導入文:
パエリアはスペイン・バレンシア地方発祥の米料理。浅い鍋で米に旨味を吸わせ、仕上げに底を香ばしく焼きつけるのが特徴です。この記事では、基本から種類、家庭で失敗しない作り方、代用品、よくある疑問までを一気に解説します。
要点まとめ
- パエリアは「混ぜずに薄く炊く」米料理。底の香ばしいおこげ=ソカラットが肝。
- だしは温かい状態で注ぐ。日本米でも水分を控えて炊けばOK。
- サフランが定番だが、色だけならターメリック代用可(香りは別物)。
- 仕上げは強めの火で30〜60秒、香ばしさをつけてから蒸らす。
パエリアの基本
- 鍋:浅くて広い専用鍋(パエジェーラ)が理想。大きめフライパンでも代用できます。
- 米:中粒のボンバ米などが定番。日本米(うるち米)でも吸水なし・水少なめで可。
- 味の核:ソフリート(玉ねぎ・にんにく・トマトを煮詰めたベース)+スープ+サフラン。
- 混ぜない理由:米の表面が崩れてベチャつくのを防ぎ、均一に吸水させるため。
主な種類
- バレンシア風:鶏肉、ウサギ、いんげん、時にカタツムリ。もっとも伝統的。
- シーフード:エビ、ムール貝、イカ、アサリ。日本で人気。
- ミックス:肉+魚介の家庭的スタイル。
- イカスミ(アロス・ネグロ):イカ墨で黒く、コク深い旨味。
家庭で作る基本レシピ(2〜3人分・フライパンOK)
材料
- 米:1合(吸水させない)
- オリーブオイル:大さじ1.5
- にんにく:1片(みじん)
- 玉ねぎ:1/4個(みじん)
- トマト:1/2個 or トマト缶100g
- 温かいスープ:350〜380ml(魚介だし or 鶏がら)
- サフラン少々(色だけならターメリック小さじ1/4)
- 具材(例):むきエビ8尾、イカ輪100g、あさり200g(砂抜き)
- 塩:小さじ1/2、黒こしょう少々
- 仕上げ:レモン、刻みパセリ
手順
- 具を焼く:フライパンに油を熱し、具材を手早く焼いて一旦取り出す。
- ソフリート:同じ鍋でにんにく→玉ねぎ→トマトの順に炒め、甘みが出るまで水分を飛ばす。
- 米を炒める:米を加え、油を全体に回す(透明感が出る程度)。
- 炊く:温かいスープ+サフランを注ぎ、塩で味を決める。ここからは混ぜない。
- 具を戻す:表面に具を並べ、中火→弱火で水分がほぼなくなるまで炊く。
- ソカラット:最後に強めの火で30〜60秒、底を「カリッ」とさせる。焦げ臭くなる前に火を止め、5分蒸らす。
- 仕上げ:レモンを絞り、パセリを散らす。
目安:米1合で直径24〜26cmのフライパンが扱いやすいです。
失敗しないコツ
- スープは熱いまま入れる:温度低下でベチャつきやすくなります。
- 水分は控えめから:足りなければ端から少量ずつ追い足し。
- 火加減の段取り:中火で沸かす→弱火で吸わせる→最後に強火で香ばしさ。
- 具材は焼き目をつける:香りと旨味の層が増し、食感も良くなる。
- 混ぜない:仕上がりの粒立ちとソカラットのための鉄則。
日本の食材・道具でうまく作る代用テク
- 米:日本米使用時は水分量を控えめに。アルデンテより“やや芯残り”を狙うと良い。
- サフラン代用:ターメリックで色付け+ごく少量のカレー粉(入れすぎ注意)で香りの厚み。
- 魚介だし:あさりのむき身+昆布の戻し汁/白だし少量で手早く。
- 鍋:底厚で広いフライパン(テフロンでも可)。仕上げ強火は焦げやすいので注意。
ソカラットを上手につくる
- 水分がほぼ飛んだら鍋を動かさず強火に。
- 香ばしい「チリッ」という音と軽い香りが立ったらすぐ火を止める。
- 焦げ臭さを感じたら行き過ぎ。次回は強火時間を短く。
よくある質問(FAQ)
Q. リゾットとの違いは?
A. リゾットはかき混ぜて乳化させ、クリーミーに。パエリアは混ぜずに薄く炊き、粒立ちとおこげを楽しみます。
Q. サフランは必須?
A. 風味は大きく変わります。香りまで再現したいなら少量でもサフラン推奨。色だけならターメリック代用可。
Q. 日本米で本格的に作れる?
A. 可能です。吸水なし・水少なめ・混ぜない・熱いだしの4点を守るのがコツ。
Q. オーブンは必要?
A. 必須ではありません。家庭のコンロでも十分おいしく作れます。
応用バリエーション
- 鶏とパプリカのミックス:子ども向け、食べやすい王道。
- 秋のきのこパエリア:だしを鶏+きのこにして旨味たっぷり。
- イカスミ:スープにイカ墨を溶いて黒く仕上げる。にんにくとオリーブオイルをやや増やす。
まとめ
パエリアは「広い鍋で、混ぜずに、温かいだしで薄く炊く」。この原則さえ守れば、フライパンひとつで家庭でも十分“ごちそう感”のある一皿になります。まずは基本レシピで手順を体に入れ、好みの具材でアレンジしてみてください。

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