はじめに
「パジャマ」は、就寝時に着る前提でデザインされた衣服の総称です。リラックス性、吸湿性、温度調整、動きやすさを軸に設計され、部屋着(ルームウェア)と似ていますが、目的が「睡眠」である点が本質的に異なります。
語源と歴史の要点
- 語源:ヒンディー語/ウルドゥー語 pājāma(さらに遡るとペルシア語 pāy-jāmeh=「脚に履く衣服」)。
- 英語化:18〜19世紀、イギリスのインド統治期に英語へ取り入れられ pajamas/pyjamas と表記。
- 日本への定着:近代以降の西洋衣生活の普及とともに「パジャマ」として一般化。
パジャマとルームウェアの違い
| 観点 | パジャマ | ルームウェア |
|---|---|---|
| 目的 | 快眠(就寝時の体温・発汗に最適化) | 在宅時のくつろぎ・家事 |
| デザイン | 寝返りしやすい設計、締め付け少なめ | トレンド性・実用性を優先する場合も |
| 素材 | 吸湿・放湿・保温などの機能重視 | 素材は幅広い(ニット、スウェット等) |
※ 近年は兼用設計も増えており、境界はやや曖昧になっています。
主な素材と特徴
- 綿(コットン):肌あたりがやさしく吸湿性に優れる。オールシーズンの定番。
- ダブルガーゼ:通気性・吸湿性が高く、春夏〜初秋に快適。
- サテン(綿サテン/シルクサテン):滑らかな肌触り。体の動きに追随し寝返りがスムーズ。
- シルク:吸放湿・保温に優れ、静電気が起きにくい高機能天然繊維。デリケートな取り扱いが必要。
- フランネル/起毛コットン:保温性が高く秋冬向き。
- モダール/レーヨン系:とろみと吸湿性、ドレープ感が心地よい。
- パイル(タオル地):吸水性と柔らかさで入浴後〜就寝まで快適。
形のバリエーション
- 前開きシャツ+パンツ:最も一般的。体温調整がしやすく、入院・宿泊にも便利。
- プルオーバー型:頭からかぶるトップス。縫い目が少なく軽い着心地。
- ワンピース型:女性向けに多い。下半身の締め付けが苦手な人に。
- ニット/スウェット型:伸縮性が高く冬場に人気。
- 和式寝間着(甚平・作務衣・浴衣系):通気性とゆとりある設計で夏向き。
季節で考える最適解
- 春:ダブルガーゼ、薄手コットン。温度差に備え前開き+長袖が万能。
- 夏:半袖・短パン、ガーゼ・パイル・レーヨン系。寝汗対策に通気性重視。
- 秋:フランネルや中厚コットンへ移行。温度調整のため前開きが便利。
- 冬:起毛コットン、フリース、中綿入り。寝具との重ねで蒸れない素材選びを。
よく眠るためのフィット感
- 上:肩幅は合っているか、肘の曲げ伸ばしで突っ張らないか。
- 下:ウエストゴムは指2本分の余裕、裾は足首を締め付けない長さ。
- 全体:寝返り回数(一般的に一晩で20〜30回程度)を阻害しない可動域が目安。
手入れと長持ちのコツ
- 洗濯:洗濯表示を確認。ネット使用・弱水流・中性洗剤が無難。シルクは基本的に手洗いまたは専門クリーニング。
- 乾燥:型崩れや縮みを避けるため、タンブラー乾燥は避けて陰干し中心。
- 買い替え目安:毎日着る場合は生地のへたり・首元や股の縫製負荷で年1〜2回が目安。
よくある質問(FAQ)
Q. 英語の “pajamas” と “pyjamas” の違いは?
A. 米語が pajamas、英・豪などで pyjamas が一般的。発音はほぼ同じです。
Q. 部屋着で寝るのはダメ?
A. すぐに「ダメ」ではありませんが、寝具と相性の悪い素材(汗がこもる・静電気が強い・締め付けが強い)だと睡眠の質を落とすことがあります。就寝を目的とした素材・設計のパジャマが理想的です。
Q. 子どものパジャマは何を優先?
A. 吸湿性・動きやすさ・洗濯耐久性。季節に応じて厚みを替え、前開きは熱や汗の調整がしやすいので便利です。
失敗しない選び方チェックリスト
- 目的が「就寝」になっている設計か
- 季節・寝室環境(冷暖房、湿度)に合う素材か
- 動作時に肩・股・ウエストが突っ張らないか
- 取り扱いが自分の洗濯習慣に合うか(手洗い不可なら避ける)
- 肌の弱い人は縫い目やタグ位置、糸端の処理まで確認
まとめ
パジャマは、語源からもわかる通り「脚に履く衣服」に端を発し、睡眠のための機能性を磨いて発展してきた衣服です。素材・形・季節に合わせて選ぶことで、寝つきやすさ・夜間の快適さ・翌朝の目覚めが変わります。次に買い替えるときは、吸放湿・動きやすさ・手入れのしやすさを基準に、自分の寝室環境に最適な一着を選びましょう。


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