ニュースで「〇〇容疑者が在宅起訴されました」という表現を目にすることがあります。
逮捕されていないのに起訴とは、どういう意味なのでしょうか。
この記事では、在宅起訴の意味・仕組み・通常の起訴との違い・その後の流れまで、初めての方にも分かるように解説します。
在宅起訴とは?
在宅起訴(ざいたくきそ)とは、
被疑者を逮捕・勾留せず、自宅などで通常の生活を送らせたまま検察官が起訴することを指します。
刑事事件では、必ずしも「逮捕 → 勾留 → 起訴」という流れになるわけではありません。
逮捕や勾留を行わずに捜査を進め、最終的に裁判にかける判断がなされることもあります。
この状態で起訴された場合を「在宅起訴」と呼びます。
在宅起訴と通常の起訴の違い
| 項目 | 身柄事件(通常) | 在宅起訴 |
|---|---|---|
| 逮捕・勾留 | あり | なし |
| 生活 | 身体拘束あり | 自宅で生活可能 |
| 起訴後の流れ | 裁判 | 裁判(同じ) |
| 法的な重さ | 同じ | 同じ |
重要なポイントは、在宅起訴でも法的には通常の起訴と何ら変わらないという点です。
裁判にかかること自体は同じで、軽い処分が確定したという意味ではありません。
なぜ在宅起訴になるのか
検察や裁判所が「身柄拘束は不要」と判断する主な理由は以下の通りです。
- 逃亡のおそれが低い
- 証拠隠滅のおそれが低い
- 定職があり生活基盤が安定している
- 出頭要請にきちんと応じている
- 事件の内容や態様が比較的軽い
このような条件がそろうと、逮捕や勾留を行わずに捜査が進められます。
在宅起訴になりやすい事件の例
在宅起訴は、特定の事件に限定されるものではありませんが、次のようなケースで多く見られます。
- 交通事故(過失運転致傷など)
- 万引き・窃盗などの財産犯罪
- 名誉毀損・侮辱
- ストーカー規制法違反
- 業務上過失
- 経済事件・税務事件
なお、在宅起訴=軽犯罪とは限らず、社会的影響の大きい事件でも在宅起訴になる場合があります。
在宅起訴された後の流れ
在宅起訴後は、次のような手続きが進みます。
- 検察官が起訴
- 裁判所から呼出状が届く
- 指定された日時に出廷
- 公判(刑事裁判)が行われる
- 判決が言い渡される
拘束はされませんが、裁判への出頭義務は当然に発生します。
在宅起訴のメリットとデメリット
メリット
- 身体拘束がなく、仕事や家庭生活を継続できる
- 弁護活動や準備を落ち着いて行える
- 社会的影響を最小限に抑えられる可能性がある
デメリット
- 起訴されているため、有罪になれば前科がつく
- 裁判が長期化する可能性がある
- 精神的な負担が続く
よくある誤解
「在宅起訴=不起訴」ではない
これは非常に多い誤解です。
在宅起訴はすでに起訴されている状態であり、不起訴とは正反対です。
「逮捕されていないから軽い処分」
これも誤りです。
判決内容(罰金・執行猶予・実刑など)は、裁判の結果で決まります。
まとめ
- 在宅起訴とは、身柄拘束をせずに起訴する刑事手続
- 法的には通常の起訴と同じ扱い
- 逃亡や証拠隠滅のおそれが低い場合に選ばれやすい
- 在宅でも裁判・処分の可能性は変わらない
ニュースで「在宅起訴」という言葉を見かけた際は、
「逮捕されていない=無罪・軽い」という意味ではないことを理解することが大切です。


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