自動車技術の中でも特徴的な構造を持つエンジンの仕組み
自動車のエンジンにはさまざまな形式がありますが、その中でも独特の構造を持つエンジンとして知られているのが「ボクサーエンジン」です。
一般的な自動車では、シリンダーが縦に並ぶ「直列エンジン」や、V字型に配置される「V型エンジン」が主流です。しかしボクサーエンジンはそれらとは異なり、シリンダーが左右に向かい合う形で水平に配置されているという特徴を持っています。
この記事では、ボクサーエンジンの仕組みや特徴、メリット・デメリット、採用している自動車メーカーなどについてわかりやすく解説します。
ボクサーエンジンとは
ボクサーエンジン(Boxer Engine)とは、
シリンダーが左右に向かい合って配置されたエンジン形式のことです。
正式には
水平対向エンジン(Horizontally Opposed Engine)
と呼ばれます。
このエンジンでは、左右のピストンが互いに向かい合いながら同時に動きます。その動きがボクシングでパンチを打ち合うボクサーの腕の動きに似ていることから、「ボクサーエンジン」という名前が付けられました。
ボクサーエンジンの構造
通常の直列エンジンでは、シリンダーが縦に並びます。
例えば直列4気筒エンジンの場合
|シリンダー|
|シリンダー|
|シリンダー|
|シリンダー|
のように縦方向に配置されています。
しかしボクサーエンジンでは次のようになります。
←シリンダー クランクシャフト シリンダー→
←シリンダー クランクシャフト シリンダー→
つまり
・左右にシリンダーが分かれている
・エンジンが横に広がる
・高さが低い
という構造になります。
ボクサーエンジンのメリット
1 重心が低くなる
ボクサーエンジンはシリンダーが横に広がるため、エンジン全体の高さが低くなります。
その結果
・車の重心が低くなる
・コーナリング性能が向上する
・走行安定性が高くなる
といったメリットがあります。
スポーツカーでは重心の低さが重要なため、ボクサーエンジンは非常に相性の良い構造とされています。
2 振動が少ない
左右のピストンが互いに反対方向に動くため、振動が打ち消されやすい構造になっています。
そのため
・エンジン振動が少ない
・回転が滑らか
・静粛性が高い
という特徴があります。
これはエンジン設計において大きな利点です。
3 安定した走行性能
エンジンが低い位置に配置できるため、車の重心が下がり、車体のバランスが良くなります。
その結果
・高速走行時の安定性
・コーナリング性能
・操縦性
が向上します。
この特徴はスポーツカーだけでなく、SUVや四輪駆動車にも有利に働きます。
ボクサーエンジンのデメリット
優れた特徴を持つ一方で、いくつかの欠点もあります。
1 エンジンの横幅が大きい
シリンダーが左右に広がるため、エンジンの横幅が大きくなります。
そのため
・エンジンルーム設計が難しい
・整備スペースが限られる
という問題があります。
2 製造コストが高い
構造が特殊で部品も増えるため
・製造コストが高くなる
・整備の手間が増える
というデメリットがあります。
そのため多くの自動車メーカーでは採用されていません。
ボクサーエンジンを採用しているメーカー
現在、ボクサーエンジンを主力としているメーカーは多くありません。
代表的なメーカーは次の2社です。
スバル(SUBARU)
日本の自動車メーカーであるスバルは、長年ボクサーエンジンを採用しています。
主な車種
・レガシィ
・インプレッサ
・フォレスター
・BRZ
スバルは「水平対向エンジン+シンメトリカルAWD」を大きな特徴としており、安定した走行性能で知られています。
ポルシェ(Porsche)
ドイツのスポーツカーメーカーであるポルシェも、ボクサーエンジンを採用しています。
代表車種
・911
・ボクスター
・ケイマン
特にポルシェ911に搭載される水平対向6気筒エンジン(フラット6)は、世界的に有名です。
ボクサーエンジンの種類
ボクサーエンジンにはいくつかの種類があります。
代表的なのは次の2種類です。
水平対向4気筒(Flat-4)
コンパクトカーやミドルクラス車に多い。
水平対向6気筒(Flat-6)
高性能スポーツカーに多い。
一般的には、気筒数が増えるほど出力が高くなります。
まとめ
ボクサーエンジンとは、左右に向かい合うシリンダーを持つ特殊なエンジン構造です。
主な特徴は次の通りです。
・シリンダーが水平に配置される
・振動が少なく回転が滑らか
・重心が低く走行安定性が高い
その一方で
・横幅が大きい
・製造コストが高い
という課題もあります。
現在では主にスバルやポルシェなどが採用しており、安定性と走行性能を重視した自動車に多く搭載されています。
ボクサーエンジンは、自動車の走りを大きく左右する重要な技術のひとつといえるでしょう。

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