新しい打ち手は強力であるほど、扱いを誤ると自分にも跳ね返ります。そんな「効き目と副作用が表裏一体」の状態を表す言葉が「諸刃の剣(もろはのつるぎ)」です。本稿では、意味・使い方・注意点を、人が読みやすい見出しでまとめます。
意味
効果が大きい一方で、同じくらいの危険や不利益も伴うもののたとえ。
英語の double-edged sword に相当します。単なる「一長一短」よりも警戒度が高い語感があります。
由来とイメージ
「諸刃」は両側に刃を持つ剣のこと。振るえば相手を傷つけられる反面、扱いを誤れば自分も傷つく——この構造をそのまま比喩にした表現です。
実務での使い方
- 「Aは短期的な成果は出るが、諸刃の剣だ」
- 「Aは諸刃の剣になり得るため、運用設計が欠かせない」
- 「使い方を誤れば諸刃の剣となる」
※ 読みは もろは。俗に「両刃の剣」とも言いますが、慣用としては「諸刃の剣」が一般的です。
例文
- 価格戦略
「大幅値下げは需要を喚起するが、利益率を削る諸刃の剣でもある。」 - マーケティング
「炎上狙いの話題化は拡散力が高い反面、ブランド毀損の諸刃の剣だ。」 - IT・業務効率化
「生成AIの導入は生産性を上げるが、情報漏えいリスクという諸刃の剣を伴う。」 - 人事制度
「成果給はモチベを高めるが、短期志向を助長する諸刃の剣になり得る。」 - スポーツ
「ハイプレスは主導権を握れるが、背後のスペースを晒す諸刃の剣だ。」
言い換え(場面に応じて)
- 功罪相半ばする/光と影がある/一長一短(やや弱い)
- ハイリスク・ハイリターン(振れ幅を強調)
- 劇薬(効能と副作用の強さを比喩)
よくある誤用・注意
- 重言に注意:「諸刃の刃」は不自然。正しくは「諸刃の剣」。
- 弱い場面での乱用:単に「便利だが高い」程度は“自分に返る危険”が薄く、諸刃と言うほどではない。
- 危険だけの事例:リターンが乏しくリスクだけ大きい場合は「危険な賭け」「割に合わない」など別表現が適切。
使いどころの見極め(簡易チェック)
- 効果量:成功時のリターンは大きいか
- 反作用:失敗時の損失は広範・不可逆になりうるか
- 制御可能性:ルール、権限、ログ、ロールバックなどの“ガードレール”が設計されているか
- 露出時間:短期で撤退できるか
まとめ
- 「諸刃の剣」は、効果と危険が強く結びつく場面で使う。
- 使う際は、運用設計(ガードレール)と撤退線をセットで語ると説得力が増す。
- 強い言葉なので、状況の重さに見合う場面を選ぶと文章が締まる。


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