NBAの「ウェイブ」と「バイアウト」の違いをやさしく解説

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シカゴ・ブルズはツーウェイ契約の河村勇輝選手をウェイブ(waive)したと発表しました。ファンにとっては衝撃的なニュースでしたが、この機会に「ウェイブ」と「バイアウト」の仕組みの違いを整理しておきましょう。


まず用語整理:ウェイブとは?(waive)

ウェイブ=契約解除の“手続き”です。
球団が選手をロースターから外すときに使う公式プロセスで、選手は“ウェイバー公示”に回されます。公示期間(通常48時間)に他球団が現契約の残りを引き継ぐ形で獲得するチャンスがあります。誰も引き取らなければ、選手はFA(自由契約)になります。
ポイントは以下のとおり:

  • ウェイブは球団主導で実行可能(選手の同意は不要)。
  • 公示で引き取られれば、その時点で新チームが残契約を引き継ぐ。引き取られなければFA。
  • 契約のお金は、引き取られない場合でも基本的に元の契約どおり

参考:ブルズは7月に河村選手とツーウェイ契約を結び、10月にウェイブを公表。これらはいずれも球団公式で確認できます。


バイアウトとは?(buyout)

バイアウト=“話し合いによる契約の清算”です。
球団と選手が合意して、残りの年俸の一部を減額(放棄)する代わりに契約を早期終了します。実務上は、合意内容を反映させたうえで最終的にウェイブし、選手をFA化させるのが一般的な流れです。

  • 双方合意が前提(選手は通常、残額の一部を放棄)。
  • 球団は年俸負担やロスター枠を軽くできるメリット。
  • 選手は出場機会優勝争いのチームなど、次の選択肢を早く得やすい。
  • プレイオフ出場資格には期限(例:3/1までにウェイブ)がある点も実務上の重要ポイント。

ツーウェイ契約とウェイブ/バイアウトの関係

ツーウェイ契約は、NBAとGリーグ間を行き来する制度で、出場可能試合数の上限年俸テーブル(概ね新人最低年俸の50%水準)などが特有です。ツーウェイでも、事情によりウェイブの対象になり得ます。

  • 河村選手はツーウェイ契約→ウェイブという流れ。ツーウェイだからといって保護されるわけではなく、ロスター編成や他選手の契約状況に左右されます。

具体的な違いを一目で

項目ウェイブ(Waive)バイアウト(Buyout)
誰の意思で始まる?球団主導で一方的に可能球団+選手の合意が必須
お金の扱い原則、契約条件どおり(保証分は支払い)。公示で新チームが引き取れば新チーム負担へ選手が一部放棄するのが通例。球団の負担が軽くなる
手続きのゴール公示48時間→引取り or FA合意後にウェイブ→FAが実務上の定石
選手側のメリット早期にFA化して再契約のチャンス行き先を想定しつつ条件調整可。優勝候補合流など戦略的移籍がしやすい
日程上の注意特になし(ただし開幕・保証期限など実務の節目は影響)プレーオフ出場資格は期限あり(例:3/1までにウェイブが必要)

よくある誤解

  • 「バイアウト=すぐ他球団に入団」
    → 実際は合意→ウェイブ→FAというプロセスを経ます。新天地が即決するケースが多いだけ。
  • 「ウェイブされたら終わり」
    → いいえ。公示でのクレーム(引き取り)や、クリア後のFA契約があります。キャップ状況やロスター枠次第で道は残ります。

まとめ:今回のケースをどう捉えるか

  • ブルズはロスター最適化の一環として、ツーウェイ枠・契約保証の節目・他選手の動向を踏まえて河村選手をウェイブ。これはNBAでは日常的に起こる人事です。([シカゴブルズ][1])
  • ウェイブ=即戦力否定ではありません。ガードの層、サイズバランス、Gリーグ含む組織全体の編成など、多要因で決まります。
  • 今後は、ウェイバーでのクレーム、またはFAとして再契約(同NBA内・海外リーグ含む)という道が見えます。

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