サクセッションプランとは?意味や策定の流れ、タレントマネジメントとの違いをわかりやすく解説

サクセッションプラン ナレッジ

経営トップの交代が報じられるとき、「サクセッションプランが機能した」というコメントを見かけることがあります。人事や経営企画の仕事をしていると、この言葉に出会う機会も増えてきました。

一方で「後継者計画のことらしいが、具体的に何をするのか」「タレントマネジメントや後継者育成とどう違うのか」といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。似た言葉が多く、整理しにくい用語でもあります。

一言でいえば、サクセッションプランとは、組織の重要なポジションを担う人材を、あらかじめ計画的に育成・選定しておく取り組みのことです。

この記事では、サクセッションプランの意味や策定の流れ、タレントマネジメント・後継者育成との違いについてわかりやすく解説します。

サクセッションプランとは

サクセッションプランとは、企業や組織が経営幹部や重要ポジションの後継者を、計画的に育成・選定しておく仕組みのことです。

日本語では「後継者計画」や「後継者育成計画」と呼ばれることもあります。経営者だけでなく、部門長や専門職など重要な役割全般を対象にすることもあります。

単に「次は誰にするか」を決めるだけではなく、候補者を早い段階から見つけ、必要な経験や研修を積ませていく一連のプロセス全体を指す言葉です。

サクセッションプランの語源・由来

サクセッションプランは英語の「Succession Plan」に由来する言葉です。successionは「継承」「継続」、planは「計画」を意味します。

この二語を組み合わせることで「継承のための計画」という意味になり、そのまま後継者計画を指す用語として使われるようになりました。

中小企業の事業承継の場面で使われる「事業承継計画」も考え方は近く、重なる部分の多い概念です。

サクセッションプランが重要視される背景

サクセッションプランが注目される背景には、組織運営上のいくつかのリスクや課題への備えという意味があります。

  • 経営幹部の突然の退任や異動による後継者不在のリスクを減らすため
  • 経営方針や組織文化を途切れさせず、安定的に引き継ぐため
  • 優秀な人材を早い段階から見つけて、長期的に育てていくため
  • 企業統治(ガバナンス)の観点から、投資家や株主に対する説明責任を果たすため

特に上場企業では、経営トップの後継者選定プロセスをどのように進めているかが、企業統治の健全さを示す材料の一つと見られる傾向があります。

サクセッションプランの策定プロセス

サクセッションプランの策定は、一般的に次のような流れで進められます。

  • 後継者が必要な重要ポジションを特定する
  • そのポジションに求められる能力や資質(コンピテンシー)を定義する
  • 候補者をリストアップし、現状の能力や適性を評価する
  • 求められる能力とのギャップを明らかにする
  • 研修・異動・メンタリングなどの育成施策を実施する

一度決めて終わりではなく、候補者の成長や組織の状況に合わせて、継続的に見直していく運用が前提になっています。

サクセッションプランの種類

緊急時対応型

病気や急な退任など、予期しない事態が起きたときに備え、短期間で後任を立てられるようにしておく考え方です。

長期育成型

数年単位の時間をかけ、将来の経営幹部候補を計画的に育てていく考え方です。多くの企業でこちらが中心になります。

この二つは対立するものではなく、一つの組織の中で併用されることが多いとされています。

サクセッションプランを使った例文

  • 当社では次期経営層を見据えたサクセッションプランの策定を進めています。
  • サクセッションプランが機能していたため、社長交代は大きな混乱なく進みました。
  • 取締役会でサクセッションプランの進捗について報告がありました。
  • 事業部長クラスのサクセッションプランとして、若手社員を他部門に異動させています。
  • サクセッションプランの一環として、候補者に海外拠点での経験を積ませる予定です。

サクセッションプランとタレントマネジメントの違い

タレントマネジメントとは、社員一人ひとりの能力や適性を把握し、配置・育成・評価などを戦略的に行う人材管理の考え方全般を指します。

サクセッションプランは、このタレントマネジメントの中でも、重要ポジションの後継者育成に焦点を絞った取り組みという位置づけになります。

観点サクセッションプランタレントマネジメント
対象経営幹部や重要ポジションの後継者全社員や幅広い人材層
目的特定の役職の継承を確実にする組織全体の人材の力を最大化する
範囲比較的狭く限定的人事戦略全体を含む広い範囲

つまりサクセッションプランは、タレントマネジメントという大きな枠組みの一部と考えると整理しやすくなります。

サクセッションプランと後継者育成の違い

後継者育成という言葉は、候補者を実際に育てる「教育・訓練の活動」そのものを指す場合に使われることが多い言葉です。

一方のサクセッションプランは、誰を後継者候補とするかの選定から、育成、評価、見直しまでを含む「計画・仕組み全体」を指します。

言い換えると、後継者育成はサクセッションプランを実行する中の一部分にあたる活動といえます。

サクセッションプランのメリット

  • 経営トップや重要ポジションの交代時に、業務や組織運営への影響を抑えやすくなる
  • 候補者を早い段階から育てることで、人材育成に腰を据えて取り組める
  • 後継者選定の基準や過程を明確にできるため、組織内の納得感を得やすくなる
  • 投資家や株主に対して、経営体制の継続性を説明しやすくなる

サクセッションプランの注意点

  • 候補者を固定しすぎると、環境の変化に対応できなくなる可能性がある
  • 形式的にリストを作るだけで、実際の育成が伴わないと効果が薄くなる
  • 選定基準が不透明だと、候補に挙がらなかった社員の納得感を損ないやすい
  • 経営層の関与が薄いと、計画が現場任せになり継続しにくくなる

策定した計画は一度で完成させるのではなく、定期的に見直す運用を前提に考えることが大切です。

サクセッションプランに関するよくある誤解

サクセッションプランを「後継者を一人だけ決めておく仕組み」と捉える誤解がありますが、実際には複数の候補者を並行して育成するのが一般的です。

また「経営トップだけに関係する話」と思われがちですが、部門長や専門職など幅広いポジションに応用できる考え方です。

中小企業の事業承継も、親族や従業員への引き継ぎを計画的に進める点でサクセッションプランの一種と位置づけられます。

まとめ

サクセッションプランとは、経営幹部や重要ポジションの後継者を計画的に育成・選定しておく取り組みのことです。

重要ポジションの特定からコンピテンシー定義、候補者評価、育成施策まで、一連のプロセスとして運用される点が特徴です。

タレントマネジメントという大きな枠組みの一部であり、後継者育成はその計画を実行する具体的な活動にあたります。

突然の退任リスクへの備えや、経営の安定的な継続、人材育成への長期的な投資を目的として、多くの組織で重要性が高まっている考え方といえます。

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