「墓穴を掘る」は、自分の不用意な言動が原因で自分の立場を悪くしてしまうことを表す慣用句。ビジネスから日常会話まで幅広く使われます。意味、例文、語源、類義語・対義語、英語表現、使うときの注意点をまとめました。
導入
会議での言い訳が長引き、かえって信頼を損ねてしまう——そんな場面でよく使われるのが「墓穴を掘る」。強い比喩ですが、実生活の“やらかし”を端的に言い表します。本文では、意味だけでなく実用的な例文や言い換えまで一気に押さえます。
意味
自分の言動・行動によって自分の不利を招くこと。
本来の「墓穴(墓のための穴)」から転じて、「自分で自分の終わりを準備してしまう」という比喩です。口頭・文章どちらでも使用可。
例文(ビジネス/日常)
- 【ビジネス】数字の誤りを隠そうとして更に矛盾を生み、自分で墓穴を掘った。
- 【プレゼン】質問に焦って余計な情報まで話し、結果的に墓穴を掘る形になった。
- 【日常】軽い冗談のつもりが相手を怒らせ、墓穴を掘ってしまった。
- 【SNS】炎上後に反省なしの投稿を重ねて墓穴を掘るアカウントも多い。
NG・OKの言い換え
- ×「彼に墓穴を掘られた」→ 主語が自分起点の比喩なので不自然。
- ○「彼は自分で墓穴を掘った」/「自滅した」。
語源(由来)
「墓穴」は墓を作るための穴の意。自らの手で自分の墓の穴を掘るイメージが、自分の失敗の原因を自分で作る意味へ比喩的に拡張されました。文語・口語どちらにも定着している伝統的表現です。
類義語・関連表現
- 自業自得/身から出たさび/自滅する
- 足をすくわれる(他者に弱点を突かれるニュアンスが強め)
- 自縄自縛(自分の行為・規則で自分を縛る)
反対語に近い表現
- 起死回生/形勢逆転/巻き返す
英語表現
完全一致の定訳はないものの、文脈で次がよく使われます。
- dig one’s own grave(直訳的な比喩で最も近い)
- He dug his own grave by lying to the clients.
- shoot oneself in the foot(軽率な行為で自分を不利に)
- He shot himself in the foot with that comment.
- backfire(行為が「裏目に出る」)
- The cover-up plan backfired.
使うときの注意点
- 強い比喩:カジュアル会話では可だが、対人配慮が必要。相手を責める口調で多用すると攻撃的に響く。
- 主語の一致:「自分で」「自ら」など主体を明確に。第三者を主語にするなら「彼は墓穴を掘った」。
- 原因の明示:ビジネス文書では、何が墓穴だったのか(虚偽報告・過剰反論など)をセットで書くと読み手に伝わる。
使い分けフローチャート(簡易)
- 意図せず自分不利? → 墓穴を掘る
- 他人に突かれて敗北? → 足をすくわれる
- 自分の規則で身動き取れず? → 自縄自縛
- 策が裏目に? → 裏目に出る/backfire
よくある質問(FAQ)
Q1. 目上の人に使ってよい?
A. 直接相手に向けるのは避け、事象の評価として用いる方が無難です。
Q2. 書き言葉と話し言葉どちら向き?
A. どちらも可。報告書では「自滅」「裏目に出た」など柔らかい言い換えも併記すると丁寧。
Q3. 敬語表現は?
A. 例:「不用意な発言によりご自身で不利な状況を招かれました」など、比喩を避けて説明的に。
まとめ
- 意味:自分の言動で自分を不利にすること。
- 場面:言い訳・隠蔽・過剰弁明・暴露などで起こりやすい。
- 英語:dig one’s own grave / shoot oneself in the foot / backfire。
- 注意:強い比喩のため、相手への直接適用は配慮を。


コメント