日本人にとって「九九」は、算数の基礎として当たり前の存在です。
小学校低学年で1の段から9の段までを暗唱し、多くの人が今でも口ずさめるでしょう。
では、アメリカの子どもたちは九九を学ばないのでしょうか?
結論から言うと、アメリカには日本式の「九九」はありません。
ただし、これは「掛け算を教えていない」という意味ではありません。
本記事では、日本とアメリカの算数教育の違いを「九九」という視点から解説します。
日本の「九九」とは何か
日本の九九は、小学2年生前後で学習する 1×1〜9×9の掛け算81通り を暗記する仕組みです。
日本の九九の特徴
- すべて暗唱できることが前提
- 音読・唱和を通じて定着させる
- 計算スピードを重視
- 教育内容が全国でほぼ共通
この「九九を完全に覚える」という文化は、日本だけでなく、中国や韓国など東アジアに共通する学習スタイルとも言えます。
アメリカに九九は存在しない
日本式の九九はない
アメリカには、日本のように
「2×3=6、にさんがろく」と暗唱する文化はありません。
代わりにあるのは「Times Tables」
アメリカでは掛け算表のことを Times Tables(タイムズテーブル) と呼びます。
- 掛け算表そのものは存在する
- ただし暗唱は必須ではない
- 覚える範囲は 1×1〜12×12 が一般的
つまり、表はあるが、九九のように徹底して暗記させる文化ではないのです。
アメリカの算数教育は「理解重視」
アメリカの算数教育では、
「答えを早く出すこと」よりも
なぜそうなるのかを理解することが重視されます。
よく使われる教え方
- 繰り返しの足し算(Repeated Addition)
- 図やブロックを使った視覚的説明
- 面積モデル(長方形で掛け算を表現)
例えば
「3×4=12」
を
「4が3つ集まると12になる」
と説明し、考え方を理解させる方法です。
計算スピードはどちらが速い?
一般的に言われる傾向として、
- 日本の子ども
暗算が速い、即答できる - アメリカの子ども
文章問題や説明が得意
これは優劣ではなく、教育方針の違いによるものです。
なぜここまで違うのか
背景には、教育に対する考え方の違いがあります。
| 観点 | 日本 | アメリカ |
|---|---|---|
| 学び方 | 反復・暗記 | 理解・応用 |
| 重視点 | 正確さ・速さ | 考え方・説明力 |
| 学習方法 | 全国共通 | 学校・地域差が大きい |
日本は「基礎を体に染み込ませる」教育、
アメリカは「考える土台を作る」教育と言えるでしょう。
まとめ:九九は日本独自の文化
- アメリカに日本式の九九は存在しない
- 掛け算はTimes Tablesとして学ぶが、暗唱は必須ではない
- 教育の目的が「速さ」か「理解」かで大きく異なる
- 九九は日本の教育文化を象徴する存在
普段当たり前だと思っている九九も、
海外から見るととても特徴的な学習方法です。
算数ひとつ取っても、国によって考え方がここまで違う。
それを知ること自体が、学びの第一歩かもしれません。

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