レッドオーシャンとブルーオーシャンの違いと使い分け

ナレッジ

—マーケティング戦略の基礎を、実例と手順で整理—

この記事の要点

  • レッドオーシャン:既存市場での競争優位がカギ(価格・機能・運用効率)
  • ブルーオーシャン:価値軸を再設計して競争を無意味化、新需要を創出
  • 小さく検証 → 当たり所を特定 → 拡張、の順で進めると失敗確率を下げられる

定義

  • レッドオーシャン(Red Ocean)
    既存の土俵で競合とシェアを奪い合う市場。価格競争・機能横並び・薄利化が起こりやすい。
  • ブルーオーシャン(Blue Ocean)
    顧客の「未満足」や非顧客の課題に着目し、別の価値軸で市場を再定義して新需要をつくる。

ざっくり比較

観点レッドオーシャンブルーオーシャン
市場既存・成熟未開拓・再定義
競争激しい/価格・機能で消耗低い/競争そのものを外す
武器コスト最適化、局所差別化、運用力価値設計、体験デザイン、価格モデルの再発明
指標シェア、CPA/ROAS、回転率新規需要、顧客生涯価値、プレミアム単価
主リスク薄利・模倣需要不確実・検証外し

レッド/ブルーを分ける“価値軸”

ブルーオーシャンは、同じカテゴリ内で「何を良くするか」の勝負をやめることが起点です。
例:ホテル

  • レッド:同価格帯で部屋の広さ・朝食・立地を強化
  • ブルー:「集中作業の場」×「仮眠」重視に再定義(静音・高速回線・椅子・防音・時間課金)

実務フレーム:ERRC(やめる・減らす・増やす・新設)

下の表を既存価値の棚卸しツールとして使います。

やめる(Eliminate)減らす(Reduce)増やす(Raise)新設(Create)
当たり前の付帯機能過剰品質・過剰UI主要課題の解決度新しい利用シーン/価格モデル

例(SaaS)

  • やめる:複雑な権限階層
  • 減らす:個別カスタマイズ
  • 増やす:初期設定ゼロ、既存ツール連携
  • 新設:成果連動の料金、ワークフローの“前後工程”を代替する自動化

ブルーオーシャンの見つけ方(6ステップ)

  1. 非顧客の行動観察:使っていない/離脱した人は“なぜ”か
  2. 代替行動の洗い出し:顧客は今、何で済ませているか(Excel、外注、手作業など)
  3. ERRCで価値軸を再設計:やめる・減らす・増やす・新設
  4. 価格モデルの再発明:サブスク/従量/成果課金/バンドル・アンバンドル
  5. 小さく検証(MVP)
  • スモークテスト(LP+予約登録)
  • コンシェルジュ方式(手作業で裏側を補完)
  • 有料プレβ(価格も同時検証)
  1. 当たり所の拡張利用頻度×継続率×単価のいずれかが突出する面を増やす

レッドオーシャンで勝つための要点

  • ニッチ化:特定業界・ロール・課題に特化(“誰の何の仕事をどれだけ速くするか”を明確化)
  • 運用力差:LTV>CACが再現する販促/オンボーディング設計
  • サプライ最適化:在庫/供給/サーバコストの固定費圧縮と回転率改善

指標設計(どちらでも使える)

  • 獲得効率:CAC、初回購入CPO、トライアル→有料転換率
  • 継続・満足:12週継続、NPS、解約理由の1位改善
  • 価値検証:価格感度(PSM分析の“許容上限”推移)、プレミアム比率
  • 成長の質:有料紹介率、オーガニック流入比率

よくある誤解と対処

  • 「完全に新しい発明が必要」:不要。価値の組み合わせで十分。
  • 「競合ゼロでなければ青ではない」:顧客の意思決定軸が変われば実質ノーコンペになる。
  • 「まずは機能を全部」:非推奨。“高頻度で使う1シーン”に絞ってMVP。

使い分けの指針

  • 短期売上・現金化が急務:レッドで“最も痛い課題”にニッチ特化
  • 中長期の粗利・優位性を育成:ブルー仮説をERRCで設計 → LP/価格で段階検証

ミニチェックリスト(保存版)

  • [ ] 非顧客の“回避理由”を10個言語化した
  • [ ] 競合比較表ではなく、顧客の行動フローで課題を可視化した
  • [ ] ERRCで“やめる”を先に決めた(足し算より引き算が先)
  • [ ] 価格モデルを少なくとも2案でAB検証した
  • [ ] KPIは継続・単価・紹介のいずれかを主軸に置いた

まとめ

  • レッドは効率勝負、ブルーは価値軸の再設計。どちらも有効で、局面により併用が最適です。
  • まずは小さく検証し、当たり所を数値で見極めてから投資を厚くする。これが最短距離の王道です。

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