理科の実験やニュース映像で、白い霧を立てながら物を一瞬で凍らせる様子を見たことはありませんか?
それが「液体窒素(えきたいちっそ)」です。
本記事では、液体窒素の基礎知識から用途、安全性までを体系的に解説します。
液体窒素とは?
液体窒素とは、空気中に約78%含まれる窒素(N₂)を超低温で液化したものです。
- 沸点:約 −196℃
- 色・におい:無色・無臭
- 性質:化学的に安定(燃えない・爆発しにくい)
常温に置くとすぐに気体へ戻るため、常に白い霧(気化した窒素と空気中の水分)が立ち上ります。
どうやって作られるのか?
液体窒素は「空気分離」という方法で製造されます。
- 空気を圧縮
- 極低温まで冷却
- 酸素やアルゴンと分離
- 窒素だけを液体化
つまり、特別な物質ではなく空気から取り出した窒素を冷やしたものなのです。
主な用途
1. 医療・研究分野
- 細胞・血液・精子の凍結保存
- がん治療(凍結療法)
- ワクチン研究
超低温により、細胞の活動をほぼ停止させた状態で長期保存が可能になります。
2. 工業分野
- 金属加工時の急速冷却
- ゴムや樹脂の粉砕
- 半導体製造工程
温度管理が重要な工程で不可欠な存在です。
3. 食品分野
- 急速冷凍(鮮度保持)
- 分子ガストロノミー(演出効果)
急速に凍らせることで、食品の細胞破壊を最小限に抑えられます。
4. 教育・実験
- 花やゴムボールの瞬間凍結
- 超電導実験の冷却
理科の授業で見かけるのはこの用途です。
液体窒素は危険?
正しく扱えば安全ですが、誤った取り扱いは危険です。
主なリスク
- 凍傷(皮膚に触れると瞬時に凍る)
- 酸欠(密閉空間で大量気化)
- 密閉容器の破裂
そのため、取り扱い時は以下が必須です。
- 断熱手袋
- フェイスシールド
- 専用の断熱容器(デュワー瓶)
なぜ物が一瞬で凍るのか?
−196℃という温度は、私たちの身の回りの水分を瞬時に凍結させます。
例えばバラを液体窒素に浸すと、
細胞内の水分が急激に凍結 → 組織が破壊 → パリパリに砕ける
これは「急速凍結」による物理的変化です。
まとめ
液体窒素は、
- 空気から作られる
- −196℃という超低温
- 医療・工業・食品・研究に不可欠
- 正しい管理が必要
という特徴を持つ物質です。
私たちの目には“実験用の不思議な液体”に見えますが、
実際には最先端の科学と産業を支える重要な存在なのです。

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