ガングリオンという言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。手首や指などに現れる“しこり”として多くの人が経験する可能性がある疾患です。本記事では、ガングリオンの基礎知識から症状、原因、治療方法まで、できるだけわかりやすくまとめます。
ガングリオンとは
ガングリオン(Ganglion)とは、関節や腱の周囲に生じるゼリー状の物質が袋状にたまってできる良性の腫瘤(こぶ)のことです。
一般的に手首や指の関節付近に多く見られ、柔らかい場合もあれば固く感じる場合もあります。
腫瘍と聞くと不安に感じるかもしれませんが、ガングリオンはがんではなく良性の病変であり、命に関わるものではありません。
ガングリオンができやすい部位
ガングリオンは全身の関節に発生する可能性がありますが、特に以下の場所に多く見られます。
- 手首の甲側
- 手首の内側
- 指の付け根
- 指の第1関節付近
- 足の甲
手の動作が多い人ほど、手首や指に現れやすい傾向があります。
主な症状
ガングリオンの症状は人によって異なりますが、代表的なものは次の通りです。
1. しこり(腫れ)の出現
皮膚の下に小さな丸い腫れが現れます。大きさは数ミリから数センチまでさまざまです。
2. 痛みや違和感
基本的には痛みを伴わないことが多いですが、神経を圧迫すると
- じんじんする
- しびれる
- 動かすと痛い
といった症状が出る場合があります。
3. 動かしにくさ
腱や関節に近い場所にできた場合、動かしにくさを感じることがあります。
ガングリオンの原因
ガングリオンの明確な原因は特定されていませんが、以下の要素が関係していると考えられています。
- 関節や腱の袋(滑膜)が弱る
- 手首や指をよく使う
- 繰り返し同じ動作を行う(PC作業・スポーツなど)
- ケガの後に生じることもある
どなたでも発症する可能性がありますが、特に20〜40代の女性に多いとされます。
診断方法
医療機関では、以下のような方法でガングリオンかどうかを診断します。
- 視診・触診
- 超音波検査(エコー)
- MRI(神経との位置関係を詳しく調べる場合)
しこりが小さい場合や深部にある場合、エコー検査が有効です。
ガングリオンの治療方法
ガングリオンは自然に消えることも多く、痛みがなければ経過観察が一般的です。症状がある場合は、次のような治療を行います。
1. 経過観察
痛みがなく日常生活に支障がない場合は経過を見るだけで問題ありません。
2. 穿刺(せんし)
注射で内部のゼリー状の液体を吸引する方法です。簡単に処置できるため、最もよく行われます。ただし再発する可能性があります。
3. ステロイド注射
穿刺後にステロイドを注射し、再発予防を図ることがあります。
4. 手術
再発を繰り返したり神経を圧迫して強い痛みが出る場合には、袋ごと取り除く手術が行われます。
日常生活で気をつけたいこと
- 無理に強く押しつぶさない
- 繰り返し痛む動作を避ける
- 症状が悪化する場合は早めに専門医に相談する
家庭で押しつぶしたり潰そうとすると、周囲の組織を傷つけたり感染のリスクがあります。
まとめ
ガングリオンは手首や指にできることが多い良性の腫瘤で、命に関わるものではありません。
痛みが強い場合や生活に支障がある場合は、医療機関で適切な診断と治療を受けることが大切です。
必要以上に心配せず、早めの相談と対処を心がけましょう。

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