。
米国株の影響が大きい
「全世界株式」という名称から、各国へ均等に投資していると考える人もいるかもしれません。
しかし、実際には時価総額を基準として投資比率が決まるため、米国株の比率が大きくなっています。
そのため、米国株式市場が大きく下落すると、オルカンの基準価額にも大きな影響を与える可能性があります。
一方で、将来的に世界の株式市場における各国の存在感が変化すれば、指数の構成比率も変化していきます。
為替変動の影響を受ける
オルカンには海外株式が多く含まれているため、日本の投資家から見ると為替変動の影響があります。
外国株式そのものが上昇していても、円高が進むことで円換算した資産価値が押し下げられる場合があります。
反対に円安は、円換算した海外資産の価値を押し上げる方向に働きます。
短期間で大きな利益を狙う商品ではない
オルカンは世界の株式市場へ幅広く分散する商品です。
特定の成長企業やテーマ株などへ集中投資する方法と比較すると、一部の企業が急騰した場合でも、その影響は限定的になります。
そのため、短期間で大きな利益を狙うというより、長期間にわたって世界経済や企業の成長から利益を得ることを目指す投資方法に適しています。
オルカンとS&P500の違い
オルカンと比較されることが多いのが、米国の代表的な株価指数「S&P500」に連動するインデックスファンドです。
主な違いを整理すると次のようになります。
| 項目 | オルカン | S&P500連動型 |
|---|---|---|
| 主な投資対象 | 全世界の株式 | 米国株式 |
| 日本株 | 含む | 原則含まない |
| 新興国株 | 含む | 含まない |
| 地域分散 | 世界各国 | 米国中心 |
| 米国株の影響 | 大きい | 非常に大きい |
| 基本的な考え方 | 世界全体へ投資 | 米国の成長へ重点投資 |
S&P500は米国を代表する大型企業を中心に構成される指数です。
一方、オルカンには米国企業だけでなく、日本や欧州、新興国などの企業も含まれています。
ただし、オルカンにも多くの米国企業が含まれているため、両者は完全に異なる値動きをするわけではありません。
どちらが将来的に高いリターンを得られるかを事前に断定することはできません。
米国の成長をより重視するのであればS&P500、特定の国を選ばず世界全体へ幅広く投資したいのであればオルカン、という考え方が選択の基準の一つになります。
オルカンとS&P500を両方買う意味はある?
オルカンとS&P500を両方保有することも可能です。
ただし、オルカンの中にはすでに多くの米国株が含まれています。
そのため、オルカンにS&P500連動型ファンドを追加すると、「分散先を増やす」というよりも、ポートフォリオ全体に占める米国株の比率を意図的に高めることになります。
両方購入すること自体に問題があるわけではありませんが、「なぜ両方を保有するのか」を理解しておくことが重要です。
単純に投資先を世界へ幅広く分散したいのであれば、オルカン1本でも世界の株式市場へ幅広く投資できます。
新NISAでオルカンに投資できる?
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、新NISAの「つみたて投資枠」の対象商品です。
新NISAでは、通常の課税口座では課税対象となる売却益や配当・分配金などを、一定の制度上の条件のもと非課税で運用できます。
長期間の積立投資を目的としてオルカンを購入する場合、NISAを利用することは税制面でメリットがあります。
ただし、NISAを利用しても投資そのもののリスクがなくなるわけではありません。
また、NISAには年間投資枠や非課税保有限度額などの制度上のルールがあります。利用する際には金融庁や金融機関が提供している最新情報を確認しましょう。
オルカン投資は「ほったらかし」でもいい?
オルカンは1本で幅広く分散されているため、頻繁に投資先を入れ替える必要性が比較的小さい商品です。
積立設定を行い、長期間保有する「ほったらかし投資」と呼ばれる運用方法とも相性があります。
ただし、完全に放置すればよいという意味ではありません。
収入や支出、家族構成、住宅購入、教育費、退職時期などが変われば、自分が取れるリスクも変化します。
定期的に資産状況や投資目的を確認し、必要に応じて積立額や株式への資産配分を見直すことが重要です。
オルカン投資では暴落時にどうする?
株式市場へ長期間投資していれば、大幅な下落局面に遭遇する可能性があります。
オルカンも株式を中心とした投資信託なので、世界的な株価下落が起これば基準価額は下落します。
積立投資では、相場が下落したときにも一定額の購入を続けることで、同じ金額でより多くの口数を購入できます。
ただし、必ず相場が短期間で回復するとは限りません。
生活費や近い将来必要になる資金まで投資してしまうと、下落時に売却せざるを得なくなる可能性があります。
そのため、投資に回す資金と生活に必要な資金を分けておくことが重要です。
オルカン投資に向いている人
オルカンは、特定の国や企業を自分で選ぶよりも、世界の株式市場全体へ幅広く投資したい人に適した選択肢です。
また、長期間にわたって積立投資を続けたい人や、投資先を頻繁に変更せずシンプルに資産形成したい人にも利用しやすい商品です。
一方、短期間で利益を狙いたい人や、元本割れを避けたい人には適していません。
特に数年以内に使用する予定の資金については、株価下落時に必要な金額を確保できなくなる可能性があるため注意が必要です。
オルカン投資を始める前に確認したいポイント
オルカンに限らず、投資を始める前には「何のために投資するのか」を明確にしておくことが重要です。
老後資金なのか、10年以上先に必要になる資金なのかによって、適切な投資期間や金額は変わります。
また、株式市場が大きく下落しても生活に影響が出ない範囲で投資することも大切です。
投資可能な金額をすべて株式へ投入するのではなく、日常生活や近い将来の支出に必要な現金を確保したうえで、余裕資金を使って投資することが基本となります。
まとめ
オルカン投資とは、一般に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を利用して世界の株式市場へ幅広く投資する方法を指します。
日本を含む先進国と新興国へ1本で分散投資できるため、投資先を自分で細かく選ぶ必要がありません。
特定の国が将来的に成長するかを予測するのではなく、世界の株式市場全体へ長期間投資したい人にとって、シンプルな選択肢の一つです。
一方で、オルカンは元本保証の商品ではありません。世界的な株価下落や為替変動などによって、大きな含み損が発生する可能性があります。
「全世界株式だから安全」と考えるのではなく、株式投資としてのリスクを理解したうえで、長期・積立・分散を意識して活用することが重要です。
新NISAなどの非課税制度も活用しながら、自分の投資目的、投資期間、リスク許容度に合った資産形成を行いましょう。

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