海馬とは?記憶の仕組みや働き、大脳皮質・アルツハイマー病との違いをわかりやすく解説

海馬 ナレッジ

「海馬」という言葉は、記憶力や脳の健康に関するニュースや本でよく見かけます。

物忘れが話題になったときに名前が出てくることも多く、「海馬とは具体的に何なのか」「大脳皮質とはどう違うのか」と疑問を持つ人も少なくありません。

一言でいえば、海馬は脳の中で記憶の形成に深く関わる神経組織です。

この記事では、海馬の仕組みや働き、大脳皮質・アルツハイマー病との違いについてわかりやすく解説します。

海馬とは

海馬は、脳の側頭葉の内側に左右一対存在する神経組織です。

新しい出来事や知識を記憶として残すうえで欠かせない部位として知られています。

脳全体から見ると小さな構造ですが、記憶・学習・空間認識など、日常生活を支える重要な機能を担っています。

医学や心理学の分野だけでなく、健康情報の中でも頻繁に取り上げられる用語です。

⚠️ 健康・医療に関する大切なお知らせ
このページは一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。症状や治療など健康に関する判断は自己判断せず、医師・薬剤師など専門家にご相談ください。

参考: 厚生労働省 / e-ヘルスネット(厚労省) / MSDマニュアル家庭版 / 難病情報センター

海馬の名前の由来

海馬という名前は、その形がタツノオトシゴに似ていることから付けられたとされています。

英語名の「Hippocampus」は、ギリシャ語でタツノオトシゴを意味する言葉に由来するといわれています。

日本語の「海馬」という表記も、タツノオトシゴの別称にちなんだものとされています。

名前の由来を知っておくと、脳のどのあたりに位置する構造なのかイメージしやすくなります。

海馬はどこにある?脳内の位置

海馬は、大脳の側頭葉という部分の、内側の奥に位置しています。

左右の脳にそれぞれ一つずつあり、合計で二つ存在する左右対称の構造です。

位置としては、記憶や感情に関わる扁桃体という部位のすぐ近くにあります。

大脳辺縁系という、感情や記憶を司る脳の領域の一部として分類されています。

海馬の主な働き

海馬が担う働きは一つではなく、複数の機能に関わっています。

  • 新しい情報を記憶として残す「記憶の形成」
  • 場所や道順を認識する「空間認識」
  • 出来事を感情とともに記憶する「感情記憶への関与」

これらの機能は独立しているわけではなく、互いに関連し合いながら働いていると考えられています。

次の見出しから、それぞれの働きについて詳しく見ていきます。

海馬と記憶の仕組み

海馬の最も知られた働きは、新しい情報を記憶として残す過程に関わることです。

体験した出来事や学んだ知識は、まず海馬で一時的に処理されると考えられています。

その後、時間をかけて大脳皮質という別の領域へ送られ、長期的な記憶として保存されていくとされています。

この一連の流れは、睡眠中に進むとする研究報告もあります。

海馬が担う記憶は、出来事や知識といった、言葉で説明できる種類の記憶が中心とされています。

一方、自転車の乗り方のような体で覚える記憶には、別の脳領域が関わるとされています。

海馬と空間認識・場所の記憶

海馬は、場所や道順を覚える働きにも関わっているとされています。

脳の中には、特定の場所にいるときに反応する神経細胞があることが知られています。

こうした細胞の働きによって、頭の中に地図のようなものが作られると考えられています。

初めて訪れた街でも道を覚えられるのは、この仕組みが関係しているとされています。

海馬と感情の関わり

海馬は、すぐ近くにある扁桃体という部位と連携して働くことが知られています。

扁桃体は、恐怖や不安といった感情を処理する部位として知られています。

海馬と扁桃体が協力することで、怖い体験や嬉しい体験が感情とともに記憶として残りやすくなるとされています。

強い感情を伴う出来事が長く記憶に残りやすいのは、この連携が関わっているためと考えられています。

海馬と大脳皮質の違い

海馬と大脳皮質は、どちらも記憶に関わる部位であるため、混同されることがあります。

海馬は、新しい記憶を一時的に処理し、整理する役割を持つ部位です。

一方の大脳皮質は、整理された記憶を長期間にわたって保存しておく役割を持つ部位とされています。

いわば海馬は記憶の仕分け係、大脳皮質は記憶を保管する書庫のような関係だと考えるとわかりやすいでしょう。

項目海馬大脳皮質
位置側頭葉の内側脳の表面全体
主な役割記憶の形成・整理記憶の長期保存、思考・言語など
記憶との関わり方一時的な処理が中心長期的な保存が中心

大脳皮質は、記憶だけでなく思考や言語、感覚なども担う、非常に幅広い機能を持つ領域です。

海馬とアルツハイマー病の関係

アルツハイマー病では、海馬が比較的早い段階から萎縮することが知られています。

海馬の萎縮が進むと、新しいことを覚えにくくなるなどの記憶障害が目立つようになるとされています。

物忘れが増えたと感じても、その原因は年齢による変化から病気まで幅が広く、自己判断は難しいものです。

記憶力の低下が気になる場合は、早めに医療機関や専門家に相談することをおすすめします。

海馬が萎縮する・損傷するとどうなる?

海馬が強く損傷すると、新しい出来事を覚えることが難しくなる場合があります。

事故や病気によって海馬が損傷した人の記憶障害は、海馬の働きを理解する手がかりになってきたとされています。

一方で、すでに記憶として定着している昔の出来事は、海馬が損傷していても保たれる場合があるとされています。

これは、長期的な記憶の保存場所が海馬ではなく大脳皮質にあるためと考えられています。

海馬を健康に保つために意識したいこと

海馬は、慢性的なストレスや睡眠不足の影響を受けやすい部位だとされています。

十分な睡眠や適度な運動が、海馬の健康を保つうえで役立つ可能性があるという研究報告もあります。

ただし、生活習慣を見直すだけで記憶の不調が改善するとは限らないため、気になる症状がある場合は専門家への相談が大切です。

健康情報を参考にする際は、断定的な表現よりも、研究段階の内容であることを踏まえて受け取るようにしましょう。

海馬についてのよくある誤解

海馬という言葉から、記憶そのものが海馬の中にすべて保存されていると誤解されることがあります。

実際には、海馬は記憶を一時的に処理する部位で、長期的な記憶の多くは大脳皮質に保存されるとされています。

また「海馬を鍛えればすぐに記憶力が上がる」といった単純な話ではなく、記憶の仕組みは多くの脳領域が関わる複雑な現象です。

海馬だけに注目するのではなく、脳全体の働きとして記憶を捉えることが理解の近道になります。

まとめ

海馬は、脳の側頭葉内側にある、記憶の形成や空間認識、感情処理に関わる神経組織です。

新しい記憶を一時的に処理してから大脳皮質へ送るという役割は、大脳皮質との違いを理解するうえで重要なポイントです。

アルツハイマー病などで早期に変化が現れやすい部位でもあるため、記憶力の変化が気になる場合は専門家への相談を検討してください。

海馬の仕組みを知ることは、自分や家族の脳の健康について考えるきっかけにもなるでしょう。

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