赤い苺と白い生クリーム、ふんわりスポンジ。誕生日も、なんでもない日も、気づけば選んでしまう日本の定番ケーキです。実は「ショート」は“短い”ではなく、製菓用語が由来。そこから日本独自に育ったのが、私たちの知っているショートケーキです。
「ショート」の本当の意味
英語の short は、バターなどの脂肪で小麦粉の粘り(グルテン)を抑えて“サクほろ”に仕上げる技法のこと(ショートブレッド等)。
一方、日本のショートケーキはふわふわのスポンジ+生クリーム+苺。名前のルーツは英語でも、食感はまったく別物の“日本版”と考えるのがしっくりきます。
日本で育ったショートケーキのかたち
- ふわっと軽いジェノワーズ(スポンジ)
- ミルキーで口どけのよい生クリーム
- 甘酸っぱく香りのいい苺
この三層のバランスが命。シロップでスポンジをしっとりさせ、苺の酸味で全体を締めるのが王道です。
苺以外もある、ショートの仲間たち
季節の果物に置き換えるだけで表情が変わります。
メロンショート、桃ショート、マンゴーショート、ぶどうショート、無花果ショート。チョコ生クリームのチョコレートショートや、抹茶ショート、マロンショートも人気。
お店で“おいしい一個”を選ぶコツ
- クリームのツヤ:くもっていない、口の中で重く残らない。
- スポンジの断面:きめが細かく、乾いていない。
- 苺の状態:ヘタがしゃんとして、表面にハリがある。
- 全体のバランス:甘さ・コク・酸味が喧嘩していないこと。迷ったらその店の“定番”を。
家で作るなら、ここだけ守る
- 卵は常温にしてよく泡立てる(湯せんで人肌に温めると安定)。
- 粉はさっくり混ぜる(混ぜすぎ厳禁)。
- 焼けたら早めに型から出し、乾燥を防いで粗熱をとる。
- 生クリームは7〜8分立て(角がゆるく曲がるくらい)。
- 苺は水気を拭いてからサンド(にじみ防止)。
小さなホール(12cm)の目安
卵2個/砂糖60g/薄力粉60g/バター20g/牛乳20ml
生クリーム200〜250ml/砂糖20〜25g/苺1パック
保存と持ち運び
冷蔵は5〜7℃で。当日〜翌日が食べごろ。長時間の移動は保冷剤+保冷バッグ、夏場はハードタイプの保冷箱が安心。冷凍は食感が崩れやすいので基本は避けましょう。
よくある質問
Q. 生クリームは何%が扱いやすい?
A. 乳脂肪35〜42%前後。軽さとコクのバランスが良いです。
Q. シロップは必須?
A. しっとり均一に仕上がるのでおすすめ。水と砂糖を同量でひと煮立ち、好みで洋酒をごく少量。
Q. 苺の季節以外は?
A. 柑橘や桃・マンゴーなど旬の果物で。酸味が弱ければ、クリームの甘さを少し控えるとまとまります。
おわりに
「特別な日の主役」でも「自分へのごほうび」でも、ショートケーキはいつも少し気持ちを明るくしてくれます。次に選ぶ一個は、クリーム、スポンジ、果物の“バランス”にちょっと注目してみてください。きっとお気に入りが一段とおいしく感じられます。

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