要点まとめ
- 意味:投資や事業で資産(または評価額)が1億円以上に到達した人の俗称。法律上の定義はない。
- 基準の揺れ:①「評価額1億」派、②「純資産(資産−負債)で1億」派の2系統。実務上は純資産ベースが堅実。
- 広まった背景:株式・不動産に加え、仮想通貨ブーム(2017年前後)で一気に一般化。
- 誤解しやすい点:「年収1億」ではない/含み益だけでは税金や換金で目減りする。
- 王道の道筋:短期の一攫千金より、長期・分散・低コストでの資産形成+収入UP&支出最適化。
定義とニュアンス
「億り人」はメディアやSNSで広がった俗称です。共通イメージは「手持ちの金融資産や資産評価が1億円に届いた人」。
ただし、借入(住宅ローン等)を差し引いた純資産で見るか、証券口座の評価額で見るかで認識が分かれます。投資判断や資産管理の観点では、純資産1億円を目安にするのが無難です。
よくある勘違いと落とし穴
- 年収と資産:年収はフロー、資産はストック。年収が高くても資産が積み上がらなければ億り人ではない。
- 含み益の不安定さ:評価額1億でも、相場下落や為替で簡単に割り込む。換金戦略(どこで現金化するか)が必要。
- レバレッジの罠:信用取引や過度な不動産借入は下落時に一気に毀損。資金管理ルール(最大ドローダウン許容等)を事前に。
- 税・制度の見落とし:課税区分や控除は国・時期で変わる。具体策は最新の制度を要確認。
目標は「持続可能に1億を超え、維持できること」。達成だけでなく、守る設計までがセットです。
到達までの現実的プラン(王道)
1) 収支のエンジンを強化
- 収入UP(副業・スキル換金・転職・昇進)
- 支出の固定費圧縮(通信・保険・住居・車)
- 余剰資金の最大化が投資パワー=複利の燃料に。
2) 資産運用の基本設計
- 長期・分散・低コスト(全世界/先進国の株式インデックス等を軸に)
- 積立の自動化(相場感に依存しない仕組み化)
- リスク許容度に応じた債券・現金の比率でボラティリティ管理
- 税制優遇の活用(各国の制度に準拠。最新ルール要確認)
3) リスク管理・メンタル設計
- 想定外の下落(−30〜50%)を台本化:どこまで落ちたらどう動くかを事前に言語化
- 分散の徹底:資産クラス・地域・通貨・時間分散
- 記録とレビュー:資産配分・損益・意思決定のログ化
1億へ:積立シミュレーション(イメージ)
※利回りは将来を保証しません。あくまで概算の目安です。
「目標:1億円」達成に必要な毎月の積立額(概算)
- 20年で達成
- 年3%:約30.5万円/月
- 年5%:約24.3万円/月
- 年7%:約19.2万円/月
- 25年で達成
- 年3%:約22.4万円/月
- 年5%:約16.8万円/月
- 年7%:約12.3万円/月
- 30年で達成
- 年3%:約17.2万円/月
- 年5%:約12.0万円/月
- 年7%:約8.2万円/月
「毎月いくらでどこまで行ける?」(例)
- 5万円/月を30年
- 年5%:約4,160万円
- 年7%:約6,100万円
- 10万円/月を30年
- 年5%:約8,320万円
- 年7%:約1億2,200万円
ポイント:時間と利回りのレバレッジが効く。開始は早いほど有利。
ルート別の戦い方
- 給与×積立の正攻法
- 安定して伸びる。到達には時間と継続が鍵。
- 事業/副業のスケール
- 利益率・再投資率次第でカーブが急になる。リスクも管理。
- 集中投資(株式/クリプト/スタートアップ等)
- 当たれば速いが分散と撤退ルール必須。ポートフォリオ全体の一部に留めるのが現実的。
到達後の設計:守りと使い方
- キャッシュポジションの確保(数年分生活費)
- 目標資産配分の再設定(ボラ抑制・生活費の取り崩し計画)
- 保険・相続・贈与・寄付の検討(専門家へ)
- ライフプランと税:税制は変わる。節税は合法的に、シンプルに。
FAQ
Q. 「評価額1億」と「純資産1億」どちらで名乗る?
A. SNS文化では評価額でも使われますが、資産管理の実務では純資産1億がブレにくい基準です。
Q. どのくらいの利回りを想定すべき?
A. 将来は読めません。保守的な想定で計画し、上振れはボーナスと捉えるのが安全。
Q. 住宅ローンは負債?
A. はい。資産(自宅の時価)−負債(ローン残高)で純資産を算出します。
まとめ
「億り人」は瞬間最大風速ではなく、持続可能な資産1億を意味する、と捉えるのが実践的です。
王道のカギは、収支改善 → 長期分散の積立 → リスク管理 → 維持の設計。
今日できる最初の一歩は、固定費の見直しと自動積立の開始です。

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