「MIP」は Most Improved Player(最も成長した選手) の略称です。主にバスケットボールを中心としたスポーツで用いられ、前年(または直近のシーズン)から実力と役割を大きく伸ばした選手を称える賞です。MVP(Most Valuable Player=最優秀選手)と混同されがちなので、基礎から整理します。
MIPの対象と目的
- 対象:若手〜中堅の選手に限られません。起用法の変化や役割拡大によってブレイクした選手も候補になります。
- 目的:結果だけでなく、伸びしろと成長の軌跡を評価します。スターへの階段を上がったシーズンを称える性格が強い賞です。
評価の主な基準(例)
- 主要スタッツの伸長:得点、リバウンド、アシスト、TS%/eFG% など効率面の改善
- 役割の変化:ベンチ→先発、終盤の起用増、ディフェンスの軸としての信頼など
- チームへの影響:出場時間や勝敗への寄与度、オン/オフの差分など
- 継続性:一時的な確変ではなく、シーズンを通して続いた改善か
スタッツの「生の増加」だけではなく、効率・意思決定・守備での成長といった“質”の変化も重視されます。
MIPとMVPの違い(要点だけ)
- 評価軸
- MIP:成長度(前年との比較)
- MVP:価値・支配力(同年の全体比較)
- イメージ
- MIP:ブレイクした、役割が格上げされた、弱点を克服した
- MVP:リーグ全体で最も影響力が大きい、チームを牽引した
同じハイパフォーマンスでも、「去年からどう変わったか」を見るのがMIP、「今年どれだけ支配したか」を見るのがMVPです。
よくある誤解:「Most Impressive Player」?
一部の学校大会や地域イベント、メディア企画では、Most Impressive Player(最も印象的な選手) を“非公式に”MIPと呼ぶことがあります。
ただし、主要リーグなどの公式表彰でのMIPは「Most Improved Player」が原則です。記事や告知で見かけたときは、文脈や主催者の定義を確認しましょう。
候補に挙がりやすい“成長パターン”
- 使用率↑かつ効率維持/改善:ボリュームが増えても効率が落ちない
- スキル拡張:3P習得、プレーメイク向上、ファウルをもらう技術の獲得
- 守備の覚醒:POA(オンボール)やヘルプでの安定した影響
- 意思決定の成熟:ターンオーバー削減、ショットセレクションの是正
- 役割の再定義:6thマン→主力、スペシャリスト→両面型 など
データで見るときのチェックポイント
- 増加分の内訳:単に出場時間が増えただけか、効率や創造性も伸びたのか
- ラインナップ依存性:特定の相方やユニットが外れた時も成長が維持されるか
- スケジュール/サンプル:弱い相手や一時期に偏っていないか
- プレーオフ耐性(参考):公式投票の対象外でも、市場評価では重視されがち
コーチ/メディア視点での“物語性”
MIPはしばしばストーリーと結びつきます。
オフの取り組み、メンタルの変化、チーム内での信頼獲得など、数字に表れにくい成長の文脈が説得力を生むことも珍しくありません。
まとめ
- MIP=Most Improved Player(最も成長した選手)。前年からの伸びを称える賞。
- MVP=Most Valuable Player(最も価値ある選手)。当年の支配力・価値を称える賞。
- 「Most Impressive Player」という使い方はあり得るが、公式ではないのが一般的。
- 評価は量×質×役割×影響を総合して行われ、“持続した成長”が鍵になります。

コメント