■ クランクとは?基本の意味
クランク(crank)は、回転運動と往復運動を相互に変換するための機構または部品を指します。ハンドル付きの軸や、屈曲した棒状のパーツなど、力を伝えるための「回転軸」として働きます。
たとえば、人力で回すハンドルが回転力を生み、それを他の部品に伝えることで運動を変化させる仕組みです。
■ 自転車におけるクランク
自転車では、ペダルとチェーンリング(前ギア)をつなぐ棒状の部品が「クランク」です。ペダルを踏むことで、クランクが回転し、その回転力がチェーンを介して後輪へ伝わります。
この構造によって、人の脚の上下運動を効率的に回転運動へ変換し、自転車を前に進ませます。クランクの長さや素材によって、踏み込みやすさ・加速性能も変化します。
■ エンジンにおけるクランクシャフト
自動車やバイクのエンジン内部にも「クランク」が存在します。ここでは「クランクシャフト」と呼ばれ、ピストンの上下運動(往復運動)を回転運動に変換する役割を担います。
この回転力が最終的にタイヤを回す駆動力となるため、クランクシャフトはまさにエンジンの“心臓部”です。耐久性と精密さが求められる非常に重要な部品です。
■ 映画撮影の「クランクイン」と「クランクアップ」
映画やドラマの制作現場でも「クランク」という言葉が登場します。これは撮影用の手回しカメラ(クランク式カメラ)に由来しています。
撮影開始を「クランクイン(crank in)」、撮影終了を「クランクアップ(crank up)」と呼びます。つまり、かつてカメラのハンドル(クランク)を回し始めた瞬間が“撮影開始”を意味していたのです。今ではデジタル撮影でも慣習的に使われる業界用語として残っています。
■ クランクの原理と応用の広がり
クランクの基本原理は「力を変換する」ことにあります。ハンドルを回す → 回転がピストン運動に変わる、あるいはその逆。この単純な構造が、エンジン・ポンプ・自転車・風車など、多くの装置の基礎を支えています。
機械工学の分野では「クランク機構」として分類され、モーション変換やエネルギー効率の研究対象にもなっています。
■ まとめ
クランクとは、回転と往復の運動をつなぐ重要な仕組みであり、自転車のペダルから自動車のエンジン、さらには映画撮影の言葉にまで影響を与えています。
単なる部品ではなく、「動きを生み出す源」として、現代の技術や文化に欠かせない存在なのです。
■ コラム:豆知識
- 自転車のクランク長は一般的に165〜175mmほど。脚の長さや用途によって最適値が異なります。
- クランクシャフトは精密加工によるバランス取りが重要で、エンジン振動の少なさにも影響します。
- 「クランクアップ」の反対語「クランクイン」は、今でも映画やドラマ業界でよく使われています。

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