太陽光発電の導入や再生可能エネルギーのニュースの中で、「固定価格買取制度」という言葉を見かけたことがある方は多いでしょう。
「FIT」という略称で呼ばれることも多く、自宅の屋根に設置した太陽光パネルの売電と結びつけて語られる場面もあります。しかし、具体的な仕組みや、誰がどのようにお金を負担しているのかまでは、意外と知られていません。
固定価格買取制度とは、簡単に言えば、再生可能エネルギーで発電した電力を、国が決めた価格で一定期間買い取ることを電力会社に義務づける制度です。
この記事では、固定価格買取制度の仕組みや由来、再エネ賦課金、FIP制度との違いについてわかりやすく解説します。
固定価格買取制度とは
固定価格買取制度とは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーで発電した電力を、国が定めた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務づける制度です。
英語のFeed-in Tariffを略して「FIT」と呼ばれることもあります。
発電事業者や設備を導入した個人にとっては、将来の収入をある程度見込みやすくなる制度といえます。
⚠️ お金に関するご注意
このページは一般的な情報です。投資や契約など重要な判断の際は、最新の情報を確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。
固定価格買取制度の由来・背景
再生可能エネルギーは、火力発電などに比べて初期投資が大きく、発電コストが高くなりやすいという課題を抱えています。
そこで、長期間にわたって安定した買取価格を保証することで、事業者や家庭が設備投資を回収しやすくし、導入を後押しする目的で生まれたのが固定価格買取制度です。
日本では、再生可能エネルギーの導入拡大を目的とした関連法の施行とともに、2012年7月ごろから制度の運用が始まりました。
固定価格買取制度の仕組み
制度の対象となるのは、国の認定を受けた発電設備です。認定を受けると、決められた価格で一定期間、電力会社に電力を買い取ってもらえます。
買取期間は電源の種類によって異なり、おおむね10年から20年程度の長期間に設定されているのが特徴です。
期間中は市場価格の変動にかかわらず、あらかじめ決まった価格で買い取られるため、収益の見通しを立てやすくなります。
対象となる再生可能エネルギーの種類
固定価格買取制度の対象には、複数の再生可能エネルギーが含まれます。
- 太陽光発電
- 風力発電
- 中小水力発電
- 地熱発電
- バイオマス発電(木質ペレット・木質チップなどを含む)
買取価格はどう決まる?
買取価格は、電源の種類や発電設備の規模ごとに個別に設定されます。
価格は毎年度見直され、太陽光パネルなど設備の導入コストが下がるにつれて、新規認定分の買取価格は段階的に引き下げられる傾向にあります。
すでに認定を受けた設備は、認定時点の価格が買取期間中ずっと適用される仕組みです。
再エネ賦課金とは
電力会社が再生可能エネルギーを決められた価格で買い取るための費用は、電力会社が単独で負担しているわけではありません。
この買取費用は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」、略して「再エネ賦課金」として、電気の利用者全体が電気料金の一部として負担する仕組みになっています。
つまり固定価格買取制度は、電力を使う一人ひとりが費用の一部を分担しながら、再生可能エネルギーの普及を支えている制度ともいえます。
固定価格買取制度と林業・木質バイオマス発電の関係
固定価格買取制度は太陽光や風力のイメージが強いかもしれませんが、林業とも関わりの深い制度です。
間伐材や製材の過程で出る木くずなどを原料にした木質ペレットや木質チップを燃料とする、木質バイオマス発電も対象に含まれています。
木質バイオマス発電の普及は、林業から出る副産物の活用先を広げるとともに、森林の手入れを進める動機づけにもつながると考えられています。
固定価格買取制度を使った例文
固定価格買取制度は、ニュースや日常の会話で次のように使われます。
- 自宅の屋根に太陽光パネルを設置し、固定価格買取制度を利用して余剰電力を売電している。
- 木質バイオマス発電所が固定価格買取制度の認定を受けて稼働を始めた。
- 固定価格買取制度の買取価格は、年々見直されている。
- 固定価格買取制度の対象になるには、事前に設備の認定を受ける必要がある。
固定価格買取制度とFIP制度の違い
固定価格買取制度が一定の普及段階に達すると、電源によっては「FIP制度」と呼ばれる別の仕組みに移行することがあります。
FIP制度では、買取価格が固定されるのではなく、市場価格に一定の金額を上乗せする形で収入が決まります。
| 項目 | 固定価格買取制度(FIT) | FIP制度 |
|---|---|---|
| 収入の決まり方 | あらかじめ決めた価格で固定 | 市場価格に一定額を上乗せ |
| 市場価格の影響 | 受けにくい | 受けやすい |
| 対象 | 認定を受けた発電設備 | 一定規模以上の発電設備など |
FIP制度は市場の動きを反映しやすい一方、収入が変動しやすいという違いがあります。
固定価格買取制度と再生可能エネルギーの違い
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力など、自然界で繰り返し得られるエネルギー源そのものを指す言葉です。
一方、固定価格買取制度は、その再生可能エネルギーで発電した電力を買い取るための仕組みであり、エネルギー源そのものを指す言葉ではありません。
両者は密接に関わっていますが、「エネルギーの種類」と「電力を買い取る制度」という、指しているものの違いがあります。
固定価格買取制度のメリット
固定価格買取制度には、導入する側にとっていくつかの利点があります。
- 長期間にわたって買取価格が変わらないため、収入の見通しを立てやすい
- 発電設備への投資を回収しやすくなる
- 再生可能エネルギーの導入が進み、電源の多様化につながる
- 林業の副産物など、これまで活用が難しかった資源の利用先が広がる
固定価格買取制度の注意点
固定価格買取制度を利用する際には、いくつか注意しておきたい点があります。
買取価格は年々見直されており、新規に設備を導入する時点の価格が、将来にわたって常に有利であるとは限りません。
また、再エネ賦課金は電気を使うすべての利用者が負担しているため、制度の広がりは電気料金にも影響します。
設備投資を検討する場合は、価格の動向や制度の見直し状況について、資源エネルギー庁などの公的機関や専門家に確認することをすすめます。
固定価格買取制度のよくある誤解
固定価格買取制度については、いくつかの誤解が見られます。
たとえば「売電をすれば一定の収入が得られる」と思われがちですが、実際には発電量や設備の維持管理の状況によって収入は変わります。
また、買取価格は制度の開始当初から一定ではなく、年度によって異なる点も見落とされやすいポイントです。
まとめ
固定価格買取制度とは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーで発電した電力を、国が定めた価格で一定期間買い取ることを義務づける制度です。
買取にかかる費用は再エネ賦課金として電気の利用者全体で負担する仕組みになっており、木質バイオマス発電など林業と関わりの深い電源も対象に含まれます。
近年は、一定の普及段階に達した電源について、市場価格を反映するFIP制度への移行も進んでいます。
制度を利用した設備投資を検討する際は、買取価格の見直しや制度の変更点を踏まえ、公的機関や専門家に相談しながら判断することが大切です。


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