「マグロは止まったら死ぬ」という話を聞いたことがある方は多いかもしれません。結論から言うと、これは完全に間違いではなく、特定の種類のマグロにとっては事実です。ただし、状況や仕組みは意外と複雑で、単純に「止まった瞬間に窒息する」という話ではありません。
本記事では、なぜマグロは泳ぎ続ける必要があるのか、止まったら本当に死ぬのか、どの種類が該当するのかについて解説します。
マグロが泳ぎ続ける理由
マグロが常に泳ぎ続ける必要がある主な理由は以下の3点です。
1. 呼吸のため(ラム換水方式)
高速で泳ぐマグロは、泳ぐことによって口から海水を取り込み、そのままエラに流して酸素を取り込みます。これを ラム換水 と呼びます。
一般的な魚のような エラポンプによる呼吸機能が弱いため、停止すると酸素供給が不足 しやすくなります。
2. 浮力・姿勢維持のため(浮袋がない)
マグロは 浮袋(ふくろう)を持たない魚 です。浮袋は多くの魚が深度調整に使う器官ですが、マグロはこれを持たないため、泳ぎ続けることで姿勢と浮力を補っています。
3. 体温維持のため(部分恒温性)
マグロは魚類としては珍しく 体温を海水より高く保つ性質(部分恒温性) を持っています。その分代謝が高いため、多くの酸素が必要になり、結果として水流が欠かせなくなります。
止まったら本当に死ぬのか?
誤解されがちな点は「止まった瞬間に即死する」というイメージですが、実際には以下の通りです。
- 完全停止 → 酸素不足で危険
- 低速回遊 → 休息状態を取れる
- 養殖下 → 人工水流で代替可能
養殖マグロでは 円形水槽で一方向回遊させることで呼吸と姿勢維持を成立 させています。
全てのマグロが止まれないわけではない
種類によって性質が異なります。
| 区分 | 種 | 特徴 |
|---|---|---|
| 止まれないグループ | クロマグロ / ミナミマグロ / キハダ / メバチ | 高代謝・高速回遊 |
| 止まれるグループ(近縁含む) | サバ類 / 一般青魚 | エラポンプで呼吸可能 |
| 類似性のある他魚 | カジキ / 一部のサメ | ラム換水主体 |
マグロは眠らないのか?
結論:
泳ぎながら眠る(休む)と考えられている
完全停止はできないものの、
- 速度を落とす
- 群れで負担を分散
- 深度や水温を調整して省エネ
といった方法で休息状態に入ります。
まとめ
- 「マグロは止まると死ぬ」は科学的に一定の根拠がある
- 背景には 呼吸・浮力・体温維持 という複合要因
- 即死ではなく、停止に弱い構造を持つ魚というのが正確
- 進化の結果として獲得した生理的特徴である

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