建築現場のニュースやマンション広告などで「鉄骨造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」といった言葉を見かけることがあります。
こうした表記を目にしても、鉄骨が具体的にどんな材料で、木造や鉄筋コンクリート造とどう違うのか、はっきりわからない人も多いのではないでしょうか。
鉄骨とは、ひとことで言えば建物の骨組みに使われる鋼材のことで、高層ビルや体育館など大きな空間を支える構造部材です。
この記事では、鉄骨の意味や種類、仕組みから、鉄筋コンクリート・木造との違いまでわかりやすく解説します。
鉄骨とは
鉄骨とは、建築物や土木構造物の骨組みに使われる鋼製の部材の総称です。
正式には構造用鋼材と呼ばれ、柱や梁として建物の重さや地震・風の力を支える役割を担います。
鉄骨を主要な骨組みとして建てられた建物は「鉄骨造」や「S造」と呼ばれます。
Sは英語で鋼を意味する言葉の頭文字で、鉄筋コンクリート造の「RC造」と区別するために使われる略称です。
鉄骨という言葉の由来
鉄骨は「鉄」と「骨」を組み合わせた言葉で、人間や動物の骨格になぞらえた表現だと考えられます。
建物を人体にたとえると、鉄骨は骨格にあたり、壁や床、屋根などの仕上げ材は皮膚や筋肉にあたるイメージです。
骨組みがしっかりしていれば、その上にさまざまな形の建物を作ることができるという発想は、木造建築の柱や梁にも通じる考え方です。
鉄骨の主な種類
鉄骨と一口に言っても、断面の形によっていくつかの種類に分けられます。
代表的な形鋼の種類
- H形鋼:断面がアルファベットのHの形をした鋼材で、柱や梁に広く使われる
- 角形鋼管:断面が四角い筒状の鋼材で、主に柱に使われる
- 丸形鋼管:断面が円形の筒状の鋼材で、柱や配管の支持部材などに使われる
- 山形鋼(アングル材):断面がLの字型をした鋼材で、補強材やブレースに使われる
同じ鉄骨でも、建物の規模や用途に応じてこれらの形鋼が使い分けられています。
鉄骨構造(S造)の仕組み
鉄骨造は、工場であらかじめ加工された鉄骨部材を現場で組み立てて骨組みを作る工法です。
柱と梁を溶接やボルトで接合し、四角形の骨組みを立体的に組み上げていきます。
地震の揺れに対しては、鉄がしなやかに変形しながらエネルギーを吸収する「靭性」の高さが強みになります。
組み上がった骨組みの外側や内側に、床や壁、屋根などの仕上げ材を取り付けて建物を完成させます。
鉄骨のメリット
- 柱の間隔を大きく取れるため、広い空間を作りやすい
- 同じ強度を持つ鉄筋コンクリートに比べて部材が軽く、基礎への負担が小さい
- 工場でプレカットした部材を運び入れるため、現場での工期を短くしやすい
- 地震などの力に対して粘り強く変形し、急激に壊れにくい
これらの特徴から、体育館や工場、倉庫、高層ビルなど、幅広い建物で鉄骨造が採用されています。
鉄骨の注意点・弱点
鉄骨には強みが多い一方で、素材としての弱点もあります。
代表的な弱点は熱に弱いことで、火災などで高温にさらされると強度が急激に低下してしまいます。
そのため、鉄骨造の建物では耐火塗料や吹付ロックウールなどによる耐火被覆が重要な工事の一つになっています。
また、鉄は湿気によってさびやすいため、防錆塗装などのメンテナンスも欠かせません。
建物を長く安全に使うためには、こうした耐火・防錆の対策が計画的に行われているかどうかが重要なポイントです。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)とは
鉄骨とコンクリートを組み合わせた工法に、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)があります。
これは鉄骨の骨組みの周りを鉄筋で補強し、さらにコンクリートで覆う工法です。
鉄骨のしなやかさとコンクリートの耐火性・耐久性を組み合わせられるため、超高層マンションなど大規模建築で採用されることがあります。
構造や工事が複雑になりやすい分、設計や施工の難易度、コストは高くなる傾向があります。
鉄骨と鉄筋コンクリートの違い
鉄骨造と鉄筋コンクリート造(RC造)は、どちらも中高層建築で使われる代表的な構造ですが、材料と特徴が異なります。
| 項目 | 鉄骨造(S造) | 鉄筋コンクリート造(RC造) |
|---|---|---|
| 主な材料 | 鋼材(H形鋼など) | コンクリートと鉄筋 |
| 重さ | 比較的軽い | 重い |
| 耐火性 | 被覆が必要 | コンクリート自体に耐火性がある |
| 工期 | 比較的短い | 比較的長い |
| 空間の広さ | 大スパンを取りやすい | 壁や柱がやや多くなりやすい |
どちらが優れているというよりも、建物の用途や規模に応じて適した構造が選ばれています。
鉄骨と木造の違い
木造は木材を柱や梁に使う工法で、日本の戸建て住宅で古くから広く使われてきました。
鉄骨と比べると、木造は材料が軽く、加工がしやすいため、比較的小規模な住宅に向いています。
一方で、大きな空間を作る場合には、木材よりも強度の高い鉄骨のほうが柱の間隔を広く取りやすいという違いがあります。
また、木材は湿気やシロアリによる劣化に注意が必要である点も、さびに注意が必要な鉄骨とは異なる管理ポイントです。
近年は、鉄骨と木材を組み合わせたハイブリッドな工法が使われる住宅もあり、両者の特徴を活かす設計が進んでいます。
鉄骨が使われる建物の例
鉄骨は、体育館や工場、倉庫、駅、橋梁など、幅広い建物・構造物で使われています。
特に、屋根を大きなアーチ状に架けたい建物では、鉄骨を組み合わせたトラス構造がよく採用されます。
超高層ビルの建設現場では、クレーンで大きなH形鋼を吊り上げて組み立てていく鉄骨工事の様子を見ることもできます。
このように、鉄骨は私たちの生活を支える多くの建物の見えない部分で活躍している材料です。
鉄骨に関するよくある誤解
鉄骨造は「頑丈だから火に強い」と思われがちですが、これは誤解です。
鉄自体は高温になると強度が大きく低下するため、耐火被覆などの対策なしでは火災に弱くなってしまいます。
また、鉄骨造だから音が響きやすい、寒暖差が激しいといった印象を持つ人もいますが、これは骨組みそのものよりも断熱・遮音の仕上げ方法による部分が大きいです。
鉄骨という材料の特性と、実際の住み心地は分けて考える必要があります。
まとめ
鉄骨とは、建物の骨組みに使われる鋼製の部材のことで、H形鋼や角形鋼管などさまざまな種類があります。
大スパンを実現できる強度と軽さ、工期の短さが強みですが、熱に弱くさびやすいという弱点もあり、耐火被覆や防錆対策が欠かせません。
鉄筋コンクリート造や木造とは、材料や重さ、耐火性、工期などの面で特徴が異なり、建物の規模や用途に応じて使い分けられています。
普段はあまり意識しない部分ですが、鉄骨の特徴を知っておくと、建物のニュースや住まい選びの際の理解が深まります。

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